スキージャンプ・タイムライン【AFLO SPORT Presents PHOTOIMPACT-プロの瞬撮-】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
2017年2月24日、札幌で開催されていた冬季アジア大会の取材にきていた。
北の大地での撮影はすでに1週間が経過していた。多少の寒さを感じるものの、すでに慣れっこだった。

この日は朝一でテイネハイランドスキー場へ向かったが、強風により競技は延期。2時間も斜面で待ちぼうけをくらい、寒さに慣れたという自負も飛んでいってしまった。延期となれば次の取材先へ移動となる。まずはスキー場からバスで麓の手稲駅へ。着込んでいても凍えていた体が今度は汗をかき始める。JRで札幌に行って、地下鉄に乗り換える。そしてまたバスに乗り、ジャンプ台へやってきた。いつもの大量の機材はもちろん、防寒具、さらにはアイゼン(雪や氷の斜面に立つために履く登山道具)と共に。

このジャンプ台は札幌の中心部が背景になる世界屈指の展望がある。
夕焼けと街並み、スキージャンパー、この3点セットを一枚の絵に収める。これが今夜のミッションである。

16時03分 ジャンプ台のメディアルームを出て、 ランディングバーンの最上部へ向かう。空全体は明るく、雲がゆっくり流れていた。このまま日が暮れればバッチリの絵になるだろう。

16時13分 適当な高さまで階段を下りると、同時にテストジャンプが始まる。急いで機材を組み立て、3点セットを撮れるポジションを探し始めた。テストジャンパーだからか、みな飛行ラインが低くて絵が決まらない。というか雲が増えてきて天候はまずい事態に。とにかく今できることをするしかない。チャンスが来たらすぐさま撮影できるように、選手の飛行ラインを予測しながら構図を考えた。

16時16分 たまにくるいいテストジャンパーのおかげでアングルが決まる。あとは雲次第だが、雪が降りだす。

16時23分 雪の調子が良くなり、街はガスの中へ。周囲は真っ白になってしまう。

16時40分 夕焼けの絵をあきらめ、ポジションを離れる。私のテンションはとても低い。気温も低い。

16時45分 選手によるトライアルジャンプ開始。レンズをワイドから望遠に交換して飛行中の選手を見上げて撮影していた。

カメラのモニターでピントや露出を確認すると、うっすらピンク色の画像があった。これは何だ?と思いながら後ろを振り返ると、ほぼ同時にワイドレンズに手をやった。わずか数秒でレンズ交換を終えると同時に階段を駆け上がった。選手の助走、飛行中は動けない。飛行の合図を出すコーチや選手の動きを見ながら足を動かしては止め、また動かした。息は上がり、汗をかいても、必死に登った。振り返った一瞬で見た街の景色が脳裏に張り付いていた。1秒でも早く、先ほどのポジションに戻り、撮影したかったのだ。

選手を街並みに入れ込み、構図を微調整しながら、レンズを交換しながら、夢中にシャッターを切った。あるとき急にあたりが暗くなるのを感じた。しばらく忘れていたが、カメラモニターで画像チェックをすると、景色は夜に変わっていた。階段ダッシュのせいか、興奮していたのか、まだ息はすこし上がっていた。 わずか5分の夕焼けだった。

撮影/文章:松尾憲二郎(2017 年2 月24 日札幌アジア大会スキージャンプ)
■カメラマンプロフィル
撮影:松尾憲二郎
1985年 東京生まれ。
都立工芸高校デザイン科、東京造形大学デザイン学科卒業。
学生時代よりエクストリームスキーヤーとしてアメリカを中心にワールドツアーを転戦。
選手引退後、バックカントリースキーを中心に撮影者として雪山を登ってきた。
2014 年より「アフロスポーツ」に所属。
現在は様々なスポーツを撮影している。

■取材歴
2015 冬季ユニバーシアード(スペイン/グラナダ)、EAFF 東アジアカップ(中国/武漢)、世界柔道(カザフスタン/アスタナ)
2016 スキー遠征(モンゴル/アルタイ山脈)、リオデジャネイロパラリンピック
2017 冬季ユニバーシアード(カザフスタン/アルマティ)、冬季アジア大会(札幌)、世界フィギュアジュニア(台湾/台北)、夏季ユニバーシアード(台湾/台北)、フィギュアGPシリーズ(ロシア/モスクワ)
2018 冬季オリンピック(韓国/平昌)

■個展
2011 冷やしボブ(ボブ東京)
2014 YMK_展(EATME GALLERY 南青山)、YMK_展 (UP LAND 札幌)
2016 SKIING MONGOLIA(代官山ヒルサイドテラス)、season(NIKON 新宿フォト・プロムナード)
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している

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