舞台『黒蜥蜴』中谷美紀の女盗賊役にゾクリ

(撮影・蔦野裕)
デヴィッド・ルヴォーが三島作品を演出

 江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が1961年に戯曲化した『黒蜥蜴』。これまで何度も舞台化されてきたが、1月9日から主演の黒蜥蜴を中谷美紀、黒蜥蜴の好敵手であり運命の恋人でもある探偵・明智小五郎に井上芳雄というキャストにより東京・日比谷の日生劇場で上演が始まる。

 演出は世界的な英国人演出家デヴィッド・ルヴォー。ルヴォーは1988年に初来日後、1993年には東京でシアタープロジェクト・東京(T.P.T)を結成し、長く日本で作品を発表し続けた。その後も、ルヴォーが日本で作品を手掛け続けているのは三島作品と歌舞伎に出会ったため。2016年には歌舞伎の演目である『心中天網島』をベースとした『ETERNAL CHIKAMATU-近松門左衛門「心中天網島」より-』を演出。そして今回はついに三島の代表作である『黒蜥蜴』を手掛けることとなる。

 もっともルヴォーは2006年にT.P.Tで同作を手掛けている。しかしこの時は諸事情により“共同演出”という形になったため、今回の作品こそが長年ルヴォー自身が温めてきた演出プランや三島作品への想いを表現する場となっているといっても差し支えないだろう。

 公演にあたりルヴォーは「晩年の作品となるこの戯曲で、三島は死のエロティシズムを横溢させている」としたうえで今回の自らの演出については「全体に強烈、かつさまざまなフォルムのエロティシズムを漂わせることを目指したい」としている。
(撮影・蔦野裕)
1月9日から日生劇場で上演開始

 またルヴォーは黒蜥蜴役について「まず目を見張るような絶世の美女。同時にある種の緊張感を持ち、何かに駆り立てられている女性で、謎めいており、この人のことを知りたいと、周囲に思わせる磁力の持ち主」としているのだが、中谷美紀の黒蜥蜴はまさにこのイメージにピッタリ。そのクールな表層の奥に潜む情熱と妖艶さにくぎ付けになる。

 その中谷は今回の公演にあたり「ルヴォーさん主催の演劇学校に、出演料を頂戴して通わせていただいたような、充実したお稽古を経て、いよいよ初日を迎えることになり、少々緊張しております」としたうえで「高尚なものと低俗なもの、喜劇と悲劇、美しいものと醜いもの、愛と憎しみ、エロスとタナトス、相反する2つの新しい世界が混じり合い、拮抗し合う三島ワールドをぜひご覧いただきたい」などとコメントした。

 黒蜥蜴の部下「雨宮」役に成河、黒蜥蜴のターゲットとなる宝石商の親子にたかお鷹と相楽樹、その家政婦に朝海ひかる。

 1月28日まで日生劇場で上演後、2月1~5日まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演される。

 作品の詳細は梅田芸術劇場の特設ページ(http://www.umegei.com/kurotokage/)で。