絶妙なキャスティング 石井光三オフィスプロデュース『死神の精度〜7Days Judgement』

 人気作家・伊坂幸太郎の作品は今では多くのものが映画化、舞台化されているが、初めて舞台化されたのはこの『死神の精度』。2009年のことだった。

 当時、伊坂作品はエンターテインメント性あふれる現実離れした独自の作風もあり、映画化されるのが主流だった。しかし本作は当時、小説とは違う時間と空間を共有する“ライブ”ならではの作品として、伊坂ファンからも演劇ファンからも好評を得るものとなった。

 物語の主人公は「死神」。死神の仕事は「死」を実行される対象となった人間に近づき1週間調査し、その実行が「可」か「見送り」かを判断し報告するというもの。死神の千葉の今回の仕事は藤田というヤクザの生死の見定め。藤田は殺された兄貴分の敵を取ろうともくろむ昔気質のヤクザ。そのそばには藤田に心底ほれ込む若いヤクザ・阿久津がいた。そんな彼らの生活に千葉が加わったことで彼らの運命は大きく加速していくのだった…。

 死神に萩原聖人、ヤクザにラサール石井というのも絶妙なキャスティング。

 脚本・演出は初演に続き和田憲明が担当。和田は初演後も2011年には『オーデュボンの祈り』を戯曲化、2015年には『死神の浮力』をリーディングで取り上げるなど、伊坂作品と深く関わっており、今回は初演に大きくプラスアルファした作品を見せてくれそう。

石井光三オフィスプロデュース『死神の精度〜7Days Judgement』
【日時】8月30日(木)〜 9月9日(日)(開演は木金月19時、土14時/18時、日火14時(2日は18時あり)、水14時/19時。
【会場】あうるすぽっと(池袋)
【料金】全席指定 一般6800円、U25(25歳以下)4000円(限定数。チケットぴあのみ取扱い。要学生証、年齢確認証提示)
【問い合わせ】石井光三オフィス(TEL:03-5797-5502=平日12〜19時 [HP] http://ishii-mitsuzo.com/
【原作】伊坂幸太郎『死神の精度』(文春文庫刊)
【脚本・演出】和田憲明
【出演】萩原聖人、植田圭輔、細見大輔、ラサール石井