【今月の“人”】谷口亮さん(イラストレーター)

(写真:中西祐介/アフロスポーツ)

 2020年東京オリンピック・パラリンピックの大会マスコットが2月28日に発表された。

 最終候補は3案。その中から福岡県在住のイラストレーター、谷口亮さん(43)の「ア」案が大会史上初めて実施した全国の小学校による学級単位の投票で10万9041票を獲得し、採用となった。谷口さんはフリーのイラストレーターとして活動を始めて約20年。高校卒業後、米カリフォルニア州にあるカブリロカレッジで美術を専攻し、帰国後はキャラクターグッズを路上で販売。これまで通信教育大手、ベネッセコーポレーションの教材キャラクター「ニャッチ」や、福岡県警博多署・博多防犯協会の防犯標語「いかのおすし」のキャラクターデザインを手がけるなどしてきた。

 谷口さんは初めて手にした大きな実績に「本当によかった。今まで賞をほとんど取ったことがないので、夢じゃなかろうかと…」と、安堵と喜びが入り交じった表情で話した。昨年、大会マスコットの公募を知り「種はまいてみないと」と応募を決意。2016年リオデジャネイロ五輪閉会式での東京のパフォーマンスに着想を得て「近未来感と伝統をうまく融合した東京らしいイメージ」を落とし込み、2分ほどでラフ画を描き上げたという。

 谷口さんには賞金100万円が送られ、両大会の開会式に招待される。ロイヤリティーは大会組織委員会などに帰属するという。組織委は今後、谷口さんや専門家の意見を聞きながらマスコットの名前を決め、7〜8月に発表する。