女性30歳「夫の浮気相手が許せません」【黒田勇樹のHP人生相談 92人目の3】

◆黒田勇樹
「その女の名前は今日から“ギョルゾム”です」

　だーいどーんでーんがーえし！

　そんな面白いことある！？　俺はシナリオライターさんと創作の文通でもしてるの！？

　ハイパーメディア人生相談だと思っていたコレは、冷静と情熱のあいだなの！？

　ふぅ、やっぱアレですかね、現実は小説より奇なり。神様という脚本家さんに僕らは永遠に勝てないんですかね？！

　昔、色んな女の子ととっかえひっかえ遊んでいる時は「全員を“いちごちゃん”てアダ名で呼ぶ」とか、そういう防衛策を自分なりに講じていたのですが、その真逆「奥さんと同じ名前の女と遊ぶ」なんて地獄の業火の様な火遊びに手を出している男がいたとは…

　この小説のタイトルは「火遊びと劇薬」で決まりですね。

　この後に「の〇〇」が付けばきっとジブリで映画化もされます。

　さて、秘伝の妙薬「忘れたフリをして暮らす」を処方しようにも、自分と同じ名前が相手じゃ、名乗る度に思い出しちゃって効果がありません。

　こうなったら…

　相手から名前を奪うしかありません！

　もう今回はジブリだ！「火遊びと劇薬の神隠し」作戦で行きます！

　じゃあ、具体的な名前を奪う儀式の進行方法をお伝えします。

　まず、知らない街で見たことのない、チェーンじゃない百均を見つけて入店します。

　なんのキャラクターでもない、海外製の変なぬいぐるみを買って「その女」だと思い込みます。

　デコピンしたりしてもいいです。

　そして、このぬいぐるみを見て「その女」のことを思い出すようになったら、

　名前を付けます！

　いいですか！？　絶対にそのぬいぐるみを「その女」として扱う時は、自分と同じ名前を思い浮かべてはいけませんよ！？

　名前を言ってはいけないあの人です！　ヴォルテモートですよ！　エクスペクトパトローナム！

「火遊びと劇薬の秘密の小部屋」です！

　今後一切何にも連想しないような名前が良いでしょう。

　このオチを考えるのに1週間かかりました。

「ギョルゾム」

　いいですか、その女の名前は今日から「ギョルゾム」です。ググっても一切ヒットしませんでした。

　1か月ぐらいですかね、その女と見立てたぬいぐるみをすっかり「ギョルゾム」と呼べるようになったら、捨てて下さい。

一切忘れて今度こそ「何もなかったことにして」暮らして下さい。

　ちょっと面倒くさいですが、名前ってそれだけの力がある「呪物」みたいなもんですから…

　どうぞ、お幸せに…