日本の伝統、文化、芸術を五感で感じるレストラン

 伝統芸能と日本の食文化を体験できる劇場型レストラン「水戯庵(すいぎあん)」が東京・日本橋にオープンした。店内には能や狂言、文楽、日本舞踊などを上演できる舞台を設置。約5.4m四方の舞台には、江戸時代に狩野派が描いた鏡板が使われるなどこだわりの演出が施されている。

大倉源次郎、木村英智氏、野村萬斎(左から)

 手掛けたのは、日本が世界に誇る水族アート展覧会「アートアクアリウム」を創り上げた木村英智氏。木村氏は「本当の日本との出会いの場を作ろうと思った」と語り、「ここは本物の片りんと出会う場所。そしてその後、本物の神髄を体験していただくために、能楽堂などにちゃんと足を運んでもらうための出会いの場所にしたい」と同店のコンセプトを説明した。

 オープン前日には狂言師の野村萬斎が、こけら落としとして能の「三番叟(さんばそう)」を披露。「音響も非常に良くてまさしくライブハウス的な空間」と初めて踏みしめた舞台についての感想を述べた。また、「日本の伝統芸能というと秘密結社のような感じでなかなか足を踏み入れにくい所だと思いますが、こういう施設で気楽に触れていただくことが重要かと思います。これをきっかけに本格的な能楽堂や歌舞伎、寄席に行っていただければ。私もシンゴジラになったり、羽生選手の金メダルになる元になる映画(「陰陽師」)に出たりして、いろいろな発信をしています。古典芸能はまだまだ可能性を秘めていると思っています」と同レストランと伝統芸能について期待を込めてコメントした。

 ランチ、ティー、ディナータイムは伝統芸能の公演と飲食が、またラウンジタイムには食事やお酒が楽しめ、時には芸者による踊りが行われることも。
 食事は現存する最古の江戸前寿司処「すい栄」、お茶は京都の茶舗「福寿園」、お菓子は京菓子の老舗「老松」や「亀末廣」がメニューを提供。また、器や漆器、膳などは老舗料亭から受け継いだ、江戸から大正初期のものを使用するなど細部にまで日本の伝統にこだわった。

 オープニングプレミアウィークとして4月3日(火)まで、日本を代表する伝統芸能の継承者が日替わりで同舞台に出演。流派やジャンルの垣根を越え、人間国宝をはじめこれだけの演者が常設の舞台に出演するのは史上初めて。伝統芸能に興味はあるが、なかなか見る機会を作れなかったという人は、ぜひこの貴重な機会に体験してほしい。4月4日(水)以降の公演スケジュールほか詳細は公式ホームページ(https://suigian.jp/)で。