【インタビュー】小池百合子「2020年に向け機運は右肩上がり、経費は右肩下がり」

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 2016年夏に東京都知事に就任以来、ここまで激動の約1年半を過ごしてきた小池百合子東京都知事。2018年は2020年東京オリンピック・パラリンピックへ向け、しっかりと足場を固める一年になる。これからの東京の在り方、都政の課題などを小池都知事に聞く。(聞き手・一木広治)
撮影・仲西マティアス
 まず残り2年となった東京オリンピック・パラリンピックへ向けた準備の進捗と手ごたえを教えてください。

「東京オリンピック・パラリンピック開催のためには本当に多くの準備が必要です。

あと2年と少々。もう1000日を切っています。オリンピック・パラリンピックの成功とその先のレガシーを見据えて、まずは競技会場が所在する関係自治体、組織委員会、国とそれぞれ連携をしながら一丸となって進めていくことが大事だと思っています。会場などの設備は昨年11月に、武蔵の森総合スポーツプラザができたように、着々と準備が進んでいます。これからはソフトの部分ですね。9万人のボランティアを確保しなければいけません。戦略的には今年の夏からボランティアの募集を開始します。輸送インフラやセキュリティーなどの都市運営については、都市機能を維持しながらも円滑な大会運営を支えるべく、都市オペレーションセンターや輸送センターなどの設置を進めます。開催都市として世界から訪れるアスリート、そしてお客さまを万全な体制で迎えるための取り組みを推進します。建設中の競技会場など、基本的には引き続きコスト縮減に務める一方で、大会後に有効活用するための十分な検討を行っていきます。中にはコンセッション方式で、施設の運営などは民間に託すというような方向も考えています。

 東京2020大会フラッグツアーは引き続き各地で行っていきます。同時に都市鉱山プロジェクトも継続します。5000個のメダルを作るのに携帯電話だと2000万個が必要ですが、毎日この都庁までわざわざ持ってこられる人が300人くらいおられるんです。これはすごいことだと思いませんか? わざわざ来られるんです。2000万個にはまだ遠いですが、都庁以外にもドコモショップや組織委員会が全国的に展開中です。キャンペーンは世界に向けても非常に強い発信力があります。ですから世界の方々にもご協力いただければいいなと思っております。いずれにしてもこれからもっともっと大会への機運を醸成していきます。“機運は右肩上がり、経費は右肩下がり”という感じでいきたいと思います」

 今年は2月25日に東京マラソンがあります。何か新しい取り組みはありますか?

「基本的な数字を押さえておくと、東京マラソンは走る人が3万6000人、それを支えるボランティアが1万3000人、応援する人が139万人というのが一番最近の数字です。そのボランティアの方々ですが、昨年の大会から登録制にしています。ここでボランティアをやっていただく方々は高い比率で2019年のラグビーワールドカップ(W杯)や2020年のオリンピック・パラリンピックのボランティアもやっていただけるのではないかと期待できます。ボランティアはそういう場数を踏んでいただくことも非常に重要だと思っております。全体的なスキルアップとかリーダーの人材確保といった育成も心掛けながら、ボランティア活動への参加を促していきたいですね。それから昨年から導入したセキュリティーリストバンドはランナーの方々の本人確認の徹底のために進めていて、これはまさしくセキュリティー対策の一環です。それから、仮装をしながら走って盛り上げてくださるランナーの方もおられますが、今年も応援イベントでは100組を超える有志の皆さんがさまざまなパフォーマンスを繰り広げて盛り上げに力を貸してくれると期待しております」
撮影・仲西マティアス
 来年、東京は大政奉還から150年の節目の年。なにか特別な企画などは?

「まず150周年のロゴを作り、記念イベントも行っていきます。そしてシティドレッシングなどもします。江戸から東京に変わって150年というのは、そこで歴史が大きく変わった大きな節目ですよね。ぜひ盛り上げていきたいと考えております。江戸東京博物館では、大政奉還から150周年の企画も進めています。ぜひ、ご期待していただきたいと思います」

 相変わらずのアイデアマンっぷりです。オリンピック・パラリンピックについては「子供」「夢」「参加」というところが少ないと思うのですが、知事の中でまたなにか新しいことをお考えですか?

「私はオリンピックはもちろんですが、パラリンピックを盛り上げようと思っております。例えば、リオで見たボッチャ。このボッチャは頭脳プレーの競技で、重度の障がい者でもできるスポーツです。そこが面白いなと思って、東京都庁の中でもボッチャチームを作り、私も始めました。それがだんだん広がって、大小かかわらず、民間の企業の中にもボッチャのチームを作り出すところが出てきています。お互いに試合をしたりして、非常に機運が高まってきているんです。やはり皆さんに実際に競技を体験していただくことが重要ですね。都市鉱山もそうです。“自分の携帯で作ったメダルだよ”といった共感とか“自分で体を動かして車椅子でバスケットボールをするなんてとんでもなく難しいよね”といった実感。そういった皆さんがかかわりを持てるイベントをやっていきたいですね。

 オリンピック・パラリンピックは2020年の7月24日から9月6日までなんですが、この45日間をどうやって盛り上げるか、都庁では“この期間はオリンピック・パラリンピックだよね”という意識づけを昨年から行っています。それは何かというと、午後2時55分のNHKテレビのラジオ体操に合わせて都庁全体で体操をしているんです。だいたい2時59分くらいはみんなが同じタイミングでぴょんぴょんジャンプをするので都庁が揺れるんです(笑)。そして皆さん、“よくできました”ハンコを押してもらう。昔のようにアンパンは出ないんですけど(笑)。

 こうやって毎日やっていると、この期間はオリンピック・パラリンピックなんだと自然と意識するようになる。それを今年はオールジャパンでできるようにしたいと思っています。今、『東京動画』という動画サイトを東京都で有しているんですが、そこに早速、愛媛県の中村時広知事が動画を送ってくださいました。アップさせていただいております。そういったように職場でラジオ体操をしている動画を皆さんが送ってくださっている。それを全国に広げていきたい。東京都ではゆるキャラが体操をしている動画もアップしています。こんなにたくさんの種類のゆるキャラがいたんだと驚きました。なかなか面白いのでぜひ皆さんにも見ていただきたいです。そして職場でラジオ体操をして送っていただきたいですね」

 2050年に向けての「東京未来ビジョン懇談会」の答申が近く出るとうかがいました。

「面白いですよね。若い方々が2050年の東京はどうなっているのか、自由な発想でどんどん面白い発言が相次いでいます。パックンマックンのパックンはAIの発展で職業がなくなる点をおっしゃっていました。

 参加者の中には東大を卒業して三宅島で漁師をやっている人とか、桧原村で林業をやっている人たちとか、いろいろな方がいます。どちらかというと自分の知らないことに、“へえ〜”と驚き合って終わっちゃうことも多いんですけど(笑)。いまは2050年の東京は“こうなったらいいな編”という未来のビジョンをまとめています。メンバーの中に一人漫画家さんに入ってもらっているので、できれば漫画にしていければと思っています」

 都知事自身が2018年に挑戦したいことはなんですか?

「ずっと考えているんですけど、なかなか浮かばないんですよね。どうしよう…まずは来年度予算を成立させることですね(笑)」