「ラグビーワールドカップ2019」日本はどこまでやれるのか!?(2)【ギモン解決の1週間】

伝説のラガーマン・吉田義人に聞く
 2019年に日本で開催される「ラグビーワールドカップ(W杯)2019」に向け、5つのテーマでラグビーについて元日本代表の伝説のラガーマン・吉田義人氏に話を聞くこの企画。パート1「ラグビーの立ち位置」に続き、今回のテーマは「ラグビーの魅力」について。

パート1「ラグビーの立ち位置」

吉田義人氏(撮影・蔦野裕)
パート2「ラグビーの魅力」

 まずラグビーというスポーツの魅力を教えてください。

「ラグビーはもともとイギリスの小学校において、上流階級の子息に自律を促し、人として成長を遂げることを教育の目的として生まれたスポーツの一つでした。中でも人として品位、品格を身につけるためにもルールを厳格に守るなど、マナー教育としての役割も果たして発展を歩んで来ました。そういった経緯で生まれ、発展してきたスポーツなので体格差に関係なく各々の個性から、責任や役割を果たすべく、適材適所にポジションをあてがわれることによって、自分の存在価値とか存在意義を見出すことができるんです。そしてゲームではボールを持った人間がすべてのタックルを受けるシチュエーションになります。15人制だったら15人に、7人制だったら7人の敵に1人のボールを持った人間が対峙していく。そういう意味では勇気を試されるスポーツともいえます。

 具体的に勇気を試されるというのはどういうことかというと、ラグビーはパスは後ろにしか出せないので、仲間を後ろに従えて相手に立ち向かう。自分の身を犠牲にして仲間を生かしてあげるという自己犠牲のスポーツでもあるんです。それもラグビーというスポーツの大きな競技性の特徴です。ラグビーは子供たちに正義感や責任感を強く持たせ、みんなから信頼される大人に成長させることができるスポーツでもあるんです。

 子供たちはいずれ社会に出て、いろいろな分野で育ってきた人と一緒にひとつの目標に向かって取り組んでいかなければなりません。そこでは主体性や協調性など、信頼関係を構築することができなければ物事を達成することはできません。そのなかでもリーダーシップを取って活動していける人間であれば、なおさら世の中に必要とされ、貢献できることが増えて行くことと思います。ラグビーはそういったことをプレーを通じて学ぶことができるスポーツ。多くのスポーツがある中で、子供達への教育の柱になり得るスポーツだということを僕はみなさんに伝えています」

 プレーヤーとしての観点での楽しさは?

「僕は小学生の時にラグビーを始めてからFWもBKも経験することができました。その中でもウイングというポジションにこだわってプレーしてきました。ウイングはフィニッシャーといわれるポジションでもあります。仲間たちが自らを犠牲にして後ろにつないでくれたボールを持って走り、トライするのですが、そこに信頼関係がないとボールを託してくれません。“義人頼むぞ!”という想いでパスしてくれる。そしてトライをした時にみんなが喜んでくれる。極論をいえば、ラグビーは一人一人がボールを持って走り、トライをするスポーツ。したがって、パスなどしないで相手を15人抜いて、トライをすればスコアーが入ります。しかし、相手も必死にディフェンスをしてきます。なので、そこに仲間のサポートが必要なんです。お互いの信頼関係があるからこそ、心を一つにして戦いに挑むことができる。ラグビーの魅力にどっぷりとはまり、やりがいを感じたスポーツでもあるし、ポジションでもありました」

 個人競技では得られない感動。

「自分自身が自律し、成長して行くことで、より高いレベルで個が確立されます。一人一人が個の力を磨いていって、探求し続け、成長した15人が集まった時に、人々の心を感動させることができるチームが、そこに、存在できると思っています」

                          (TOKYO HEADLINE 本吉英人)

(パート3「W杯に向け盛り上がりが足りなくないか?」は6月21日掲載予定)