上野で新鮮な音楽体験 夜の博物館でクラシック

(c)東京・春・音楽祭実行委員会
 国内最大級のクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森 2018―」が開催中だ。東京文化会館や国立科学博物館、東京都美術館といった上野周辺のさまざまな施設や街角を舞台に、さまざまなコンサートが同時多発的に開催されるもので、多くのクラシック音楽ファンや観光客、買い物客や散歩客などを楽しませている。

 毎年メイン公演のひとつとして行われるワーグナーのオペラ公演のように重厚かつ荘厳な公演、オーケストラ公演、国内外のトップ演奏者の演奏や技などを、約1カ月にわたって楽しめるのが魅力。耳の肥えた音楽ファンはお好みの演奏者や演目を探して足を運び、期間中、いくつものコンサートを訪れる人も少なくない。

 その一方で、身近なのになぜか距離が遠く感じがちなクラシック音楽にぐっと近づけるのもまた、この音楽祭のいいところだ。博物館、美術館、さらには街角など、さまざまな場所で、いろいろな規模のコンサートが行われていて、時間が短かかったり、料金もリーズナブルだ。なかには無料なものもあって、誰でも気軽に参加することができる。
ヴァイオリンの枝波千花。クラシックの名曲や親しみのあるナンバーを演奏しつつ、ヴァイオリンの演奏法やその見方についてもトーク (c)東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介
 音楽祭の開幕前夜、プレイベントとして行われた「博物館×クラシック音楽コンサート<ナイトミュージアム>コンサート」は大人気だった。国立科学博物館のさまざまなフロアで、二十絃箏、クラリネットとピアノ、グラスハープとギター、ヴァイオリン、そしてバンドネオンによるミニライブが行われ、参加者は演奏を求めて、公開時間が終わった夜の博物館を回遊する。

 恐竜の骨や化石に囲まれてライブを行ったのは、ヴァイオリンの枝波千花とバンドネオンの仁詩。それぞれ異なるフロアでのライブだったが、ともに「こんなところで演奏することになるとは思わなかった」とうれしそうに挨拶をすると、クラシックの名曲や映画音楽、さらにはより楽曲や演奏を愉しめるように分かりやすくアレンジを変えて聴かせるなど趣向を凝らした内容で、観客にため息をつかせていた。
バンドネオンの音色に惹きつけられて…… (c)東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介
 日本初のファクシミリなど機械がずらりと並ぶなかで演奏されたクラリネットとピアノ(金子平と鈴木慎崇)の「クラリネット・ソナタ 第2番 変ホ長調」、大きな動物に囲まれて聞く二十絃箏でのドビュッシー「月の光」、グラスハープの大橋エリとギターの後藤郁夫によるパッへルベル「カノン」など、クラシックの名曲と夜の博物館の相性は抜群で、老若男女がいつもとは違うクラシックコンサート、またはいつもとは違う博物館での時間を楽しんでいた。
 
「東京・春・音楽祭 ―東京のオペラの森 2018―」は、4月15日まで行われる。博物館×クラシック音楽コンサート<ナイトミュージアム>コンサート」は終了したものの、今後も数えきれないほどの数のコンサートが企画されている。博物館や美術館でのコンサート、ホールでのコンサートはもちろん、親子で楽しめるコンサートはもちろん、ワークショップ、さらには公開リハーサル体験など普段は体験しにくい企画もある。

 人気公演はすでにチケットが売切れのものもあるが、無料公演も含め、まだまだ参加する余裕はある。

 桜も開花して上野へも足を延ばしたくなる時期。プランにクラシック音楽鑑賞も加えてみては?