高谷裕之「KOで決めるつもり。HIROYA選手にもその気で来てほしい」【6・17 RISE 125】

 立ち技格闘技「RISE」の史上最大のビッグマッチ「RISE 125」(6月17日、千葉・幕張メッセ・イベントホール)で総合格闘家の高谷裕之と初代Krush -65kg級王者のHIROYAの異色の対決が行われる。2004年以来14年ぶりにキックルールに挑む高谷に話を聞いた。

トレーニングジム「EXFIGHT」の代表となった高谷裕之(撮影・蔦野裕)

「HIROYA選手はずるいことをしないで真っすぐ戦う選手という印象」
 RISEから「HIROYA選手との対戦で話が来た」とのこと。最初に聞いてどう思った?

「キックボクシングをやるイメージは、あまりなかったのですが、地元の千葉での開催というのと、HIROYA選手とだったら戦いたいなという気持ちになって参戦を決めました」

 これまでにHIROYA選手との接触は?

「ないと思うんですが…。会見でHIROYA選手が練習しているところを見たことがある”と言っていましたよね。でも申し訳ないことに、どこのことなのか分からないんですよ(笑)」

 ではHIROYA選手にはどういったイメージを?

「試合を見た中では、ずるいことをしないで真っすぐ戦うタイプの気持ちのいい選手だという印象を持っています」

 戦いやすい?

「戦いやすいというか、いい試合になるだろうなと思いました。僕が向かっていくところをはぐらかされたりとか、ポイントアウトを狙うような戦い方ではなく、本当にぶつかり合うような、どっちが強いのかを見せられるような本当の勝負ができるんじゃないかなと思います」

 2004年にキックで2試合戦っているが14年も前の話。立ち技という点では2013年にシュートボクシング(SB)のリングでSBルールで宍戸大樹と戦っている。あの試合はフルラウンドの激闘で後楽園ホールを大きく沸かせた。

「宍戸選手とHIROYA選手は僕の中では全然違うタイプの選手という印象です。HIROYA選手のほうが真っすぐ来そうなイメージがありますね」

 総合格闘技の選手がキックルールでキックボクサーと戦うことは時折あるが、本職ではない分、高谷の言う“はぐらかす”という試合運びをされると消化不良の試合に終わる時がある。

「そうですね。でも今回はそういうことはなさそうなので、いい試合ができると思います」

 試合自体は昨年末のRIZINでのバータル・アズジャブハラン戦以来となる。あの試合はアズジャブハランの消極的なファイトで戦っている高谷自身フラストレーションがたまる試合だった?

「……」

 思い出したくもないという感じですね。
「(笑)」

 その分、今回はすかっとした試合ができそうで良かった?

「そうですね。本当に気持ちと気持ちがぶつかるような試合ができそうです。こっちはKOで試合を決めるつもり。“もちろん、そっちもそのつもりだよな”って感じですね」

 会見で初めて会ったと思うが、その時のイメージは?

「下から階級を上げて来ているイメージでしたが思ったよりでかかった。兄弟ともに試合のない時はデカくなるらしいですね」

 今はやりの体重超過だけは勘弁という感じ?

「それこそ、試合が65kgじゃなくて67kg契約になったのは僕の要望じゃなくて主催者側の要望なんです。でも僕としては最近は65.8kg辺りで試合をしているので今回、1.2kgは減量が楽になりました」

 HIROYAもRISEのリングは初登場だがキックのリングということで、高谷にとっては完全アウェーな状態。しかし地元・千葉での開催ということで大応援団がやってきそう。

「多分みんな来てくれると思うので、ホームにしてやろうと思っています」

「ここで育った子供がプロになったら、めちゃくちゃテンション上がりますよね」と笑顔を見せた高谷(撮影・蔦野裕)

4月に新設ジム「EXFIGHT」代表に就任。「負けられない理由が増えて、いい刺激」
 実は高谷は4月に代官山にオープンしたトレーニングジム「EXFIGHT(エクスファイト)」の代表を務めている。一方のHIROYAは所属するTRY HARD GYMの代表代行という立場。まさに大将同士の対決となる。

「負けられないですよね。いろいろと負けられない理由が増えてきて、いい刺激にはなっていると思います」

 このEXFIGHTでは今後プロ志望の選手も積極的に受け入れていく?

「はい。まだ少ないですけど、それこそプロに教えるにはいいトレーナーがいっぱいいますし十分な環境が整っています」

 EXFIGHTは高谷を筆頭に元UFCファイターの岡見勇信、PRIDE武士道やDREAMなどで活躍した石田光洋ら打撃からグラウンドとバランスのいいトレーナーが揃っている。プロ選手が出げいこに来るにはいい環境のいわゆる「メガジム」だ。

「僕自身、ここでプロ練習をやっていますし、ここに練習に来る選手もいます。そういう選手は今後増えてくると思います。岡見も柔術やグラップリングの練習をやったりしています。柔術からレスリング、グラップリング、MMA、キックボクシングとフィジカルトレーニングが1カ所でできるというのがこのジムの最大の強み。サンドバッグもたくさんありますし、エリアも広い。でもプロばかりではなくて、1から丁寧に教えられるトレーナーもいますので、一般の人も始めやすいですし、本当に初心者の人でも楽しめる空間になっていると思います。それにキッズの体育教室やレスリング教室、柔術などもやっているので、小さい時から体を使って運動能力を伸ばせるような環境になっています。ヨガなどのコンディショニングのメニューもあるので、ヨガは僕も受けています」

 ヨガはここで初めて?

「はい。ヨガは気持ちいいですよね。なんというか、空気をたくさん吸うし、呼吸とともに伸ばしたりするのでリセットされる感じがします。UFCの選手の中にも取り入れている選手は多いようです。確かヒクソン・グレイシーもやっていましたよね。ここではやろうと思っていなかったことまで始められちゃう(笑)。今まで気づいていなかったことにも気づけましたし」

 将来、ここで育て上げた子供がプロ格闘家になることもありそう。

「僕はやる気のある子は大好きなんです(笑)。子供は日に日に伸びるので、教えていて面白い。もしそんな子がプロになるようなことがあったらめちゃくちゃテンションが上がりますよね」

 あと15年くらい? 高谷選手自身がまだ現役の可能性も?

「そりゃないんじゃないですか、さすがに(笑)」

 高谷はMMAで38戦のキャリアを誇る。現在40歳で試合の時には41歳になる。得意の打撃で真っ向勝負を挑むスタイルだけにパンチを食らうことも多いのだが、ここまで大きなケガもなく、近年も常にベストコンディションでリングに上がっている印象。

「どこかで年を数え間違えたんじゃないかと思うんですよ(笑)。本当に親に感謝ですよね」

 ジムの代表として、今後の目標は?

「まずはここEXFIGHTを成功させることはもちろんなんですが、ここをもとに格闘技界全体を盛り上げて、やる人も見る人も含めた格闘技人口を増やしたい。そしてそれを東京だけじゃなく、日本全体に広げていけるようにしたい。それが目標です」
                                   (TOKYO HEADLINE 本吉英人)