「Krush.89」3大タイトルマッチは島野浩太朗、金子晃大が新王座、松下えみが初防衛を果たす【6・30 Krush】

6月30日(土)東京・後楽園ホールで「Krush.89」が開催。Krush史上初、3つのタイトルマッチが行われた。
コーナーに443(右)を追い詰める松下えみ 撮影・荒木理臣

松下えみ初防衛「プレッシャーあったがホッとしました」

 女子アトム級タイトルマッチは、昨年末に王座決定トーナメントを制し、初代女王のとなった松下えみに、1月の試合でKO勝利した443(よしみ)が挑戦。試合前の会見では松下に対し、「Krushのチャンピオンにふさわしくない」といい放った443だが、1Rはお互いにパンチを繰り出すも大きなダメージを与えるような場面もなく静かな戦い。2Rに松下がキックで攻撃に変化をつけ、443をコーナーに追い込む場面も。3Rでは、さらに松下が多彩な攻撃を仕掛ける中、443に疲れがみえる。松下も疲れは見えるも、動きは止まらず前に出て、443を数回コーナーに詰め、パンチとキックでダメ押し。しかし、どちらも倒れることなく、勝敗は判定に。3-0 で松下が勝利し、初防衛を果たした。

 試合後、松下は「初防衛戦でプレッシャーもかなりあって緊張しましたが、今はホッとしています。練習したことが出せなかったけど、チャンピオンとしての責務を果たせるよう頑張ります。昨夜、KANA選手から応援メッセージもらってパワーになりました」とコメントした。
金子(左)が軍司の顔面をとらえる 撮影・荒木理臣

金子が激闘の末、軍司を破り無敗でバンタム級新王者に

 セミファイナルのバンタム級タイトルマッチは、昨年9月に最速のスピードでチャンピオンになった軍司泰斗と、デビュー以来5連勝と無敗でベルトに挑む金子晃大の対戦。対戦前に印象を聞かれ「(軍司選手は)黒いと思います」と答えた金子に「その天然が怖い」と語っていた軍司。見た目も発言も対照的な2人の戦いは1Rの金子のミドルから始まった。最初から積極的に前に出る金子に軍司は思わず笑みをもらすなど、余裕の構え。金子がフックをヒットさせると、軍司はローでじわじわと責める。その後もお互い、パンチの応酬を見せるなど、イーブンの戦い。

 2Rも金子から仕掛ける。パンチに加え、膝蹴りで軍司の動きを封じることも。しかし軍司も力を振り絞り、金子に襲いかかり壮絶な打ち合いに。お互いいいところに入るのだが、なかなか倒すことまでできず、我慢比べの様相。軍司の強烈な左フックからの連打で、金子は終了寸前に足を滑らせ膝をつくも、これはノーダウン。ヒヤリとした展開に、金子の応援席からは安堵の声がもれる。

 そして3R、金子がボディーへの膝蹴りとキックでじわじわと攻め込み、その間にパンチを打ち込むと軍司の動きが明らかに鈍くなる。しかし、そこはチャンピオンの意地で、終盤は反撃を試みるも、逆に金子の連打でダウン寸前。ふらつきながらも、必死で踏ん張りなんとか終了まで持ち込むことができた。

 判定は、軍司、金子、ドローと3つに分かれ、延長戦へ。3R同様激しいパンチの応酬で、金子がまぶたから出血。そこからのパンチラッシュで、軍司は3Rの最後のように、金子のパンチを受けながら、耐えているのがやっと。しかし、終了直前ついにダウンし。立ち上がったものの、すぐに終了のゴングが鳴り試合終了。最後のダウンが決めてとなり、判定3-0で金子が、無敗のままベルトを手にし、新王者になった。
セコンドを務めていた城戸(左)、大宮司代表、左右田(右)もリングに上がり金子を祝福 撮影・荒木理臣
 壮絶な戦いを制した金子だが「僕は6戦目で、軍司君はキャリアがあったんですけど、周りのトレーナーとか、先輩に恵まれてベルトが取れました。(軍司選手は)55Kgでも強い選手だったので、今回は本気出しました。強かった選手に勝って、すごいベルトだと思うので、価値をさらに高めていきたいです」と天然発言を炸裂。会場から笑いが起きていた。
郷州(右)のボディーに島野のパンチがヒット 撮影・荒木理臣

郷州、初防衛ならず。島野が7年越しの悲願のベルト

 メインイベントは郷州征宜と島野浩太朗によるスーパー・フェザー級のタイトルマッチ。この2人、これまで対戦する機会がありながら流れたり、島野が欠場した試合に代打で出場したことで郷州がチャンスをものにしたりなど、数々の因縁を持つ。ここに来ての直接対決で、これまでの因縁に決着をつけるとともに、今後の同階級の勢力図を変える一戦となる予感。  

 7年前からKrushで戦ってきて、そのベルトを目標にしていた島野。しかし、4年前にチャンスをつかみそこなって以来、我慢を重ね今回再びチャンスをものにした。また、初防衛となる郷州にとっても、絶対に負ける事が出来ない戦いだ。耳が聞こえないというハンデを抱え「同じ境遇の子ども達に勇気を与えたい」と常々語っている郷州にとり、チャンピオンでい続ける事が、子ども達の希望になると信じ戦ってきたからだ。

 1Rから、お互い激しい打ち合い。すぐに郷州が鼻と左の目尻から出血、顔中血まみれで戦う。しかし、気持ちを切らす事なく、パンチの打ち合いが続く。2R、激しいパンチの応酬を続ける2人。郷州がよろけたところに、打ち込みに行くが、島野の動きもだいぶ鈍くなってきて仕留める事ができず。終了間際スリップした郷州が倒れるも、これはノーダウンとなりなんとか乗り切る。

 そして3R、壮絶な打ち合いが続く中どちらも倒れず。会場からの声援も大きくなり、倒れるまで打ち続ける2人。一瞬でも集中が切れた方が負けるという緊迫した試合が終了した時は、両陣営、応援団から大きな拍手が送られた。判定は3-0で島野が勝利。7年越しに夢見たベルトを手にした。
7年越しのベルトを巻いた島野 撮影・荒木理臣
 試合後の挨拶では「ここに辿り着くまで口にしないと決めていましたけど、菅原会長がたくさんの時間を毎日のように一緒に過ごしてくれた事にずっとお礼が言いたかった。ありがとうございます。お礼を言いたいという目標が叶いました」と涙を見せた。また「4年前に1度チャンピオンベルトを逃し、自分が許せなく、自分に自信が持てないでいた。でも今回、リングの上で伝えたい人に思いを伝えられ嬉しかったし、やっと来れたという思い。防衛してこそのKrushのチャンピオだと思うので、防衛できるように頑張りたい」と語った。

 郷州は「たくさんの人に応援していただいたのに、申し訳ないです。自分だけの気持ちでもう一度やりたいと思っていますが、たくさんの人の期待を裏切ってしまったので、もう一度やっていいのかなという気持ちもあります」と涙ながらに語るのが精一杯だった。


すべての試合結果

◇プレリミナリーファイト第1試合/Krush バンタム級/3分3R
●久保田悠悟(判定3-0=26-29、27-30、26-30)橋本裕也○

◇プレリミナリーファイト第2試合/ Krush バンタム級/3分3R
○晃貴(判定2-0=29-29、30-28、30-27)桑田裕太●

◇プレリミナリーファイト第3試合/ Krush スーパー・ライト級 /3分3R
●眞暢(1R 0分43秒、KO)蓮實光○


◇第1試合/ スーパー・フェザー級/3分3R・延長1R
○西京佑馬(判定0-0、延長 2-1=10-9、10-9、10-9)横山巧●

◇第2試合/ Krush ヘビー級 /3分3R・延長1R
○K-Jee(2R1分22秒、KO)植村真弥●

◇第3試合/ Krush バンタム級 /3分3R・延長1R
●出貝泰佑(判定1-0、延長= 3-0=10-9、10-9、10-9)隼也ウィラサクレック○

◇第4試合/ Krush スーパーバンタム級 /3分3R・延長1R
●小倉尚也(判定2-0=28-29、29-29、29-30)玖村修平○

◇第5試合/ スーパーバンタム級 /3分3R・延長1R
●亀本勇翔(判定3-0=29-30、29-30、27-30)玖村将史○

◇第6試合/ Krush スーパー・フェザー級 /3分3R・延長1R
○安保璃紅(判定3-0=30-29、30-28、30-29)覇家斗●

◇第7試合/ Krush 女子アトム級タイトルマッチ/3分3R・延長1R
○松下えみ(判定2-0=29-29、30-28、30-28)443●

◇第8試合/ Krush バンタム級タイトルマッチ /3分3R・延長1R
●軍司泰斗(判定1-1、延長3-0=10-8、10-8、10-8)金子晃大○

◇第9試合/ Krush スーパー・フェザー級タイトルマッチ/3分3R・延長1R
●郷州征宣(判定3-0=29-28、30-29、30-28)島野浩太朗○