マザーズ上場の起業家が学生に伝えた「弱みと向き合う」トップの器

「起業特論Aトップリーダーマネジメント」第3回講師:福井康夫氏『ITを武器に小売りを変える』(2018年4月20日実施)
文部科学省が推進する「グローバルアントレプレナー育成促進事業」に選定されている「WASEDA-EDGE人材育成プログラム」の一環として、早稲田大学では、注目のトップリーダーを講師に招く特別講義「起業特論Aトップリーダーマネジメント」を開講(全8回)。第3回目の講師は株式会社メディアフラッグ代表取締役社長の福井康夫氏だ。


売り場を元気にして日本を元気に
「私は15年前に会社を立ち上げ、6年前にマザーズに上場しました。今年、東証一部上場に向けてみんなで頑張っています。1991年に早稲田法学部卒業しまして、そのあとに三和銀行に入行しました。ちょうどバブル絶頂期でした。その後セブン-イレブンに入り、1年間店長を経験したあと、スーパーバイザーという広域の店舗の経営状況の管理を行う仕事や、ネットビジネスにも携わりました。
 メディアフラッグは、ここでの経験を活かして、小売店舗のマーケティング支援をしています。販促などのお店の管理のノウハウから流通を支えることで、いいお店をたくさん作り、売り場を元気にすることで流通から日本を元気にしたいと考えています。やっていることの中身ですが、製品の小売店舗向けの営業の代行やサイネージという販促用のとても小さいテレビの販売やコンサルティングなどをしています。顧客には、小売店舗やメーカーはもちろんですがレストランやテーマパークなどがあり、彼らの売り上げを最大化するために、サービス診断などに基づいてコンサルティングなどをしています。

 なぜ私がこのような会社を作ったかというと、小売り業界にいくつか課題があると思ったからです。課題の1つとして挙げられるのは、メーカーや流通に携わる人々にとってお店の数が多いことです。日本は店が多すぎるので、一軒一軒に販促をかけるなんてことをしていると、とてもじゃないけどお金が足りなくなるのです。お店ごとに、売れるもの、売れないものがありますし、そもそもよくモノが売れる店、売れない店があります。メディアフラッグは、データを用いることでこれらの課題と戦っています。さらにメディアフラッグには、セブン出身の社員が多数在籍しており、小売り実態がよく分かっている人が多いです。これも当社の強みです。
 先ほど、日本には店舗の数が多すぎると述べましたが、メディアフラッグではどのようにカバーをしていると思いますか? 実は弊社には27万人のメディアクルーが在籍しており、その中から適正人材を選出し、適切な店舗で販促サービスを提供しているのです。そのため、弊社では人材を大切にするということが非常に大事なことなのです」


“ご縁”に助けられることもある。
「次に、私がなぜ起業をしようと思ったかについてお話ししたいと思います。実は、学生の時から起業をしてみたいなと思っていました。父や母方の祖父も会社をやっていたことがあります。父や祖父の苦労していた姿を見て、いつか起業したいと思うようになりました。ただ、やりたいことがなかったので、とにかく勉強をしなければいけないと思い、営業や決算書などの“数字”を勉強するために三和銀行に入行しました。茨城の支店に配属され、そこで大きなご縁がありました。後にタリーズコーヒージャパン創業者となる松田公太氏と出会ったのです。
 そのころ私は、ライトオン上場などのニュースを耳にし、小売りにはチャンスがあると思い、セブン-イレブンに転職しました。なぜセブン-イレブンだったかというと、どうせなら小売りのNo1でと思ったからです。私がセブンに移った直後に松田さんがタリーズを作り、たびたびタリーズに来ないかと声をかけていただきました。結局、タリーズに移ることはありませんでしたが。松田さんには、創業期に赤字や社員の退職が相次ぐなど苦しいときがあったときも助けていただいたことがあります。
 この時以外にもさまざまな場面で、ご縁のあったいろいろな方々に支えられて今までやってきました。ですから皆さんにも、ご縁というものを大切にしていっていただきたいなと思っています」


組織はリーダーの器以上に大きくならない
「次に、私が起業してから最も苦労したことについてお話ししたいと思います。私は2004年にメディアフラッグを立ち上げました。資金調達などについては、銀行での経験が役に立ちました。また、早い時期から新卒採用をしたりもしていました。しかし、赤字が続き、社員の退職が相次ぐようになりました。経営に携わる幹部が辞めていくのは理解できたのですが、なんと幹部以外の社員も辞めていってしまったのです。

 原因は、私自身の社長としての信念・覚悟が足りなかったことでした。正直に言いますと、起業した当時からその時までは、会社がぽしゃっても最悪の場合でもセブンに戻ればやっていけると考えていました。つまり、どこかに自分の逃げ道を持ちながら経営をしていたのです。最悪よそで働けばいいやと思っているリーダーには誰もついていこうとはしませんよね。

 そこで私は最初からやり直そうと考え、大きな資金調達をして腹を据えました。また、経営の神様と呼ばれている稲森和夫氏が設立した、経営者のための塾・盛和塾に入って経営を学び、社長としての力をつけるための勉強をしました。私は、会社はトップの器以上に大きくなることはできないと考えています。ですので、トップに立つ人は、学び続けて見識を広め、その器を大きくしていかなければならないと思っています。
 この授業を取っている皆さんは、組織のトップに立つことになるのではないかと思います。その時に重要なことは、ご縁を大切に自分の器を大きくして組織を大きくしていくことだと思っています。皆さんの活躍を願っています」
福井康夫(ふくい やすお)
1991年早稲田大学法学部卒。バブル絶頂期に三和銀行に入行。その後セブン-イレブンを経て、2004年に株式会社メディアフラッグを立ち上げる。マザーズ上場。
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