新しいエンターテインメントの形を追求「全力!歌劇団」

撮影・蔦野祐
―今年、トランスジェンダーだけのエンターテインメント集団としてデビュー。新宿シアターモリエールで行われたデビューライブでは、9日間14公演で観客動員2500人と新人としては異例の大成功を収めた「全力!歌劇団」。「最初はド素人軍団でした」と語るセンターのなおが、多くの感動を呼んだライブまでの道のりとグループの未来について語る。

「プロデューサーの新田さんが、トランスジェンダーだけの舞台をやった人から、それがすごく面白かったと聞かされたのがきっかけとなり、“全力!歌劇団”の前身である“女装子歌劇団”が結成されました。去年の6月にはメンバーが30人ぐらい集まり、すぐに1月公演の練習を始めました。最終的に、その時に舞台に立ったのは18人で、現在は11人が正規メンバーとして活動しています。歌劇団という名称ですが、ライブの内容は古典落語をベースにオリジナルストーリーを作り、そこに音楽やダンスを盛り込んで、シャッフルするという新しい形のエンターテインメント集団です」



―いきなり公演が決まったというが、メンバーは演技も歌もダンスも経験のない素人ばかり。

「私は中学の時にダンスをやっていて、以前働いていたテーマパークでも、余興のような感じでダンスはしていたんですけど、ほかのメンバーはまったくのド素人ばかり。おまけにミュージカルや芝居を見た事もない。1月の公演の前に舞台の下見に行ったんですが、なんとなく舞台上で横並びになった時に、私が有名なミュージカル『RENT』を再現して歌い出しても、誰も分からなかった。この人たちはミュージカルも見たことないんだなと思って絶望的な気分になったのを覚えています(笑)」


―そんな中プロデューサーの新田氏は…

「なおは突出して伸びしろがあった。吸収も早く、ものすごい勢いで成長していくから、おのずとセンターになっていった。いきなり曲を送って、1週間後にレコーディングすると言ってみたり、最初からすごく高いハードルを出したりしました。それでなおの潜在能力が分かると思って、イチかバチかで試したら、アルバムを1枚クリアしたから、これはすごいぞと。また、彼女はセンターという役割だけではなく、リーダー的な事もやらせているし、演出や振り付けなどクリエイティブな事もどんどんやってもらおうと思っています」と期待を寄せる。


―デビューライブが大成功に終わり、5カ月後の6月には2度目のライブが行われた。

「ファーストライブが終わり、自分の中で確実に意識が変わりました。ライブを見たお客様から“元気がでました”とか“勇気をもらいました”と言われ、それまでは自分のために歌ったり、踊ったりしていたのですが、お客様のためにという気持ちが芽生えたのです。私たちの楽曲はすべてオリジナルで、メッセージ性が強いので、それをお客様に伝えるため、より自分の感情を乗せようと思いましたし、言葉を大切に丁寧にするようになったと思います。おかげさまで6月のライブも大好評で、“感動しました”と言って下さる方も多く、とても励みになりました」


―トランスジェンダーだけの集団というと、ニューハーフのショー的に思われることも多いとか。

「2丁目劇場でしょ、とかショーパブの延長でしょとか、練習とかしてないんでしょとか言われますね(笑)。でも1月の公演が終わり、そういう声はなくなりましたし、評価はがらりと変わりました。ミュージカルでもコンサートでも芝居でもない、まったく新しいエンターテインメントを作るグループだと思って下さる方が増え、そこはとてもうれしいです。たまたまメンバーがトランスジェンダーというだけ。アメリカでは性別登録が58種類に分類されています。日本ではL(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシャル)T(性同一性障害)ぐらいの分類ですが、本当はもっと個人差があるんです。全力!歌劇団だけを見ても、センターの4人は、ゲイで女装をしている子、女装をしているけど恋愛対象が女性の子、性同一性障害で完全に女の子になった子、MIXといって性別がはっきりしない子がいます。そういう面でもメンバーはみんな個性がバラバラですが、それがすごく面白い!」


―そんな個性的なメンバーによるサードライブが早くも9月に決定。

「どんなものになるか現在構成を検討中ですが、私も少しずつクリエイティブなほうにも関わっていきたいと思っています。最終的には外の力を借りないで、全部自分たちでできるようになるのが目標なので、振り付けだけではなく脚本の内容や、ゆくゆくは作詞にも挑戦したい。9月のライブは、ミュージカルでもない、コンサートでもない、芝居でもないという、全力!歌劇団が目指す新しいエンターテインメントをお見せできると思います。セカンドライブで、ちらほらペンライトやサイリュウムを振って応援して下さるお客様もいましたし、一緒にノッて楽しんでもらえたらと思います。私たちの全力のパフォーマンスをぜひ見に来て下さい!」
「MUSICLIVE Vol.1 THE SONGS」
【日時】9月20日(木)18時開場/19時開演
【会場】TSUTAYA O-WEST(渋谷)
【料金】前売り4000円、当日4500円(いずれも税込)※別途ドリンク代600円
【URL】 https://www.josokokagekidan.com/https://www.josokokagekidan.com/