海人がタップロンに逆転のKO勝ち【2・10 SB】

パンチを打ち込む海人だが、試合中の記憶は飛んでいたという(撮影・仲西マティアス)

強烈右ストレートからヒザを顔面に叩き込みKO勝ち

 シュートボクシング(SB)の2018年第一弾大会となる『SHOOT BOXING 2018 act.1』が2月10日、東京・後楽園ホールで行われた。

 昨年、大きな飛躍を遂げ、SB日本スーパーフェザー級王者に輝いた海人がメーンでタップロン・ハーデスワークアウトと対戦。4R2分36秒、KOで勝利を収め、改めてSBの“新エース”としての存在感を見せつけた。

 タップロンはSB世界スーパーライト級2位で元WMC世界フェザー級王者。SB世界スーパーライト級王者の鈴木博昭に3連勝するなど“SBキラー”の異名を取る強豪だ。

 それに加えて今回の試合は“ヒジあり”で行われることもあり、ムエタイが本職のタップロンには有利なルール。海人には苦戦が予想されていた。

 試合は1R序盤、タップロンの放った強烈な右フックが海人にクリーンヒット。試合後「最初に食らったパンチで覚えていない」と海人が振り返るこの一発で試合はタップロンのペースで進む。3Rまでオープンスコアシステムで行われたが、3R終了時はタップロンがリード。ポイントばかりではなく、巧みにヒジ打ちを織り交ぜた攻撃で海人を翻弄。タップロンの老獪な試合運びが目についた。しかし4R、序盤から積極的に前に出る海人はラウンド終盤、タップロンをコーナーに追い込むと右ストレート一閃。タップロンがふらついたところで、首相撲から強烈なヒザ蹴りをタップロンの顔面に連発で叩き込むと、タップロンは前のめりにダウン。そのまま立ち上がれず、海人が逆転のKO勝ちを収めた。

しっかりエースとして大会を締めた海人(撮影・仲西マティアス)

「1Rのパンチで記憶が飛んで、そこから先はあまり覚えていない」

 海人は試合後のマイクで「勝って言おうと思っていたことを忘れてしまいました。取りあえず今年は世界を取りに行きます」と年末に行われる「S-cup」制覇をファンに約束した。

 試合後の会見では「1Rのパンチで記憶が飛んで、そこから先はあまり覚えていない。こんなにパンチを効かされたのは初めて。タップロンは日本人にはない迫力とか力強さがあった。自分がダウンを取った攻撃もよく覚えていない」と激闘を振り返った。4Rに逆転できたことについては「練習の成果だと思う。減量で苦しんでいた時も追い込んでくれる父と兄がいた。それでパンチが効いてなにも覚えていない中でも勝てた。試合前の作戦はボディーから攻めて上に行こうと思っていた。その練習でやっていたことが出たんだと思う」と話した。

 そして今年の目標として「ザカリア選手とS-cupで対戦できれば」と話した。

村田(左)のパンチが深田を襲う(撮影・仲西マティアス)

王者対決は村田が2年前の雪辱果たす

 セミファイナルで行われたSB日本スーパーフェザー級王者・村田聖明SB日本フェザー級王者・深田一樹の王者同士の一戦は延長にもつれ込む熱戦の末、村田が判定勝ちを収めた。2人は2年前に対戦し、その時は深田がダウンを奪ったうえで判定勝ちを収めており、村田が雪辱を果たした格好。

 試合は3分×5R、ヒジありで行われた。序盤からともにヒジを意識した展開となるなか、2R序盤、ヒジを食らった村田が鼻血を吹き出す。深田は左ストレートで踏み込んでは、距離が詰まると組んでヒジを村田の顔面に叩き込む。村田もパンチにヒジを交え反撃するが、鼻血が止まらず苦しい展開が続く。オープンスコアシステムで3R終了時点では一人が深田を支持と小差ではあったが、主導権を握っているのは深田。4、5Rと激しく打ち合った2人。判定は1人が50-48で深田を支持したものの、残る2人がドロー判定で延長ラウンドへ。いきなり助走つけて飛びかかる村田を前蹴りで撃ち落とす深田だったが、延長ラウンドでは村田が常に先手を取り攻撃を仕掛ける。深田も左のパンチで反撃するが、村田が手数で上回り ジャッジ3者とも10-9で村田を支持し、6Rに及んだ熱戦を制した。

鈴木はKNOCKOUTのトーナメントへ弾みをつけた(撮影・仲西マティアス)

鈴木が「SBの技」チョークスリーパーで山口兄弟を連破

 昨年6月に海人に敗れて以来のSB参戦となったSB世界スーパーライト級王者の鈴木博昭はINNOVATIONライト級王者の山口侑馬と対戦。2R2分53秒、チョークスリーパーによるKOで勝利を収めた。
 
 山口は兄の裕人が昨年、鈴木に敗れており、「兄弟揃って負けるわけにはいかない」と必勝を期しての参戦となったが、不慣れなルールで一敗地にまみれた。

 この試合もヒジありルールで行われた。鈴木は左のミドル、インローが冴え渡り、そこからの左ストレートで山口を追い込んでいく。しかし山口もパンチの連打で反撃すると序盤からシビアなヒジ打ちを繰り出していく。2Rに入っても鈴木は左のフック、ストレートを的確に山口の顔面に当てていく。1R同様、パンチの連打にヒジを交えた攻撃で鈴木をロープに追い込む山口だったが、鈴木はガードを固めしのぐと山口に組み付き、バックに回るとチョークスリーパーをがっちり決める。山口は無念のタップで鈴木がSB再起戦を見事なKO勝ちで飾った。

 鈴木は試合後のマイクで「4月からKNOCKOUTのスーパーライト級トーナメントに出ることになりまして、SBの大会はしばらくお留守にします。開幕戦とS-cupしか出る機会がなかったので、今日はどうしてもSBの技で決めたかった。今度帰ってくる時はKNOCKOUTのベルトを取って凱旋します。今年1年、僕は格闘技人生のすべてをここにかけたい。そんな覚悟を応援してください」とアピールした。

北斗(右)は判定負けに「なぜだ?」の表情を見せた(撮影・仲西マティアス)

王者・北斗が1年ぶりの参戦もまさかの判定負け

 約1年ぶりのSB参戦となったSB日本ウェルター級王者の北斗拳太郎が元WPMF世界スーパーライト級王者の忍アマラーと対戦。延長の末、2-0の判定で敗れた。

 忍は今年、母国のモンゴルでSBの大会を開催予定で、それに伴い今回、SB参戦となった。久しぶりの試合とあってそのファイトが注目されたが、その豪腕は健在。左右のフックが北斗を襲う。北斗もローキックからのパンチの組み立てで渡り合う。2Rには組み止めスタンドで肩固めを狙う場面もあったが、これは忍がパワーで押し倒し脱出。3R に入ると忍は打ち合いを楽しむかのごとく、時折笑顔を見せる場面も。

 3Rを終えての判定はジャッジ1人が30-29で忍を支持も残る2人が29-29で延長ラウンドへ。忍は一転、左ミドルからの展開を見せ、主導権を握り、2-0の判定で勝利を収めた。