「初めて恐怖を感じた」  那須川天心、延長の末に薄氷の判定勝利【6・17 RISE】

 過去最大の会場規模となる幕張メッセ・イベントホールで開催された「RISE125」(6月17日、千葉・幕張メッセ・イベントホール)のメーンイベント「RISE世界フェザー級王座決定戦」で、那須川天心がロッタン・ジットムアンノンに延長ラウンドの末、3-0の判定勝利を収めた。
ロッタン(左)の猛攻に押される場面も(撮影・鬼束麻里)
ロッタンの打たれ強さに手こずる

 那須川自身が直訴し、新設されたRISE初の世界王座の初代王座決定戦。

 対戦相手のロッタンは、今年2月の対戦で那須川を苦しめたスキアム・シットソートーテーウからダウンを奪い、KO寸前まで追い込んだ強敵。“過去最強の敵”を相手に、那須川がどのようなファイトを見せるか注目が集まっていた。

 試合前から那須川に対して「打ち合ってほしい」と発していたロッタンは、1Rから「打ってこい」とアピールをするなど気合十分。対して、相手の出方をあくまで慎重に伺う那須川。2Rに那須川の左ストレートがロッタンの顔面をとらえるも、タンク(戦車)の異名を持つロッタンは、その名の通り前へ攻め続ける。3R終了時には、「どうだ強いだろ?」と言わんばかりに、観衆に対して咆哮する余裕(!?)まで見せる。

「3Rに自らが放ったパンチで左腕を痛めた」と話すように、4R以降、いつものようなキレが影をひそめる那須川。なによりスキアム以上にロッタンが打たれ強い。那須川のパンチが的確にロッタンの顔面をとらえているはずだが、まったく動きが止まらない。それどころか手数が増えていると感じるほど。「もしかしたら……」、そんな不安が会場を覆い始めていく。試合後、「打ってもまるで効いてない様子のロッタンを見て、初めて恐怖を感じた。どうやったら倒せるのか怖かった」と、那須川はロッタンの印象を振り返っている。
那須川のパンチが的確にロッタンにヒットするも…(撮影・鬼束麻里)
那須川は「試合に勝って、勝負に負けた」

 嫌な空気を払拭するかのように那須川は得意の胴回し回転蹴りを狙うもヒットせず。両者ともに決定打を欠き、試合は5Rドロー判定で決着がつかず。那須川自身、「キックボクシングでは初めて」と語るエクストララウンドに突入する。

 観客の大声援に押されるかのように、6R中盤から怒涛の攻撃を見せる那須川。辛くも3-0で判定勝ちを収めたが、マイクパフォーマンスで「試合に勝って、勝負に負けた」と話すように、薄氷の勝利だったことは間違いないだろう。

 それでも自身が強く望んだベルトを手にすると、思わず涙が溢れ出る。苦心の末に掴んだ勝利。この日詰めかけた大観衆にお礼を伝え、ロッタンの強さを称えると、「RISRのベルトの価値を高めていく」と力強く宣言。最後は、「RISE最高!」と締めくくった。
高谷(左)とHIROYAのローが交錯(撮影・鬼束麻里)
HIROYAが復帰戦で高谷にKO勝ち

 第9試合では、HIROYAと高谷裕之が激突。

 魔裟斗に見いだされ、長年K-1で活躍してきたHIROYAは、2018年に新生K-1を離脱。

「今後はどの団体でも誰とでも戦う」と表明したHIROYAのRISE初参戦の相手が、長らくMMAの戦場で、破壊力のあるパンチを武器にトップ選手として活躍してきた高谷ともなれば、会場のボルテージも上がるというもの。

 序盤こそ静かな立ち上がりだったが、双方ともにKO宣言をしていた通り、徐々に試合はヒートアップ。2Rには、左のフック、左ボディーからの右ハイキックで高谷をぐらつかせると、HIROYAがペースを握り始める。だが、千葉県習志野市出身の高谷も、地元では負けられない意地がある。約5年ぶりの立ち技格闘技への挑戦となる高谷だったが、喧嘩番長の看板通り、15歳年下のHIROYAと打ち合いにいく。
3Rにダウンを奪ったHIROYAがKO勝利(撮影・鬼束麻里)
“喧嘩師”の名に違わぬ真っ向勝負の末に高谷散る

 3R、開始早々、HIROYAが右ストレートでダウンを奪う。起き上がった高谷だったが、クロスの右フックを浴びて万事休す。3R59秒、HIROYAが鮮やかなKO勝利を飾った。

「高谷選手はHIROYAだから、この試合を受けてくれました。再スタートする中で、新しいHIROYAを見せたい気持ちが強かった。その相手が高谷選手で感謝しています。今後も必要としてくれる限り、どこのリングにも上がりたい」

 新たなスタートを切ったHIROYAの動向に要注目だろう。

 一方、立ち技というアウェイに参戦する形となった高谷が、このまま終わるとは思えない。41歳という年齢ではあるが、一回り以上も離れるHIROYAと打ち合う姿は、喧嘩師そのもの。拳を交える場所がどこかは分からないが、再び観客を熱狂させるファイトを見られることを期待したい。
決勝では原口(左)と宮崎が死闘を繰り広げた(撮影・鬼束麻里)
RIZINキックトーナメントへの出場権は原口健飛がゲット

 また、この日は、那須川天心、堀口恭司をはじめ、世界中から選手を集めて立ち技最強を決める「RIZIN キックWORLD GP 2018(仮称)」 開催に向け出場枠を賭けた、4選手によるワンナイトトーナメントが行われた。

 決勝は、得意のローキックで藤田大和から二度のダウンを奪い文句なしの判定勝利を収めた宮崎就斗と、両者ともに決め手をかきながらも、辛くも判定3-0でMOMOTAROを退けた原口健飛が対戦した。

 3Rにかかと落としでダウンを奪った原口が、キャリア5戦ながら優勝を遂げ、見事、9月に行われるRIZINの出場権を獲得。「この日トーナメントで共に戦った3人の分まで背負ってRIZINに望みたい」と誓った新鋭が、今後どういった成長を遂げていくのか……また一つ楽しみな存在が増えたと言っていいだろう。

 ほぼ空席なしの大観衆が訪れた『RISE125』。

 セミファイナルに行われた、第3代RISEフェザー級王座決定トーナメント決勝で、森本“狂犬”義久を破った工藤政英の試合においては、終了後両者がともにリングに倒れ込むほどの死闘を演じ、見事、工藤がベルト奪取に成功した。壮絶な戦いに観客が熱狂する様子は、確実にRISEが盛り上がっていることを証明したと言える。

 11月17日には、両国国技館大会が開催されることが発表され、躍進していくだろうRISE。今後、格闘技界にどのようなムーブメントを起こすのか目が離せない。