その輝きに、魅了されて…「猪熊弦一郎展 猫たち 」

猪熊弦一郎 題名不明 1987年 インク・紙 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館蔵 ©The MIMOCA Foundation

 JR上野駅の大壁画《自由》や三越の包装紙デザインでも知られる画家・猪熊弦一郎(1902-1993)。愛猫家でもあった彼が、画家の目で猫をとらえ表現した魅力的な作品を中心に紹介する。

 もともとは猪熊が知り合いの小説家・大佛次郎からペルシャ猫の子猫を譲り受けたのをきっかけに猫を飼い始めたという猪熊家。多いときは一度に1ダースも飼っていたこともあるといい、たくさんの猫に囲まれた暮らしの中で、猪熊は画家の目で猫をとらえるようになる。

 猪熊の猫たちは、写実的なスケッチのときもあれば、シンプルな線描で描かれることもあり、デフォルメした油彩画のときもある。画家として猫の魅力を存分に享受しながら、多彩な表現に挑戦した様子がうかがえる。

 展覧会では、油彩・水彩・素描を中心に百数十点を展示。猫の自然な姿を生き生きととらえたもの、猫の特徴をデフォルメしたユーモラスなイラストなど、猫を通して表現が広がっていく楽しさを共感できる。モチーフとしての猫に対する芸術家の客観的な視点と、愛猫家としてのまなざし、2つの視点が呼応して生まれた猪熊作品を楽しんでみては。

猪熊弦一郎展 猫たち
【会場・開催期間】Bunkamura ザ・ミュージアム 3月20日(火)〜4月18日(水)
【時間】10〜18時(金土は21時まで。入館は閉館の30分前まで)
【休】会期中無休
【料金】一般1300円、大学生900円、中小生600円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】JR渋谷駅ハチ公口より徒歩7分
【URL】http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_inokuma/