「黒澤明、高畑勲…」ウェス・アンダーソン、敬愛する日本の巨匠の名を次々と!

 映画『犬ヶ島』の来日記念舞台挨拶が22日、都内にて行われ13年ぶりの来日を果たした監督のウェス・アンダーソンがコーユー・ランキン、ジェフ・ゴールドブラムや日本人ボイスキャストらとともに登壇した。

 日本を舞台に、愛犬を探す少年と犬たちの冒険をストップモーション・アニメーションで描いた、アンダーソン監督の日本文化への思いがあふれる作品。前作『グランド・ブダペスト・ホテル』に続きベルリン国際映画祭にて銀熊賞を受賞した。
 最初に舞台に姿を現したのは、なんと力士と呼び出し。「うぇす・あんだ~そん~」と相撲さながらの本格的な呼び出しでアンダーソン監督が登場するや、客席からも大きな声援と拍手が沸き起こった。ウェス組常連のゴールドブラム、主人公アタリ少年の声を務めた期待の新星コーユー君も同様に登壇。日本流のユニークなもてなしに大きな笑顔を浮かべた。

 久しぶりの来日について監督は「本作の製作にあたって6年間、日本以外のことは考えていませんでした(笑)。そのさなかに娘が生まれまして、今2歳半になります。つまり娘は生まれてから僕と一緒に日本のことに触れてきたんです。今回一緒に来ているんですが、彼女は異常なくらい興奮しています(笑)。それが僕にも伝染して、本当に幸せな気持ちでいます」と挨拶。
用意してきた手紙を読み上げるアンダーソン監督(写真左)
 さらに「日本のファンに直接話したくて、一生懸命練習しました。聞きづらいと思うけど…」とメモを取り出した監督。まさか日本語でスピーチを? と思いきや「あ、ほとんど英語です(笑)」。そして読み上げられたスピーチは、日本を舞台にした作品に4年の歳月を注ぎ込んだ監督の、心からの日本愛があふれる感動的なものだった。

「2012年、1つのアイデアが浮かびました。それは何頭かの犬がゴミの島に置き去りにされ、彼らを助けに行く男の子の物語でした。そこで、いつも一緒に映画を作っているジェイソン・シュワルツマンやローマン・コッポラと一緒に、自分たちにある質問を投げかけました。クロサワサンナラ、ドウスルダロウカ? その答えに向かい本当に努力しました。もしかしたらその答えを出せなかったかもしれないけど、黒澤明監督の影響無くして、この映画を作ることができなかったのは確かです。そして、この映画を作るために素晴らしいコラボをしてくれた人たちが他にもいます」と語り「野村訓市、ジェレミー・ドーソン(プロデューサー)、コーユー・ランキン、ジェフ・ゴールドブラム、アンディ・ジェント(パペット制作リーダー)、夏木マリ、村上虹郎、伊藤晃、池田エライザ、そして渡辺謙、野田洋次郎」と本作に参加したスタッフやキャストたちの名前を呼びあげ、「はい!」と返事をしながら野村、夏木、村上、伊藤、池田が登壇。さらに監督は「黒澤明、大友克洋、宮崎駿、そして高畑勲…心からの愛とともに。庵野秀明、今村昌平、北野武…」と敬愛する日本の巨匠たちの名を次々と読み上げ「この物語の舞台は、外国人である僕が想像したウニ県という場所です。この映画の製作が始まった日から、こうして日本に来て日本の観客の皆さんにこの映画を見てもらうことを思い描いてきました。それが今日です」と用意したスピーチを締めくくり、万雷の拍手に包まれた。
主人公アタリ少年を演じたのは8歳のときだったというユーユー君(写真中央)。11歳になりすっかりイケメンに!
 監督と会うことなく声の演技をしていたというキャストたち。編集者ヒロシの声を吹き替えた村上は「今日、着ている浴衣は監督からいただいたものなんです。『犬ヶ島』仕様です。劇中に(浴衣の柄の)火の玉が出てくるんですけど、なぜ火の玉なのか後で監督に聞いてみたいです。監督とはついさっき初めてお会いしたんですが、やっと今日ウェス・アンダーソン作品に出演したことを実感しました」と念願の監督との対面を喜んだ。

 最後に監督は「本作はすでにいろいろな国で公開されているけど、僕にとっては今日のこの日が本当のワールドプレミアです。本当にありがとう」と熱いメッセージを日本のファンに贈り、観客も拍手喝采で一同を見送った。

『犬ヶ島』は5月25日より全国公開。