【インタビュー】SWAY、ソロアルバム『UNCHAINED』は「本能のおもむくまま」

 俳優、そしてアーティストとして精力的に活動を手介しているSWAY。昨年秋、シングル『MANZANA』をリリースしてソロ活動を再開した彼からフルアルバム『UNCHAINED』が届いた。「本能のおもむくまま制作した」というこの作品。予想以上に、SWAYらしさがあふれる作品で……。


――昨秋シングル『MANZANA』でDef Jam Recordingsからデビューして話題を集めました。振り返ってみて反響や実感したことがあれば教えてください。

ソロのリスタートを一番に喜んでくれたのが、地元の友達や先輩、DOBERMAN INFINITYのメンバー、あとは僕がLDHに所属するきっかけを与えてくれたEXILE SHOKICHIでした。Def Jam Recordingsからのデビューということで事務所のみなさんからもエールをいただいて、身近にいる仲間の方々が喜んでくれたことがうれしかったです。逆にDef Jam Recordingsを知らなかったファンの方々が、僕のデビューをきっかけにHIP HOPを掘ってくれたり、架け橋的な役割になれたのも良かったと思っています。

――DOBERMAN INFINITYのSWAYとの違いを明確に打ち出した作品という印象もありましたが?

そうですね。シングルをリリースしてからクラブサーキットで全国を廻ったので、そのタイルを実際に見て違いを分かってくれた人も多かったと思います。その違いを今回のアルバムで最大限に発揮できたんじゃないかなと思っています。

――29日リリースのアルバム『UNCHAINED』は、どのような青写真を描いて制作していったのでしょうか?

DOBERMAN INFINITYのSWAYとの違いをどう表現するか、サウンド・アプローチはどうするか、とかを考えました。で、Def Jamクルーのみなさんとも相談して、とりあえず今できることをぜんぶやって、収録曲数の制限も気にせず作ってみようということで制作をスタートさせました。客観的に見てDef JamのSWAYにふさわしいトラックを集めたり、自分が好きなHIP HOPを形にすべくつながりのある音楽仲間たちとセッションしたりもしました。最終的にでき上がったのは収録した13曲よりももっと多くて、その結果が今回すごく自分の自信になりました。最初の段階で明確なブループリントがなく、自分の本能のおもむくままに制作していったら、結果とても自分らしいアルバムを作ることができました。

――制作過程では自分のルーツやキャリアを振り返る作業もあったのでしょうか?

ありました。「Perfect Love」は、トラックを聴いた瞬間に僕がカナダへ留学していた時に知り合ったTEEくんに歌詞を書いてもらおうと直観的に思った曲でした。あと、まだソロのリリースが決まってない段階から一緒に曲作りをしてくれて、ソロデビューのきっかけを与えてくれたTOMAとMatt Cabと作り上げた「Friday Night」という曲を収録していたり、P-CHOさん率いるOLDMANWILDIN’プロデュースの「Be a Beast」も今作には欠かせない曲になっています。まだソロアーティストとしては実績の少ない僕のファーストアルバムにも関わらず、EXILE SHOKICHI、登坂くんやSALUくん、AK-69さんにも参加してもらえて、スタッフさんを始めみなさんに助けてもらって完成したアルバムだなぁと思っています。

――先ほども軽く触れてもらいましたが、「Perfect Love」は、どのような想いで制作していったのでしょうか?

最初に聴いた時に本当にキレイな曲だなと感じました。自分がラブソングを作ることに対しては少し恥ずかしさを感じてしまうんですが(笑)、そこをTEEくんが上手に形にしてくれました。

――そもそもTEEさんとは、どのような出会いだったのでしょうか?

実は直接カナダでお会いしたわけではなく、現地の日本人の友達と知り合っていくうちに「SWAYってバイブスがTEEにめっちゃ似ているよね」といろんな人に言われていたんです。だから、すごく気になる存在だったんです。で、当時はmixiをみんなやっていた時代だったので、TEEくんを発見してメッセージを送ってみたんです。それが始まりですね。でも、実際に対面したのはもっと後で、帰国して札幌の服屋さんで働きながらラップをやっていた21歳の頃でした。TEEくんの「ベイビー・アイラブユー」がドカンとヒットしていた頃で、札幌のライブを観に行ってめっちゃクラッたんですよね。この「Perfect Love」は、いつかTEEくんと一緒に曲を作りたいという夢を叶えた曲。僕たちの第2の故郷であるトロントでの生活や昔の恋愛話、ちょっとした未練みたいなことも2人で飲みながら話して、そんな思い出を淡い恋に置き換えて表現した曲です。トロントを舞台にした架空のラブソングなんですけど、男だったらこう言いたいよなというところをTEEくんがばっちり書いてくれました。

――歌詞を見て、どんなことを思いましたか?

〈半端な気持ちじゃないぜ〉とか〈愛してやんぜ〉とか、TEEくんだと成立するのに自分の声で聴くとどうしても恥ずかしくて(笑)。一度は書き直してもらおうとも思いましたが、自分をプロデュースしてもらうというSWAYプロジェクトのルールに反するのと、せっかくTEEくんが気持ちを込めて書いてくれたので、そこは自分で絶対に形にしようと何度も歌って向き合いました。そんないつもの僕にはないTEEくん節が、この「Perfect Love」にはふんだんに詰まっています。

――新たな挑戦の曲だったということですね?

まちがいなく挑戦でした。自分では絶対に書けなかった歌詞ですし、TEEくんならではの表現を「SWAYがんばってね」と背中を押してもらってがんばれたというか。僕にとって大事な1曲になりました。

――リスナーには、この曲がどのような存在になって欲しいと思っていますか?

男性から女性に向けて結婚式で歌ってもらえる曲になったらうれしいですね。カラオケで大切な人に歌う定番曲になって欲しいです。あと、実はこの曲の制作中に自分の母親が亡くなってしまったんですが、親戚の方が最後のお別れの時に「Perfect Love」をかけてくれたんです。母さんとお別れをしている父さんの姿を見て、この夫婦こそ「Perfect Love」だなぁと思ったんです。将来自分もこういう夫婦の関係を作れたらいいなと、自分の親の姿を見て思わせてくれた曲でもあります。

――「Never Say Goodbye feat.EXILE SHOKICHI & SALU」は、LDH所属の北海道出身の3人によるコンビネーションになりました。

ずっと前からトラックは自分の手元にあって、どういう形でリリースしようかと温めていた曲です。アルバム収録曲が揃ってきた時点で、やっぱりこの曲を収録したいと思って、〈Never Say Goodbye〉というテーマを一緒に表現するならEXILE SHOKICHIとSALUくんだなと直観的に思ったんです。2人とも同郷ですからね。SALUくんがLDH MUSICに移籍したこともありまして、この3人で作った曲をこのタイミングで収録できたのは、やっぱり特別な想いがあります。

――歌詞の中でポイントになっているフレーズを挙げるなら、どの部分だと思いますか?

サビの1ライン目の〈振り返ればいつもキミがいた〉ですね。ストレートな表現ですが、今まで存在していた人がいなくなると、その人のアクションが蘇ってきますよね。失恋した時なんかそう感じる人も多いと思いますが、大切な仲間が遠くへ行ってしまったり、そういう寂しさは誰もが経験あるんじゃないかなと思うんです。この曲でメッセージしたかったのは、まずつながれたことが運命であること、そして例え離れてしまってもまた会えることも運命だということ。僕のラップ部分で〈またばったり会うだろう〉と言っているのも、そんな運命に対する希望を持っているからです。

――続いてアルバムのタイトル曲にもなっている「Unchained」ですが、こちらもSALUさんが作詞を手がけています。

アルバム制作に入る前にSALUくんとトラックメイカーのJIGGくんと作っていた曲で、最初は「Wireless」というタイトルでした。線でつながっているわけではなくても見えない何かでつながっている、そんなテーマで作っていった曲なんです。そこからアルバム収録を見据えてSALUくんとJIGGくんでブラッシュアップしてくれて、「Unchained」というタイトルになって帰ってきたんです。とても素敵なテーマだなと思って、最終的にアルバムのタイトルにしました。

――歌詞の中で、SALUさんならではのフレーズだなと思ったところは?

サビ4ラインはデカいですね。〈俺は誰にも縛られていない〉、〈誰にも縛らせもしない〉、〈俺は行きたいとこどこでも行ける〉、〈お前が俺に何を言ってこようが I just don’t care〉という4ラインは、強い気持ちが表現できていると思います。気持ちを奮い立たせてくれる歌詞ですし、自分が強くなった気分にさせてくれるんですよね。みんなでスタジオで爆音で聴ききながら、そんな話をしました。

――トラックには、どんな感想を持ちましたか?

JIGGくんが天才的すぎるので、恐ろしいほどかっこいいトラックに仕上げてくれました。僕が札幌のラッパーだった頃は手の届かない人でしたが、今こうしてトラックをお願いできることになったのもうれしかったです。今回JIGGくんには「クラブで聴いても気持ちいいくらいブンブンにしてください」とお願いして作ってもらったので、実際にクラブで爆音でかけてみんなで大合唱したいです。

ーー「Be a Beast」について聞かせてください。P-CHOさん率いるOLDMANWILDIN’プロデュースの楽曲ですが、どのようなやりとりで作り上げていったのでしょうか?

アルバム制作前からあって、それこそOLDMANWILDIN’の結成当初に作ってもらった曲だったと思います。CHOさんが考えるラップの独特のフロウや歌詞の世界観、JAY’EDくんが作るメロディ、そしてNAOtheLAIZAさんのトラックが本当に絶妙なんです。アルバムのイントロになる曲が欲しいと考えていた時に、〈この手で今の未来を変えるだけ〉という歌詞がある「Be a Beast」の世界観がばっちりハマると思って、再度OLDMANWILDIN’にブラッシュアップしてもらいました。それからCHOさんが〈飢えた奴が群がるこのコンクリートジャングル〉というバースをつけ足してくれて、みんなでスタジオに入って一気に歌詞を書き上げていきました。

ーー今作で表現できたSWAYの世界観というのはどのようなものだと思いますか?

SWAYというブランドを、いろんな人にデザインしてもらうというのがこのプロジェクトの面白さです。そういうアプローチの中で、自分らしさを表現できたアルバムになったと思います。今作の制作を振り返ると、今までつながったコネクションや、人の愛や友情を改めて実感しました。自分のスキルだけでは乗り越えられなかった曲も、ディレクションしてくれた方々やDef Jamクルーのおかげで完成させることができたので、本当に人に支えられて成長できた作品だと思っています。自分のチャレンジがふんだんに詰まった1枚でもあるので、一度聴いてもらった後はぜひライブを見てもらいたいです。

ーー最後に、今後はどのようにSWAYプロジェクトを進めていく予定ですか?

ワンマン・ライヴというイメージはまだあまり自分の中にはないんですけど、待ってくださっているファンの方々がいるので、立たせていただけるステージがあるならそこに向かって貪欲にチャレンジしていきたいです。成功も失敗も自分でしっかりつかんで、これからも成長していけたらいいなと思っています。

(文・馬渕信彦)

ファーストアルバム『UNCHAINED』8月29日(水)リリース!

シングル「MANZANA」をはじめ、タイトルトラック「Unchained」、「Perfect Love」「Never Say Goodbye feat. EXILE SHOKICHI & SALU」「Be a Beast」「Perfect Love」など全13曲を収録。初回限定盤のDVDに収録されるドキュメンタリーインタビューでは、EXILE SHOKICHIとの出会いについても話している。初回限定盤(CD+DVD)3500円、通常盤(CD)2500円。ともに税込。sway-official.jp