1人2役の東出昌大、自分に近いキャラは「一緒にいてはいけない男」

 映画『寝ても覚めても』の初日舞台挨拶が1日、都内にて行われ、東出昌大、唐田えりから出演者と濱口竜介監督が登壇した。

 芥川賞作家・柴崎友香氏の同名恋愛小説をもとに、同じ顔をした2人の男と、その間で揺れ動く女の複雑な愛を描くラブストーリー。カンヌ映画祭コンペティション部門にも選出され高い評価を得た。東出はまったく性格の違う2人の男“麦(ばく)”と“亮平”を1人2役で演じ、唐田は麦を忘れられぬままに亮平と付き合い、真実の愛を模索していくヒロイン朝子を演じている。

 現地のジャーナリストの取材を受けた東出はクライマックスの朝子の行動について「フランス人のジャーナリストの方が、婚約した女性がああいう行動をとったくらいでそんなに怒るのか、と…お国柄というのか(笑)」と、フランス人の恋愛における許容範囲の広さに苦笑。さらに「この映画はホラーなのかと聞かれたこともありました。監督は、愛というのは一種の狂気だから、その狂気性が描かれてホラーのように映ったのならそれはそれで光栄、とおっしゃっていて素晴らしいなと思いました」と振り返ると、監督も「ゴーストストーリなのか、とも言われましたね(笑)。そういう風に見えるのかと面白かった」と海外の反応を興味深く受け止めた様子。
 同じ顔をした相手との恋愛を通して、人は人をなぜ愛するのかを問う物語。自身の恋愛観や失恋経験について質問されると、ややたじろぐ男性陣。両親が会場に来ているという監督は「両親の前で恋愛観を語るというのも…(笑)。原作から愛を教わり、こんな映画を作ってみました」と原作への共感を語り、渡辺大地は「顔が同じという恋愛をしたことはないですが、この人のこの感じが忘れられないというような、幻影のような感覚はあるなと思います。そういうものを追ってしまうところが男にはあるかも…。でも最近“振り向くな、振り向くな、後ろには夢がない”という寺山修司の詩を読んで、忘れられないとか言っていてはダメだな、と(笑)」と自省。一方「朝子の行動は理解できないけど、今の時代、本能に赴くまま突き進むことも大切なのかもしれない」という瀬戸康史。司会から失恋経験を問われると「ありますよ。中1から付き合っていた彼女が本能の赴くままに行動した結果フラれまして“神さま、なぜこんな仕打ちを!”と壁を叩いた経験があります」と赤裸々に明かし、会場も爆笑。逆に「朝子の行動は理解できる」という東出は「僕は付き合ってからフラれたことは無いけど、告白してフラれたことはあります」と明かした。
 また今回、東出が1人2役で演じたカリスマ性のある自由人“麦”と実直に愛してくれる“亮平”のどちらが好きかという話題になると女性陣一同、亮平と回答。唐田は「麦に引かれるのもすごく分かるんですけど、ずっと一緒にいてはいけない人という感じがある。生涯を共にするなら亮平のような優しくて思いやりがあって…ね(笑)」と答え、山下リオも「心を持っていかれると、こちらの心が危ない」。伊藤沙莉も「心身ともに安定していたい」。
 東出は「亮平をほめてもらえるのはうれしいけど、麦はちょっと、と言われると…え、そうなの? という気持ちになりますね(笑)」と複雑な表情。それもそのはず、東出自身はどちらが近いかと問われ「僕は完全に麦です」。すると会場に微妙な空気が流れ、瀬戸が思わず「見てください、この会場の反応(笑)。でも確かに麦のミステリアスで天才肌でカリスマ性があるところがすごく似ていると思う。宇宙人的なところが」と言えば、渡辺も「東出さんがどう出るか分からないところが麦と似ていると思う。いきなり関係のないことを言い出したりするじゃないですか。東出さんには探求心をそそられます」と答え会場を笑わせていた。

 この日は、原作の柴崎氏がサプライズで登場。お祝いの花束を受け取った東出は「この作品を生んでくださってありがとうございます」と感謝を伝えた。

『寝ても覚めても』は全国公開中。