桜庭軍決勝で散る。優勝はイギリスのPOLARIS 【4・11 QUINTET.1】

 桜庭和志が立ち上げた新たなグラップリングイベント「QUINTET.1ーGrappling Team Survival Match-」(4月11日、東京・両国国技館)が行われ、POLARIS Dream Teamが決勝で桜庭率いるHALEO Dream Teamを破り、記念すべき第1回大会で優勝を果たした。

POLARISチームの次鋒ヘルドは足関節で2人抜き。写真はトマセビッチ戦の膝十字固め(撮影・上岸卓史)
POLARISチームが1回戦でSAMBOチームに3人残しで圧勝

 試合は日本の武道の伝統的な試合形式である「抜き試合」形式。1チーム5人で、5人の総体重が430kg以内で構成され、1試合8分、対戦選手の体重差が20kg以上ある場合は1試合4分で行われた。

 POLARISチームはイギリスで行われているプログラップリング大会『POLARIS』に参戦する選手を中心とし、現在のブラジリアン柔術、グラップリングの最前線で活躍する選手が揃ったチーム。

 1回戦ではリトアニアの格闘家で構成されたSAMBO Dream Teamと対戦。先鋒のクレイグ・ジョーンズがミンダウス・ベルツビカスを1分58秒、膝十字固めで破ると次鋒のセルゲイ・グレチコと引き分け。試合は一本で決着しない場合は両者失格となるため、戦況はPOLARIS次鋒のマーチン・ヘルドvsSAMBO中堅のビクトル・トマセビッチへと移る。

 ここでヘルドがトマセビッチを2分36秒、膝十字固めで、副将のテオドラス・オークストリスを45秒、膝固めで破り、SAMBOチームの大将マリウス・ザロムスキーとの対戦に持ち込む。

 ヘルド以下4人を一人で破らなければいけないという過酷な状況での登場となったザロムスキーは一本を奪うべく果敢に攻め込むが、グラップリングテクニックで勝るヘルドは得意の膝十字固めであわや一本の場面も作るなど、試合の主導権を握ったままドローに持ち込み、3人残しと圧倒的な勝利で決勝に進出した。
所は1回戦のキム戦で電光石火の腕十字固めで一本勝ち。会場は一気に爆発した(撮影・上岸卓史)
所が15秒、逆十字固めで一本勝ち。会場が一気に爆発

 もうひとつの1回戦ではHALEOチームと石井慧が大将を務めるJUDO Dream Teamが対戦。一人残しでHALEOが勝利を収めた。

 大会のオープニングマッチとなったのはHALEO先鋒の中村大介とJUDO先鋒の小見川道大の一戦。開始早々に柔道家ならではの投げを綺麗に決めた小見川が肩固めを狙うなど押し気味に試合を進めたが、中村は試合終了間際に得意の腕十字固めに持ち込むなど互いに持ち味を発揮しつつもタイムアップ。両者失格となる。次鋒戦の桜庭vs出花崇太郎は開始早々に出花が腕十字固めを決め、あわや秒殺の場面を作るが、百戦錬磨の桜庭は巧みなディフェンスで脱出。その後も互いに一本を狙う動きを見せるがタイムアップ。

 いきなり2戦続けての引き分けに、やはり実力が伯仲したもの同士の対戦に8分は短すぎたのか…と思われたところで、中堅同士の所英男とキム・ヒョンジュが対戦。所がスライディングしながら足をすくい、レッグロッグから左腕に移行し、腕十字固めを電光石火で決め、わずか15秒で鮮やかな一本勝ち。会場が一気に爆発した。

 勝ち抜いた所は今度はJUDOチームの副将ユン・ドンシクと対戦。体重差が20kg以上あることから試合時間が4分となり、勝てないまでも引き分けでユンを消したい所だったが、ユンは柔道仕込みの寝技で所を制圧すると、最後はエゼキセルで46秒、一本勝ちを収めた。ユンはマルコス・ソウザとの副将同士の戦いに持ち込み、これまた勝てないまでも引き分けに持ち込み、大将戦に勝利を託したいところだったが、やはり1試合先に戦っているというハンディもあり、4分18秒、ソウザが腕ひしぎ十字固めで勝利を収める。
4分では短すぎた。石井(右)はソウザを仕留めきれずJUDOチームは1回戦敗退(撮影・上岸卓史)
石井はルールに泣く。「またこのチームでやりたい」

 JUDOチームに残るは大将の石井のみ。戦前からジョシュ・バーネットとの対戦を熱望していた石井だったが、ソウザとは20kgの差があったことから試合は4分に。いかに柔道の五輪金メダリストといえどもこの時間で柔術の強豪から一本を取るのは至難の技。このあたりはまさに抜き試合におけるオーダーと体重差によるルールの妙。ソウザが逃げ切り引き分けで石井を消し、ジョシュの一人残しでHALEOチームが決勝進出を決めた。

 石井は試合後の会見で「4分ではさすがにソウザ選手から一本を取ることは難しかった。8分あれば取れていたと思う」と無念の表情。しかしこの試合形式とチームメイトの戦いぶりに手応えを感じたようで、「このチームでもう一度やりたい。そしてジョシュと戦いたい」と話した。
所は決勝ではストラウスのギロチンチョークの前に最後までタップせず落とされてしまった(撮影・上岸卓史)
決勝でもPOLARISの“極め”がHALEOを圧倒

 決勝はHALEOチームvsPOLARISチーム。決勝は1回戦で出場機会がなかった選手を優先的にオーダーしなければいけないため、HALEOチームはジョシュを先鋒に、次鋒・中村、中堅・所、副将・桜庭、大将・ソウザというオーダーに。

 対するPOLARISチームは3人残しだったため、先鋒・グレゴー・グレイシー、次鋒・ダン・ストラウス、中堅・宇野薫、副将・クレイグ・ジョーンズ、大将・マーチン・ヘルドというオーダーとなった。

 HALEOはこの日初登場のジョシュで一気にポイントゲットといきたいところだったが、ここでも体重差が20kgとなり試合は4分に。グレゴーが消極的ファイトで指導を受け、残り1分のところでジョシュが有利なポジションからの攻撃のチャンスを得る。ジョシュはアキレス腱固めで勝負に出るが、決めきれずにタイムアップ。HALEOは実力者のジョシュをいきなり失い苦し展開に。

 続く次鋒同士の対戦となった中村vsストラウスは中村が上を取る場面もあったが、ストラウスは巧みに逃れるとバックを制し、スリーパーホールドをガッチリと決め、2分35秒、リアネイキッドチョークで勝利を収めた。

 続く所vsストラウスの試合時間は4分。動き回り勝機を探る所だったが、どっしりと構えたストラウスは最後はフロントチョークで所の動きを止めるとギロチンチョークで絞め落とし、2連勝。桜庭との対戦に持ち込んだ。
決勝では副将で戦った桜庭(奥)。足関節を狙うも極められず(撮影・上岸卓史)
桜庭はこの日、2試合ともドローに終わる

 グラウンドに誘うストラウスの足元から大きくジャンプしポジションを奪いにいくなどトリッキーな動きを見せる桜庭に対し、上を取って上四方、横四方と自在にポジションを変え一本を狙うストラウス。桜庭は下から膝を決めにいく動きを見せるなど会場を沸かせるが、引き分けでもOKのストラウスから一本を取るのはやはり難しくタイムアップ。

 この時点でソウザ1人を残すHALEOに対し、POLARISは3人残りと圧倒的に有利な状況となった。

 ソウザvs宇野は開始早々の探り合いの中で宇野の指がソウザの目に入るアクシデント。治療のための中断の後、ソウザは高速タックルから左腕を腕ひしぎ十字固めにとらえる。宇野は得意のディフェンスでなんとか脱出を図るが、腕十字がガッチリと決まり無念のギブアップとなった。

 続くはソウザvsジョーンズ。引き込んだジョーンズが膝十字固めを狙うが、危機を察知したソウザは回転して脱出を図る。しかしジョーンズはその動きにしっかりついていき、ソウザを逃さず、ガッチリと膝十字固めを決めるとソウザはたまらずタップ。

 POLARISが2人残しで勝利を収め、優勝を果たした。