名古屋オーシャンズが3年ぶり5度目の優勝【3・11全日本フットサル選手権】

名古屋のラファはこのプレーで足を痛め戦線離脱(撮影・上岸卓史)

昨年覇者の大阪に2-1で勝利

「第23回全日本フットサル選手権」の決勝ラウンドが3月11〜13日、東京・駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で開催された。最終日に行われた決勝ではシュライカー大阪と名古屋オーシャンズが対戦。2-1で名古屋が勝利を収め、3年ぶり5度目(前身の大洋薬品/BANFF含む)の優勝を果たし、同時に今シーズンの3冠を達成した。

 前半序盤から攻守が激しく入れ替わる。しかし徐々にペースを握った名古屋の猛攻が続く。大阪はしばらく我慢の時間。

 しかし13分には名古屋のラファがGK冨金原と接触し担架で退場。これをきっかけに大阪が反撃する場面も。

八木(17)が名古屋の2点目をあげた(撮影・上岸卓史)

先制点は名古屋。吉川→星→最後はヴォルチーニョ

 嫌な流れになりかけた名古屋はコーナーキックを得るとタイムアウト。再開後のコーナーキックは吉川→星、そしてポスト側のヴァルチーニョに渡り、ゴール。前半16分、先制点を奪う。

 大阪もカウンターで名古屋ゴールに迫るが大阪GKの好セーブに遭い得点はならない。

 名古屋は18分に5ファウルとなるが、しのぎ切り、1-0で前半を折り返した。

 後半、大阪がペースをつかみかけたところで、名古屋は5分、左で受けた平田がゴール前に走りこんできた八木にパス。八木が正面からシュートを決め、2-0と突き放した。

佐藤のゴールで大阪は1点差に詰め寄った(撮影・上岸卓史)

大阪は佐藤がゴールを決めた

 9分には立て続けに接触プレーで試合が中断。優勝にかける両チームの激しい思いが露呈された。

 ゴールが遠い大阪だったが、15分、堀米が左からゴール側の佐藤にパスを通すと、佐藤がこれを決め、1点差に迫る。

 そして大阪は16分からパワープレーに転じ同点を狙う。名古屋は終了間際に5ファウルとなるが、最後まで守りきり、2-1で勝利を収めた。

名古屋のリカルド監督は「ちょっとフットサルを忘れたい」

 大会MVPには名古屋のキャプテン、星龍太が輝いた。またフェアプレー賞は湘南ベルマーレに送られた。

 試合後の会見で名古屋の比嘉リカルド監督は「とても難しいゲーム。決勝にふさわしい試合ができたのではないかと思う。日本はこういう決勝のような試合をもっと必要。こういう舞台でチームはより成長する。難しい試合であったが公平な勝負だったと思う。もっと早い段階でとどめをさせる状況はあったがそれを含めて決勝。後半にいい場面をカウンターで作ることができた。でもそこで決め切れなかった。最後に決め切れなかったが我慢強く戦えたことは良かった。でももう1点を取れなかったことで最後まで苦しい展開になった。でもそれを打ち勝てたことは良かった」と決勝を振り返った。

 そして、3冠を達成したことについては「昨年は苦しくて悩むシーズンだった。でもネガティブにはとらえていない。去年があったから今年がある。自分もひとまわり大きくなった、ポジティブなシーズンだった。昨年でもアジアでは優勝できた。昨年はとてつもなく強い大阪がいて、それに関しては認めないわけにはいかなかった。でもそれを挽回したいという気持ちは高まった。名古屋のためにもこのままではいけない、何かしないといけないと思った。今シーズン優勝できて、目標を達成できたことには本当にホッとしている気持ちが強い。昨年があったからこそ、オーシャンズに関わっているすべての人は喜べたのではないかと思う。一つの課題をクリアしたらまた新たな課題が生まれてくるし、そのプレッシャーからは逃れられないと思う。さらに来シーズンは厳しい目で見られると思うので、それをしっかり達成するために、今は1回リセットするためにも、ちょっとフットサルを忘れて、また来シーズンに臨みたい」と話した。

MVPに輝いた名古屋のキャプテン、星(撮影・上岸卓史)

MVPの星は「守備の選手を評価してくれてうれしい」

 またMVPの星は「準決勝、決勝と非常に厳しい試合だった。途中から誰と戦っているのか分からなくなるような試合内容だったというのが正直な感想。もちろん勝ち切れたことは大きいし、けが人がいる中で総力戦というところで、結果としてトロフィーをいただけたのはうれしいが、フットサルすべてを、もうちょっとレベルアップしていければ、と思う。もっといい大会に、もっといいリーグにしていきたいと思う」などと試合を振り返った。この「誰と戦っているのかーー」ということについては「はっきり言っちゃうとジャッジの部分。もちろんどちらのチームにも不可解なジャッジはあったが、試合をする中で敵を2つ作ってしまうというのは。フットサルの試合を本当にしているのかとか、という考え方になってしまったた。(ジャッジとは)もっとコミュニケーションが取れると思う。(そうすれば)もっとリーグをよくできると思うので、こういう発言をさせていただいた」と話した。

 MVPについては「僕なの?と最初は思った。その後に受け取ってうれしさがこみ上げてきた。こういう個人賞は攻撃のポジションの選手が受けるのがほとんどでなかなか守備の選手が受けることはないので、そういうところを評価してもらったのはうれしかった」と話した。そして3冠については「昨シーズンから振り返ると、そこから2年と考えるとAFCのタイトルも取れたし、本当にホッとしている」と話した。