トンネルを抜けた先に生まれた、新たな“俳優・岩田剛典”!

 EXILE、三代目J Soul Brothersのメンバーにして、俳優としても評価が高まる岩田剛典が、日本中を胸キュンさせた『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』から一転、人の心の闇に迫る緊迫のサスペンスで映画初単独主演! かつて見せたことの無い表情の数々、そして最後に明かす衝撃の顔とは!?
撮影・仲西マティアス ヘアメイク・下川真矢 スタイリスト・JUMBO(SPEED WHEELS)
「夢の中に監督が出てきた」

  撮影中は、どこまでも続く暗く長いトンネルの中にいるようだった、と最新主演作『去年の冬、きみと別れ』を振り返る。

 同作は芥川賞作家・中村文則による“映像化不可能”といわれたベストセラーを『犯人に告ぐ』の瀧本智行監督が岩田をはじめ豪華キャストを揃えて映画化した話題作。

 岩田が演じるのは、過去に起きた猟奇殺人事件を追う新進気鋭の記者・耶雲恭介。事件現場に居合わせた疑惑の天才カメラマン・木原坂雄大に迫るが、愛する婚約者・百合子も巻き込み、抜け出すことのできない深みに飲み込まれていく…。

「僕が演じた耶雲という役柄も難しい役どころでしたし、シナリオもすごく凝っていますし。何より作品を見る人は基本的に僕が演じた耶雲恭介の目線で物語に感情移入していくと思うので、観客の方の集中力が続くかどうかが僕の芝居にかかってくるという部分が、大きなプレッシャーにもなっていました。もちろんそういったすべてが良い経験になりましたが、撮影中はもう、人が変わったように作品に集中していましたね。なのでクランクアップのときは、ものすごい解放感でした(笑)。監督たちと“お疲れ様!”と乾杯して達成感も感じましたが、その後も少し、この作品から抜け出せない感覚がありました。これまでにもそういう感覚はありましたが、今回はその度合いがすごくて。主演を務める俳優さんたちは毎回こんな現場を乗り越えているのかと思うと改めてすごいなと思います」

“夢の中に監督が出てきた”ほど、のめり込んだ作品となった。

「ずっと監督からプレッシャーをかけられていたんです。“この作品の8割くらいが岩田君の出ているシーンだから、すべては岩田君の芝居にかかっているから”と言われて。確かに台本を見ても、僕のセリフばかりですし。共演の皆さんからも“よくこんな大変な役を引き受けたね”と(笑)。でも同時に“これ以上やりがいのある役もそう無いよね”と言っていただきました」
撮影・仲西マティアス
あるシーンの前日にはリアリティーを追求するため監督から寝ないように言われたこともあったとか。

「僕もやる気になっていましたから“もちろん寝ませんよ”と(笑)。瀧本監督ご自身が作品にとりかかったら、もうその作品のことしか考えないような方なんです。だから自分も監督と同じテンションで現場にいたかったし、そうでなければ自分の中で後悔が残るんじゃないかと思いました。それで僕自身も監督と同じテンションで臨んだんです。本当にきつかったですけど、やりきったと思える作品ができました。やっぱり監督は偉大だと思います。この作品は本当に緻密な計算の上に成り立っていて、それを組み立てていったのは監督ですし。全演者が監督を信じて走り切ったという感覚があります。完成した作品を最初に見たときは正直、何とも言えない感覚になりましたね。もちろん自分の作品なので客観視できないというのもあるんですけど、それだけでなく、一緒に初号試写を見てくださった関係者の方々の反応に感動したんです。2時間あまりの上映中、ずっと張り詰めた空気が広がっていて、皆さんが本当に集中して見てくださっていると感じました。上映後にはお褒めの言葉をいただいて。そこで初めて僕自身も大きな手ごたえを実感できました」

いつもは記者に“追われる”側の岩田だが、今回“追う”側である記者役を演じた感想は。

「記者の皆さんは、これが仕事だもんね、と思えるようになったかな(笑)。でも取材時のシーンなんかは、まさにこういう取材の場でのインタビュアーさんの様子を参考にさせていただきました。メモの取り方や質問の間とか。役者にとっては、現場以外の普段の生活でのこともすべてが糧になるし、芝居に生きてくるんだと改めて思いました。今後は記者に優しく…? 僕はいつもそう心がけていますよ、どんな人にも家族はいますからね(笑)」
撮影・仲西マティアス
振り返るのは好きじゃない

 セリフも多く背負うものも大きい難役に挑みたいと思った理由とは。

「シンプルにチャンスだと思ったからです。確かに難しい作品だし難しい役どころ。ものすごいチャレンジだけど、ものすごいチャンスでもあると思いました。こういうチャンスをつかむかどうか以前に、巡ってくるかどうかという運もあります。本作のプロットを読ませていただいた時に、自分の直感で、これは今やるべきタイミングで素晴らしい話を頂いた、と感じました。この作品は、自分のキャリアにとって大きな分岐点になるという予感があったんです」

岩田の直感に響いた要素とは?

「もともと好きなんです、こういう邦画ならではの重厚感があるミステリーやサスペンスが。ハリウッドのようなお金をかけた作品も見ごたえがあって好きですけど、こういう邦画だからこそ日本人の心に響くような深みがあるというか。見終わった後に席から立てなくなるような映画が好きなんですよね。本作は、まさにそんな作品だと思うんです。かつ1回見ただけじゃなく、見終わった後に食事にでも行って作品のことを語り合いたくなる。さらに答え合わせのように2回、3回見たくなる。でも最初にお話を頂いたときは、まさかこれだけの映像に仕上がることまで予想できないので、常に作品選びはイチかバチかなんですけどね。本当にいい作品に巡り合えたと胸を張って言える作品になりました」

そんな作品に巡り合いチャンスだと気づくことができたのも岩田自身が常に高みを目指していたからこそ。

「確かにチャレンジしたい気持ちは常に持っていました。もちろん『HiGH&LOW』や『植物図鑑』でも、その気持ちは同様に持っていましたけど、あくまでそれまでの僕のイメージだったり、EXILE TRIBEの一員としての僕を生かしてくれた作品だったということを、自分でも分かっていて。だから、これまで挑んだことの無い部分で自分を評価していただける可能性のある作品という意味でも、僕にはありがたい作品だったんです。これまでのイメージや土台に頼ることができず、武器は僕自身の芝居しかなかった。だからこそプレッシャーも大きかったのかもしれません」
 俳優としての情熱と姿勢は、早くから岩田の中に根付いていた。

「ブログなどにも自分なりに考えたことを常々つづっているんです。書籍化できるくらい(笑)。でも、すべてのファンに僕の考えていることが伝わるかというと、なかなか難しい。そういう意味でも本作で、新しい自分を見てほしいという気持ちがあります。僕の性格として、過去の自分にとらわれていたくないというか。2〜3年前の作品なんて自分では恥ずかしくて見られないですね(笑)。だからファンにもあまり振り返らずに、常に今の自分を見てほしいと思っています。また、僕に関係なく、この作品だから見に行こうという方も多いと思うので、初めて僕という役者を知ってもらえる機会にもなるんじゃないかとワクワクしています」

本作の前と後で大きな変化

 今回共演した、天才カメラマン・木原坂雄大役の斎藤工と敏腕編集者・小林役の北村一輝という2人の俳優の存在も大きな刺激となった様子。

「現場に入ってからずっと皆で食事に行きたいねという話をしていたんですが、なかなか全員が揃う機会がなくて。たまたまクライマックスシーンの前に予備日が空いて、北村さんがお店をとってくださって食事に行き、4軒くらいはしごして、最後はダーツバーに行って(笑)。皆でずっと映画トークをしていました。北村さんは映画に対して熱い思いを持っている方ですし、斎藤さんも映画が本当に好きな方で、もともと以前からのお知り合いでずっとサシ飲みしたかったんだそうで、盛り上がっていました。それを僕がニコニコしながら聞いている、という図でした(笑)。素敵な関係だなあ、と思いながら。こういうつながりも大切にしていきたいし、何よりお2人がかっこいいんですよね。人気も実力も運も持ち合わせているというか。すべてひっくるめてリスペクトしています」

 クライマックスには“予測不可能”といわれる衝撃の展開が待ち受ける本作。普段は あまり騙されないほう、という岩田だがさすがに本作の“罠”には騙されたのでは。

「騙されましたね(笑)。僕も脚本を読んですべてがクリアになったとき、なるほど、これは面白い!と思いました。これを予測できる人はいるんだろうかと思うような見事な脚本になっていて。ただ、これ映像化できるのかなとも思いましたね。作品に入る前、滝本監督とお会いしたときに監督が手掛けた新作ドラマの『北斗 ある殺人者の回心』を教えていただいたんです。それを拝見して、この作品は滝本監督しかない、と僕も思いました。本当に全幅の信頼を置いて撮影に臨ませてもらいました。監督には芝居のテクニック的な部分でもたくさん教えていただきました。かつてないハードな現場でしたけど、この作品に出会う前と後では、役者として大きな変化があったと自分では思っています」

 本作で岩田が見せる、これまで見たことの無いような表情の数々に驚くファンや、新たにファンになる人も多いはず。
「先入観を持たずに、まっさらな気持ちで見てもらえれば、見終わった後、座席から立てなくなっていると思います(笑)」

(本紙・秋吉布由子)
©2018映画「去年の冬、きみと別れ」製作委員会
『去年の冬、きみと別れ』
監督:瀧本智行 出演:岩田剛典、山本美月、斎藤工、浅見れいな、北村一輝他/1時間59分/ワーナー・ブラザース映画配給/3月10日(土)より全国公開 
http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/