『器』体操・北園丈琉【プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己 (2018年10月11日 ユースオリンピック 体操男子個人総合 決勝)
10月6日から18日までの13日間、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで第3回ユースオリンピックが開催された。
ユース五輪は15歳から18歳のアスリートを対象としたジュニアのオリンピックだ。
今大会は、日本代表約90人を含む世界206の国・地域から約4千人の若者が集い、トップレベルの戦いが繰り広げられた。
各競技会場とも連日連夜、熱狂的な地元アルゼンチンの観客で埋め尽くされたが、彼らを最も魅了した日本人アスリートは、体操の北園丈琉選手ではないだろうか。
北園選手は圧倒的な強さで個人総合と種目別で合計5個の金メダルを獲得したのだ。
身長は148cm。小柄な選手が多い体操選手の中でも際立って小柄だ。
しかし、ファインダー越しに見た彼の心の器は、とてつもなく大きく見えた。
大舞台でも堂々と淡々としながら、まるで精密機械のように技を一つ一つ決めていく。
ところが演技を終えた途端、可愛らしいほどの満面の笑みで観客の声援に応える。
ある種目では着地に失敗したが、そんな時でも舌を出しながら愛嬌たっぷりの笑顔を見せる。
表彰式では、金メダリストの彼に各国カメラマンが一斉にレンズを向けると、
一通りのカメラマンに笑顔で応える。そして最後は日本人カメラマンに向かって一番の笑顔をサービスしてくれる。
いつの間にか会場全体が北園ワールドに支配されているかのように感じた。
これが高校一年生のなすことなのか。
私は強い衝撃を受けながら会場を後にした。

■カメラマンプロフィル

撮影:西村尚己
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している

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