【インタビュー】中村橋之助が創作舞踊「カルメン2018」に挑戦!

撮影・仲西マティアス
 日本舞踊“未来座”によるSAIシリーズ第二弾「カルメン2018」が6月22日から国立劇場小劇場で上演される。同シリーズは松本幸四郎をはじめとする日本舞踊協会のメンバーが、日本舞踊の継承と革新のために誕生させたもので、昨年第1回目となる公演が行われた。今年は世界的オペラ「カルメン」を題材に上演。7月に襲名披露興行を終える中村橋之助がダブルキャストで、創作舞踊に初挑戦する。
撮影・仲西マティアス
「創作舞踊はまったく初めてです。物心がつく前から、踊りの師匠である伯母の中村梅彌のお稽古場に通って日本舞踊は習っていましたが、それとは違うものだと思います。ただ、日本舞踊を元にしたものではあるので、今まで自分が培ってきた基礎の部分に、新しい引き出しを作っていければと思っています。歌舞伎は稽古期間がものすごく短いのですが、今回は1カ月近くあります。セリフ劇でしたら、いただいた台本のセリフを稽古までに覚え、それぞれが作ってきた役を皆でディスカッションして、一つの演目を創り上げていく。しかし、今回は舞踊劇ですので、振りを稽古で渡していただき、またほかの人と合わせる部分も多いので、そのくらいの期間はかかると思います」

 創作舞踊、長い稽古期間、そして女性キャストとの共演など、初めて体験することが多い。

「コクーン歌舞伎では1カ月の稽古を経験しましたが、それ以来の長い稽古で、セリフのない舞踊劇も初めて。また(市川)ぼたんのお姉さんをはじめ、女性の方と一緒に舞台に立たせていただくことも、これまでにない経験です。さらに、一人で歌舞伎以外の舞台に出るのも初めてと、自分にとって、初めての事ばかり。ですから、今まで勉強してきたことにとらわれずに、逆にいろいろ吸収するつもりで、能動的に動いていきたいなという気持ちです。また、今回は襲名披露をしているため出演できなかった幸四郎のお兄さんから、臆さず自分の得意とする部分を磨いてほしいという事を言っていただきました。ですから、苦手な部分を気にしすぎて悩んでしまうのではなく、自分の強みを武器として勤めていけたらと思っています」
撮影・仲西マティアス
 その武器とは?

「今回で言えば、出演者の中で一番年下なので、若さであったり、フレッシュさであったり、元気であったりという部分でしょうか。またそれが、ホセという役にも直結してくると思っています。ただ、自分は舞台の上では比較的気持ち先行型なので、あまり走り過ぎないように、自分のキャラクターと重なる部分をうまく生かして役を創り上げていきたいと思っています。(花柳)輔太朗さんやぼたんのお姉さん、そして諸先輩方がダメ出しなり、手助けなりをして下さると思うので、それを素直に聞いて、若々しいパッションあふれるホセを作っていきたいと思います」
撮影・仲西マティアス
 橋之助といえば、父親が8代目中村芝翫、自身が4代目中村橋之助、次男が3代目中村福之助、三男が4代目中村歌之助と、親子・兄弟4人が同時に襲名することで話題に。

「2016年10月から襲名披露興行が始まり、今年の7月で最後になります。この2年間はこれまで勤めたことのないような大きな役をたくさん勤めさせていただきました。そのおかげで、役に対する向き合い方や、お稽古の仕方、自分の気持ちと体力の作り方など、多くのことを勉強させていただきました。本当に歌舞伎役者として、人生の中で一番充実した2年間であったように思います。もちろん今後も常に去年の自分を超える自分になれるよう、毎年努力を続けていきたいと思いますが、そんな充実した日々の終わりというか、スタートに、今回のような歌舞伎以外の舞台をさせていただけるのは、とてもありがたいですし、自分の気持ちの中で、気合の入る公演になると思います。自分は演劇、特に舞台にすごく興味があるので、今後は歌舞伎以外の演劇などにも挑戦していきたいと思っています。しかし、一番好きなのはやはり歌舞伎ですので、いろいろな事をやって、そこで手に入れた引き出しをたくさんもって歌舞伎の舞台に帰ってきたいと思っています」

 今回の舞台で表現したいことは?

「歌舞伎は伝統の継承と革新で続いています。伝統が継承されたものが新しく革新されて、その革新されたものがまた継承されていく。その積み重ねで、歌舞伎というものが400年近く続いているわけですから、それを続けていかなければと思っています。その中で今回の舞台は、まさに伝統の継承であり、革新であると思います。歌舞伎の場合は型という入れ物があって、その入れ物の中でお芝居をする。今回の舞台は、入れ物自体が開閉式といいますか、飛び出して下さいというぐらいの勢いのあるものですから、僕自身もいろいろな事をやりたいと思っています。歌舞伎座に出ている橋之助では出せない部分が、今回のカルメンでは出せると思うので、普段から僕を見て下さっている方には、そういうところを注視して見ていただければ、楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。逆に初めて僕を見て下さる方には、こういった橋之助を見て、逆に歌舞伎であったり、日本舞踊であったりに興味を持っていただけたら、ありがたいです。両方のお客様に楽しんでいただけるよう、両方の要素を持って踊り、舞台を勤めていきたいと思います」
第二回日本舞踊 未来座=裁(SAI) = 「カルメン2018」

【日程】6月22日(金)〜24日(日)※開場は開演30分前
【会場】国立劇場小劇場(半蔵門)
【料金】全席指定8000円(税込)
【問い合わせ】日本舞踊協会(TEL:03-3533-6455、平日10〜17時 [URL] www.nihonbuyou.or.jp )