【インタビュー】岩田剛典×杉咲花 映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』で“パーフェクト”な共演!

 実在する車イスの建築士への取材をもとに、障がいと向き合う恋人たちや見守る人々の繊細な心の動きを飾ることなくリアルに、かつ真摯に描き、幅広い層から絶大な支持を得ている漫画「パーフェクトワールド」(有賀リエ/講談社「Kiss」連載中)を、注目のキャストで映画化。幼いころからの夢を叶え建築士として懸命に生きる主人公・鮎川樹役に、EXILE/三代目J Soul Brothersのメンバーにして、役者としての活躍も目覚ましい岩田剛典。再会した樹のありのままを受け止め、全力で愛そうとするヒロイン川奈つぐみ役に『湯を沸かすほどの熱い愛』で数多くの賞を受賞した若手実力派を代表する女優・杉咲花。多くのオファーの中から本作を選んだ2人が、この「恋」に込めた思いとは——?
岩田剛典(撮影・蔦野裕)
 出会った初日は互いに少し緊張していた、とやや照れながら振り返る岩田剛典と杉咲花。

岩田剛典(以下:岩田)「『湯を沸かすほどの熱い愛』を拝見していたので、その印象が強くて、お会いした時も“あの女優さんだ!”と思いました。お互いに緊張していたこともあって、花ちゃんも最初は物静かな印象でした。現場に入ってからは全然違いましたけど(笑)」

杉咲花(以下:杉咲)「私の岩田さんの印象は…まだ謎です(笑)。以前からテレビでEXILEや三代目J Soul Brothersのメンバーとしての岩田さんを拝見していて、すごく男性らしいイメージがあったのですが、実際にお会いしてみると、すごく優しそうで、また違った雰囲気というか。いつもテレビでグループとしてのご活躍を拝見していたので、1人の俳優としての岩田さんと向き合って一緒にお芝居できるということが不思議で、ドキドキしていました。でも現場に入ったら、とても気さくに接していただいて」

岩田「最初に、カメラテストとかがあったんだよね」

杉咲「そこで少しお話ししましたね」

 今回2人が演じるのは、ともに一途に相手を思うがゆえに、すれ違ってしまう恋人たち。

岩田「僕が演じる鮎川樹は、夢半ばにして事故で障がいを負ってしまうのですが、それでも生きる目標だったり、残りの命の使い方と真摯に向き合って、自分の人生を一歩ずつ前に進めようとしている青年です。同時に樹は、自分の周りの環境だったり、障がいを負った後に出会った人物に対して、どこかあきらめているフシがあるんですよね。そんな中で再会した杉咲さん演じるつぐみは、ハンディキャップを抜きにして、学生時代と変わらず、ありのままに接してくれる。そういうところが樹にとっては他の人とは違っているわけです。本当の意味での自分を見てくれるつぐみと、しだいに心を通わせ、好きになっていくんです。つぐみはとにかく真っすぐな女性で、そこが一番の魅力だと思います」

杉咲「つぐみは本当に一途で真っすぐで健気。とにかく樹のことを思い続けて、思ったことを衝動的に伝えてしまう。そんなところも含めて、私はつぐみのことを素敵だなと思っています。樹は相手を傷つけたくないからこそ距離を作ろうとするけど、それが樹にとっての正義だったのかもしれない。そういうところがちょっと不器用でいいなあと思います」
杉咲花(撮影・蔦野裕)
 あるハプニングをきっかけに距離を縮めた樹とつぐみ。真っすぐなつぐみの思いを樹も受け止め、しだいに愛を育んでいく。しかし樹を支えながらインテリアデザイナーとしての仕事にも励むつぐみはある日、樹の目の前で倒れてしまう…。

岩田「あのシーンは原作の中でも印象的に描かれていて、僕も映画の中でも重要なシーンになると思っていて、その撮影の日が来るのを少しドキドキしながら待っていました。時間も限られたなかでの撮影だったこともあり、普段は温和なスタッフたちもちょっとピリついた雰囲気を醸していたんですが、そんな中で花ちゃんがチョコを配ったりして場を和ませていて、さすがだなと思いました(笑)」

杉咲「いえ、そんな(笑)。私は、撮影初日のシーンも思い出深いです。美術館で樹とデートしているシーンなんですけど、セリフが無くてアドリブ、しかも長回しの撮影だったんです。それが最初の撮影だったので、ちょっと緊張していたんですが、あのシーンのおかげでつぐみと樹の距離感も何となく分かった気がしましたし、セリフが無いからこそ自分の中から出てくるものを必死に探した瞬間が、とても特別な経験になったと思います。つぐみとして“私はこの絵が好き”みたいなことを話していましたね(笑)」

岩田「“ここ、前から来たかったんだよね”とかね(笑)」

 樹とつぐみは樹の障がいに付随する、さまざまな困難と直面することになる。原作は実在する車イスの建築士・阿部一雄氏(一級建築士/阿部建設株式会社代表取締役)など車イスで生活をする人たちへの取材をもとに描かれており、本作でもセンシティブな現実や当事者たちの複雑な心境にも迫っている。

岩田「そこが、僕がこの役を演じたいと思った理由でもあるんです。甘酸っぱい恋愛映画が多々ある中でも本作は、命の物語の中で描かれる恋愛の形、そういったものが表現できる、素晴らしい作品になると感じたんです。これまで少女マンガはほとんど読んだこと無かったんですけど、今回、原作も読ませていただいて。読み終わったときに“すっげえ、いい話だな”と思いました。読んでいてグッと来るものはありましたね。脚本を読んだときも、心から感動できる映画になるだろうなと思いました」
撮影・蔦野裕 [岩田剛典]ヘアメイク・下川真矢/スタイリスト・jumbo(speedwheels)[杉咲花]ヘアメイク・奥平正芳/スタイリスト・梅山弘子(KiKi)
 一方、杉咲が本作に引かれた理由は、樹をありのままに受け止めて恋をするつぐみの姿だった。

杉咲「つぐみは、車イス生活を送る樹に対して、樹がそういう状況であることを理由に悩むことがない。私はそこがすごく好きだったんです。そんなことよりも一心に樹が好きだから一緒にいたい。そういう彼女の思いが好きでした」

岩田「うん、分かる」

 原作の名場面を、この2人が鮮烈に体現するシーンの数々は必見。

岩田「デートシーンの江の島ロケなどでも漫画で描かれているとおりの立ち位置で撮ったりしているんです。もちろん漫画と映画は別個の作品になりますけど、原作ファンにも愛してもらえる作品になるようスタッフも自分たちも意識していました。1シーン1シーンへのこだわりは、演じている僕らのモチベーションもすごく高まりますね。僕の場合は車イスバスケのシーンのために、実際に競技選手のチームに交じって体験させていただいたりもしました。練習する日を頂いたんですけれど最初はけっこうドリブルしながら進むのが難しくて。そこそこできるようになるまで1日かかりました。チームの皆さんと試合前のウオーミングアップのメニューを全部こなしたり、ミニゲームでプレー体験もさせていただいて、撮影に支障がないくらいには動けるようになりました」

 さまざまなことに気づかせてくれる樹とつぐみの恋。2人が本作から得たものとは。

岩田「障がいのある方々への自分の意識が変わったことが一つ大きなところかなと思います。街中でも見かけた時もサポートが必要そうだったらまずはお声がけしてみようと思ったり、パラリンピックなどのスポーツで頑張る選手の思いをもっと感じたいと思うようになりました」

杉咲「私は本作を通して、人は1人では生きられないこと、映画は1人では作れないことを改めて感じました。共演者やスタッフ、本作に関わってくださったすべての方、皆さん全員が良い作品を作りたいと思ったからこそできた映画だと思います。何より、岩田さんに本当に助けていただきました。ハードなスケジュールの中、ご自分もきついはずなのにいつも大丈夫?と声をかけてくださって。私にはもう岩田さんが樹にしか見えなくて。樹を演じたのが岩田さんだったからこそ、私も最後までつぐみを演じ切ることができたと思ってます」

岩田「全部そうだよね。どのシーンも、つぐみが杉咲さんだったからこそ描けたと思います」

 相手役として互いにパーフェクトだった2人。そんな2人が最近感じた“パーフェクトな瞬間”は?

岩田「最近、焼き肉屋で食べたシメの冷麺がマジ、パーフェクトでした。それまでの肉の油っこさをうち消して、さっぱりした気分で店を出るという…完璧ですよね(笑)」

杉咲「いいですね! 私も食べ物なんですけど…韓国の大食いユーチューバーの人の動画を見て自分も食べたくなって、トッポギとヤンニョムチキンを作ったんです。すっごくおいしく、パーフェクトにできました(笑)!」

 最後に本作を楽しみにしている読者にメッセージを。

岩田「この作品には、障がいと向き合う一つの生き方が描かれています。本作を通して、もし自分や身近な人だったら自分はどう行動するだろうかと少
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しでも想像してもらえるような映画になっていたらいいなと思います。重すぎず、真摯にそういう部分を伝えることができたら最高ですね」

杉咲「どんなことがあっても大切な相手を思い続ける…つぐみはそれだけで進んでいる人で、私にはそれがすごく輝いて見えました。そんなつぐみの姿から、大切なことを気づかせてもらえる作品になっているのではないかなと思います」
(本紙・秋吉布由子)
©2018「パーフェクトワールド」製作委員会
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』
監督:柴山健次 出演:岩田剛典、杉咲花他/1時間42分/松竹配給/10月5日(金)より全国公開  http://perfectworld-movie.jp/