カンヌ最高賞・是枝監督が明かす、ケイト・ブランシェットを虜にした安藤の演技とは

 映画『万引き家族』で第71回カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)を受賞した是枝裕和監督が23日に帰国。羽田空港内にて“凱旋”帰国会見を行った。

 詰めかけた約80名のマスコミの前にトロフィーを抱えて登場した是枝監督。「大きな賞であることが、お越しいただいたマスコミの方の数を見て分かります」と記者たちの熱気を受け止め、質問に答えていった。

 過去作品との反応の違いを質問されると「『誰も知らない』のときの反応)も温かったけど、あのときは子供たちの世話で手一杯で、それだけで終わってしまったという印象」と振り返り「今回は、公式上映後に受けた取材で記者たちから“Touch”と“Love”という言葉が一番多かったんです。それで、届いたなと良い手ごたえは感じました」と、現地での反響に手ごたえを感じていたことを明かした。

また、本作の好演で注目を集めている子役・城桧吏くんについて質問されると「普段は実年齢よりも幼いぐらい子供っぽいのに、レンズを通すと色っぽいんです。僕の演出上、子供には台本を渡さないので、桧吏も理解していない。でも周りの大人をよく観察していて、撮影が進むごとにカット割りを推測し始めたりしていました。そういう観察力が演技に生かされていたと思います」と答えた。

 今回の受賞理由をどう分析しているかとの質問には「自慢げに聞こえるようで嫌ですが」と苦笑しながらも「授賞式の後、映画祭公式のディナーの場で、審査員長を務められたケイト・ブランシェットさんに、授賞式後の公式記者会見の際にも仰っていただいたことと同様、演技、監督、撮影などトータルで素晴らしかったと改めて言っていただきました。また、安藤(サクラ)さんの芝居についても熱く語っていて、彼女の泣くシーンがとにかくすごかったと。“今後、私も含め今回の審査員を務めた俳優の中で、今後あの泣き方をしたら、彼女の真似をしたと思って”と仰っていて、その会話から虜にしたんだなとよく分かりました」と明かし、安藤の演技も大きく評価されていたことを明かした。

「役者のアンサンブルがとてもうまくいきました」と本作で注目してほしい点にキャストたちの存在をあげた監督。トロフィーを「一晩くらいは抱いて寝ようと思います(笑)」と改めて喜びを噛みしめていた。

『万引き家族』は6月8日よりTOHOシネマズ日比谷他にて全国公開(ギャガ配給)。

©2018『万引き家族』 製作委員会