東京湾でペルセウス座流星群を寝転がって観測【真夜中のピクニック船 リポート】

 8月12日の深夜。東京湾のクルージングレストランを運営するシーライン東京が、東京湾のクルージング船シンフォニーで、オールナイトクルーズ「真夜中のピクニック船」を開催した。キャンプ用品やアウトドア大手のコールマン・ジャパン協力の下で行われているアーバン・アウトドアイベント。3回目の今回は、真夜中の東京湾で天体観測やジャズ・ライブ、ナイトピクニックなどを楽しむというもの。この様子を探るべく、ピクニック船に乗り込んできた。

行ってきまーす!

 シンフォニーは普段はディナーやランチクルーズを提供する遊覧船。本イベントでは、シンフォニーとしては異例の6時間弱に渡る東京湾クルージングを行う。

 船内は高級クルージング船のリッチさはありつつ、コールマンの秋の新作キャンプグッズがところどころに設置されており、乗客は自由に使うことができる。テントやキャンプ用の寝具は思っていたより柔らかく快適。真夜中に少し眠くなってしまった時や、疲れてしまった子どもも、これなら安心して仮眠を取ることができる。

船内にはコールマンの新作のアウトドアグッズが……!

25時に船上で聴くジャズ

  沖に出るまでは工場夜景を楽しめる。レインボーブリッジを横目に、深夜でも煌々と光る工場夜景は、なんとも言えない神秘さがある。

 25時からは甲板でギターデュオ「JAZZMENCO」の生ライブが行われた。本場でプレイするジャズギターのプロによる演奏は、音楽に詳しくなくてもその雰囲気に飲まれる。大人は船内で販売するアルコールを片手に甲板で夜景を眺めながらジャズに酔い、その間、子どもたちは船内のテントやキャンプグッズで遊んでいた。

 1時間弱のジャズ・ライブの後は、甲板での天体観測に向けて星の勉強会が始まった。

東京でも見えたんだ……!

甲板に寝転がって見あげる東京湾の26時の流れ星

 今宵は新月で、ペルセウス座流星群が良く見えるらしいーー。室内ではプラネタリウム制作に携わる谷藤賢一氏による「ほしのはなし」が行われていた。流星群の原理や、新月の原理などに、大人も子どもも真剣に耳を傾けていた。
 
 月と流星群について勉強した後は、甲板に出て天体観測を行う。チケットについてきたコールマンのレジャーシートを広げて寝転がる。甲板のライトは消されて、沖に出てきていた船は闇に包まれ、DJブースだけがほのかに光り、『星に願いを』が流れ始める。レーザーポインタで夏の大三角形や火星を見つけながら、ペルセウス座の流れ星を待つ。

 キラリ、と流れ星が流れると、甲板からワッと歓声が上がる。「東京でも、流れ星が見えるんだなあ」。みんな口々に、そのようなことをつぶやいていた。結局、1時間の間に、10回以上歓声が上がっていたと思う。願い事は3回言えそうになかったが、船から見る夜空は丸く、東京とは思えないほど鮮明に、たくさんの星を見ることができた。

気分スッキリ

早朝4時30分に海の上でヨガをする非日常

 天体観測に飽きる頃には、少しずつ空がに青が増していく時間だった。少し寝ぼけた頭を奮い立たせるように、動きやすい格好に着替えて、また甲板に集合した。
 
 早朝4時30分からヨガインストラクターEMI氏による海上ヨガ。海風を受けながら、ヨガのリラックスソングを聴き、インストラクターの指示どおりに体を緩ませていく。夜中のあいだずっと動いて、緊張した筋肉と体を、少しずつ緩ませていく。伸ばした腕の先は海だ。なんだか開放感で包まれながらも、リラックスできるポーズを取る時はそのまま夢の中に落下していきそうになる。朝日も上り、体もほぐれた。ピクニックも終盤だ。

いつもとは違う東京が見えてくる、かも

早朝5時30分に飲むコーヒーは、すっきりと苦い

 5時30分には朝食。クロワッサンとコーヒーをいただく。湾内に戻ってくると、朝日に照らされた工場たちがお出迎えしてくれる。夏の朝はすでに高く日が上り、もう日差しが暑い。日の出ふ頭に船が着いたときには、もう朝6時だった。

 大人になると、毎日がフルマラソンだ。働いて、恋をして、時間の使い方を常に考え、子育てして、自分の時間はどんどん少なくなっていく。そんな忙しい大人は、自分のために星を見に行く時間もなかなか取れない。東京で働いていると、星の見える長野も福島も、近くない。そんな中、東京にいて味わえるこの「非日常体験」は、とても良質なものだった。子どもと一緒でも楽しめるというのは、より忙しい家庭を持つ夫婦にとっても大きいはずだ。

 コールマンのイベントは定期的に開催されており、都会の喧騒を忘れられるチルアウトなイベントが多い。今後のイベントリリースにも期待したい。

(取材と文、写真・ミクニシオリ)