山本美憂が亡きKIDさんに捧げる執念の判定勝ち【9・30 RIZIN】

グラウンドで圧倒した美憂

2年前に敗れたウィンにきっちりリベンジ
「RIZIN.13」(9月30日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で山本美憂がアンディ・ウィンを判定で破り、9月18日に急逝した山本“KID”徳郁さんに勝利を捧げた。

 2人は2016年に対戦し、その時はウィンが腕十字固めで勝利を収めている。美憂にとってはリベンジがかかった試合でもあった。

 美憂は1Rからタックルを決めまくり、テイクダウンに成功するとこつこつとボディーにパンチを放ち、ウィンのすきをうかがっては強烈なパウンドや鉄槌でウィンを削っていく。

 前回の対戦ではウィンが下から美憂の動きをコントロールしフィニッシュにつなげたのだが、この日の美憂はウィンの下からの攻撃をしっかりと阻止。常に有利な展開を作っていく。

最後に腕十字の体勢に持ち込んだ美憂だったが無念のゴング

「みなさんの応援があったからこのリングに上がれた」
 2Rはウィンの左ミドルに合わせてタックルを決めるやすぐにサイドを奪って、1R同様、パウンドで攻め込んでいく。

 ポイントで差をつけられたウィンは3R序盤から攻め込んでくるが、美憂は前蹴りをキャッチしてまたもテイクダウンに成功。サイドをキープしパウンド、そしてヒザをボディーに打ち込むなど、1、2R同様ウィンをグラウンドで完全に制圧。ロープ際で窮屈なポジションになると逆のサイドを取り直すなど終始冷静に試合を運ぶが極める体勢にはなかなか持ち込めない。

 最後の最後に腕十字の体勢に入り、グイっと締め上げたところで試合終了のゴングが鳴った。

 判定はジャッジ3者とも美憂を支持。2年前のリベンジを果たした。

 美憂は試合後のリングで涙を浮かべながら「みなさんの応援があったからこのリングに上がれて……。ごめんなさいグラウンドばっかりで。でもアンディ選手が強いから、自分の得意なところでいかないと勝てないと思いました」と話し、英語で家族やファンに感謝の言葉を述べた。

勝たなければいけない試合で結果を出して、試合後は笑顔の美憂

「KIDをみんなが想って愛してくれているという気持ちがすごくうれしかった」
 美憂は試合後の会見では「勝てて良かったという、ひと安心と、あとは試合内容はちょっとスタンドの打撃がやっぱりうまく出せてなかったのが自分の中では悔しい。グラウンドの面でも、セコンドの声は聞こえているんですけど、その通りに動けなかったのが悔しい。反省会がずっと続いていました」などと試合を振り返った。

 判定勝利という結果には「スカッと勝ちたかった。やっぱり立ち技で圧倒しかったというのはあります」と反省を口にした。

 この日は大会の冒頭にKIDさんの追悼セレモニーが開催されたこともあり、会場の大半のファンが美憂の勝利を願っていたといっても過言ではないハイプレッシャーな状況だったが「全くそういうのはなかった。自分のこともですが、KIDをみんなが想って愛してくれているという気持ちがすごくうれしかった」と話した。

 その追悼セレモニーでは息子の山本アーセンがスピーチしたのだが、美憂は聞いていなかったらしく「周りからは、ちゃんとすごくできていたって聞いて、お母さん感激です。多分聞いていたら、私もう泣いちゃってたから」と話した。

 ウィンは試合後に美憂と抱き合った後、担ぎ上げて健闘を称えたのだが、会見では「とりあえず試合が終わって彼女を担ぎ上げてぐるぐるしたのは、疲れてたのにあんなことができてびっくりしたんだけど(笑)。“おめでとう、あなたの弟も見てるわ、そして祝福してると思うわ”って、お祝いの言葉をかけたわ」とリング上での会話を明かした。

「RIZIN.13」(9月30日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)

◆第13試合[RIZIN MMA ルール:1R 10分/2R5分(93.0kg)※肘あり]
〇イリー・プロハースカ(1R4分29秒、TKO=レフェリーストップ)ジェイク・ヒューン●

◆第12試合[RIZIN MMA ルール:5分3R(66.0kg)]
〇朝倉未来(判定3-0)カルシャガ・ダウトベック●

◆第11試合[RIZIN MMA ルール:5分3R(70.0kg)※肘あり]
〇ダロン・クルックシャンク(2R17秒、TKO=レフェリーストップ)ディエゴ・ブランダオン●

◆第10試合 「RIZIN.13×TEKKEN7 SPECIAL MATCH 韓国×日本」
〇韓国(2-1)日本●
[第3試合]〇ニー(KNEE)(3-2)ノロマ(NOROMA)●

[第2試合]〇クダンス(QUDANS)(3-2)ノビ(NOBI)●

[第1試合]●シャネル(CHANEL)(1-3)タケ。(TAKE)〇

◆第9試合[RIZIN キックボクシング特別ルール:3分3R/延長1R(58.0kg)]
〇那須川天心(判定3-0=30-29、30-28、29-28)堀口恭司●

◆第8試合[RIZIN 女子 MMA ルール:5分3R(49.0kg)]
●アンディ・ウィン(判定0-3)山本美憂〇

◆第7試合[RIZIN MMA ルール:1R 10分/2R5分(110.0kg)※肘あり]
〇ミルコ・クロコップ(1R4分56秒、TKO=レフェリーストップ)ロッキー・マルティネス●

◆第6試合[RIZIN MMA 特別ルール:3分3R(無差別級)]
●大砂嵐(判定0-3)ボブ・サップ〇

◆第5試合[RIZIN MMA ルール:5分3R(53.0kg)※肘あり]
●砂辺光久(3R2分52秒、KO)越智晴雄◯

◆第4試合[RIZIN MMA ルール:5分3R(59.0kg)※肘あり]
◯朝倉海(判定3-0)トップノイ・タイガームエタイ●

◆第3試合[RIZIN 女子 MMA ルール:5分3R(49.0kg)※肘あり]
◯浜崎朱加(1R4分45秒、アームロック)黒部三奈●

◆第2試合[RIZIN キックボクシングルール:3分3R(59.0kg)]
△大雅(判定0-1=29-30、29-29、29-29)原口健飛△

◆第1試合[RIZIN MMA ルール:5分3R(57.0kg)※肘あり]
●中村優作(3R4分27秒、リアネイキッドチョーク)マネル・ケイプ◯