近藤魁成「高校生のうちにK-1のチャンピオンになりたい」

撮影:辰根東醐

 昨年11月、高校1年、16歳でK-1甲子園優勝。先月、さいたまスーパーアリーナ・メインアリーナで開催された「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K’FESTA.1」のプレリミナリーファイトでプロデビュー。1R1分23秒で勝利した近藤魁成。福士蒼汰似のイケメンっぷりでも注目を集めたが、いきなりの大舞台にも「小さい頃からデカい会場で試合をするのが夢だったので、緊張よりワクワクの方が大きかったです」と余裕を見せる。さらに「目指していた舞台でしたが、まだまだこれから。スタートにも立ててないです。試合ではガードの上からくらったんですが、慌てることなく冷静に進めることができました」と語る。その心臓の強さは家庭環境にあった。

「父が空手の道場をしていたので、兄姉全員空手をやっていました。8人兄姉なんですが、姉や妹は近藤家ルールで中学生までやって、男3人はプロの格闘家になりました」

撮影:辰根東醐

 格闘界では“近藤3兄弟”の末っ子として、なるべくして格闘家になった近藤。空手からキックボクシングに転向したのは、ある選手の影響だとか。

「小学生の時にテレビでKrushの初代55㎏トーナメントを見て、瀧谷渉太選手が日下部竜也選手を前蹴りでKOしたんです。それが格好良すぎて、自分もキックボクシングをやろうと決めました。その時はまだ新生K-1が今みたいに盛り上がっていなかったのですが、練習をしていたらK-1が始まり、スター選手もいっぱい出てきて、やるんだったらK-1の世界チャンピオンを目指したいと思うようになりました」

撮影:辰根東醐

 順風満帆に格闘家人生を歩み始めたように見えるが…。

「キックボクシングの選手にあこがれたものの、小学1年生から5年生までは病気で入院していて、キックボクシングどころか空手もまったく練習できない期間があったんです。でも、退院して中1でキックボクシングを始め、高校1年生の時にK-1甲子園で優勝することができました。兄(近藤拳成)もK-1甲子園で優勝しているんですけど、高校2年の時だったので、僕のほうが早かったかなって(笑)」

撮影:辰根東醐

 12月には大阪で新生K-1初の大会が開催。

「地元開催なので絶対に参戦したいと思っています。遠方だとなかなか来られない友達にも試合を見てもらいたいという思いがずっとあったので、とてもうれしいです。会場のエディオンアリーナは、地元からも近く頑張ったらチャリで行けるぐらいの距離なので、家族や兄姉、友達にいっぱい来て欲しい。選手としての知名度でいったら皇治選手のほうが有名ですけど、試合内容で勝ってインパクトを残したいです」

 Krushの試合を見てあこがれを抱いた少年が、新生K-1が盛り上がったタイミングでK-1甲子園優勝。そしてさいたまスーパーアリーナ・メインアリーナでのデビュー戦でKO勝利。その年には地元でK-1の大会が開催される。実力もさることながら、運もバックアップしているよう。

「自分でも“持ってる”と思います。実は次回の試合では、ー65㎏に階級を上げようと思っています。今回減量が13㎏でめちゃくちゃきつかったので、次は上げていこうと。ー65㎏と言えばゲーオ選手をKOした平本選手や、Krushのチャンピオンの中澤選手など層が厚く、強い人がいっぱい集まる階級。でも自分はそこでチャンピオンを目指したい。また、Krushでちょうどー65㎏次期挑戦者決定トーナメントをやっていて、今勝ち残っている篠原選手が大阪出身なんです。しかもその篠原選手と兄は対戦したことがあって、兄が負けている。大阪大会では強い選手とやってみたいので、篠原選手と対戦するのもおもしろいかなって。同郷対決で兄のリベンジを地元で果たす。これが実現したら、本当に自分は“持ってる”選手ですよね」

 そんな“持ってる”ファイターの夢は?

「誰も成し遂げた事がない事をしたいので、高校生のうちにK-1のチャンピオンになりたいです。高校生活はあと2年あるので、狙えると思っています。そしてゆくゆくは武尊選手のような有名な選手になりたい。格闘技は最後の最後まで予想がつかないスポーツ。1 秒あったら展開が変わるので最後まで目が離せません。一発当たれば相手を倒せるところがおもしろいと思いますので、ぜひ会場に来て、その瞬間を見逃さず楽しんでいただけたらと思います」

撮影:辰根東醐
近藤魁成(こんどう・かいせい)
大阪府大阪市出身。2001年7月2日生まれ。空手道場をやっていた父親のもと、兄姉たちと一緒に空手の練習にはげむ。小学生の時に見たKrushの試合に衝撃を受け、中学1年生でキックボクシングを始め、2017年K-1甲子園で優勝。長男(大成)、次男(拳成)とともに格闘家の道へ。先月行われた「K-1 WORLD GP 2018 JAPAN ~K'FESTA.1」でプロデビュー。KO勝利で大きなインパクトを残す。K-1甲子園2017 -65kg王者。大成会館所属。Twitterアカウント:@k1aisei