東尾氏と石毛氏がドラフト斬り!「吉田の伸びしろは?」「阪神、外野手必要か?」

絶妙なトークを展開した東尾氏(左)と石毛氏
東尾氏と石毛氏がトークショー開催

 プロ野球の新人選択会議(ドラフト会議)が10月25日、東京都内で開催された。

 6球団が1位指名の意向を示していた大阪桐蔭の根尾昴は4球団の競合の末、中日が交渉権を獲得。夏の甲子園で準優勝した金足農の吉田輝星は日本ハムが外れ1位で交渉権を獲得した。

 この日、東京スカイツリーの東京ソラマチ内の「J:COM Wonder Studio」では「プロ野球ドラフト会議 大解剖スペシャル!」と題したイベントが開催され、野球評論家の東尾修氏と石毛宏典氏がトークショーを行った。

 石毛氏は1980年のドラフトで西武と阪急から1位指名され、西武が交渉権を獲得し西武入り。東尾氏は1968年のドラフトで西鉄ライオンズから1位指名を受けプロ入り。西武の監督だった1998年のドラフトで3球団の競合となった松坂大輔を引き当てた過去を持つ。

 2人は現役時代、ともに西武の黄金時代を支えた仲とあって阿吽の呼吸で軽快なトークを展開した。

 ドラフト開始1時間前から始まったイベントの前半では過去のドラフトのマル秘話を展開。
笑いの中にも辛口コメント満載だった石毛氏
石毛氏は自らの1位指名に「トンネルみたいなことはありません!」

 石毛氏は高校卒業時、ロッテに指名されたものの拒否。「プロ野球選手になる気持ちなんてさらさらなかった。マンガの『巨人の星』を見てプロ野球は相当レベルの高いところだと思った」とその理由を明かした。その後、駒大、プリンスホテルを経て西武に入団するのだが、「1位だったので仕方なく入りました(笑)」と言うと東尾氏は「プリンスホテルだから西武に入らないわけにはいかなかったんだと思うよ」と当時の状況を振り返った。司会に「1位でという確約があった?」と問われた石毛氏は「何をおっしゃいますやら(笑)。そんなトンネルみたいなことはありません! 僕は阪急と西武に指名されたんですが、阪急が交渉権を獲得していたら僕は今ごろプリンスホテルの支配人をやってますね。いや社長かもしれない(笑)」と会場のオールドファンをニヤリとさせるエピソードを明かした。

 東尾氏は監督として何度もドラフト会議に出席。松坂を引き当てたのだが、「大輔の時はシビれた。やったというよりホッとした。外れたのに間違って喜んじゃう人がたまにいるけど、あれだけはしないように気をつけていた」とその時、ビジョンに映っていたヤクルトの真中監督(当時)の姿を見ながらしみじみと話した。

 石毛氏はオリックスの監督を務めたのだが、オリックスはメジャーリーグにならいチーム編成とグラウンドでの戦いの責任をしっかり分けるシステムを取っていたことから、ドラフト会議に出席の経験なしという珍しい監督。「僕はその前にアメリカに行ってそういうシステムを見ていたので、納得して出席しなかった。事前の会議にも加わらなかった。アメリカはみんなそうだった」と言うと東尾氏は「寂しいな~。アメリカじゃないんだから。日本なんだから。アメリカに行ったのが間違いだったな。アメリカに行ったのが全然役に立ってない(笑)」といじる場面も…。
この日も絶口調だった東尾氏
東尾氏が江川氏のクラウンライター拒否に「断るか?」当時の心境明かす

 ドラフトといえば思い出されるのは1978年に起こった江川卓氏の空白の一日問題。実は前年、江川氏はクラウンライターライオンズに指名されたものの入団を拒否。それが翌年の大騒動につながるわけだが、当時クラウンライターのエースだった東尾氏は「江川の後にも野手で来なかった奴がいた。近鉄に入ったあいつですよ。このバッターが来たら、僕はデッドボール王と言われていたんだけど…」と前置きして「それ以上は言いませんが、それくらいの気持ちはあった。確かにクラウンライターは弱かったんだけど“断るか?”と思った。断られたほうの投手はそういう気持ちになる」と当時を振り返った。

 一方、石毛氏は当時はまだプロ入りしていなかったことから「江川さんの後からドラフトが変わった。制度を前に進めた、ある意味功労者かもしれない」と話した。

 また石毛氏はドラフトにおいて、「セ・リーグとパ・リーグでは着眼点が違う。例えば西武の山川みたいな選手はセでは獲らない。守れない、走れない選手はいらないというのがセントラルの選択」などと話し、「(今年優勝した)カープ、ライオンズは生え抜きの選手が活躍した。やはりスカウトの眼力。あと監督の選手起用の眼力。これがないと選手は育ってこない。西武の辻監督は源田と外崎を成績が悪くても使い切った。巨人にはそういう“使い切る”というところがないでしょ」と巨人の問題点を独自の切り口で指摘した。
各チームの1位が出そろったところでトークショーを総括
阪神の根尾回避にびっくり

 東尾氏は今年のドラフトについて「根尾は何球団が指名するかが注目。だって指名するって言っておいてしなかったら大阪桐蔭との関係が悪くなるじゃない」と話していたのだが、指名すると思われた地元の阪神が根尾ではなく、同じ大阪桐蔭の藤原恭大外野手を指名すると2人はびっくり。抽選で外れた阪神が外れ1位で立命大・辰己涼介外野手、そこで外れると大阪ガス・近本光司外野手を指名すると石毛氏は「阪神って外野手必要ですか?」と最後まで疑問を投げかけた。

 今年は東洋大の上茶谷大河、梅津晃大、甲斐野央の三羽烏、金足農の吉田と好投手が揃ったと思われていたが、12球団の1位の最初の指名で投手は西武の松本航だけ。2人にとっては意外な結果となった。

 吉田は日本ハムが外れ1位で交渉権を獲得したのだが、東尾氏は「素晴らしいセンスと頭脳を持っている。フィールディング、フォーム、センスと全部がいい。松坂大輔より完成度は高い。ただ完成されすぎてしまって、今後成長するところはどういうところなのか。伸びしろをどこに求めるのか? そこが一番気になるところ」と微妙な評価を下した。

 トークショーは1位指名が終わった段階まで。東尾氏は「各チームのスカウトが全体的に投手の評価が低かったのではないか。スカウトたちは同じ方向を見ていた」、石毛氏も「今年のドラフト候補の投手は大したことないという評価なのかもしれない。あの投手を獲るならいま二軍にいる選手を育てたほうがいいと考えたのかもしれない」などと1位の顔ぶれを見て話した。
〈各球団の1位指名選手〉
広島:小園海斗内野手(報徳学園高)
ヤクルト:清水 昇投手(国学院大)
巨人:高橋優貴投手(八戸学院大)
DeNA:上茶谷大河投手(東洋大)
中日:根尾 昂内野手(大阪桐蔭高)
阪神:近本光司外野手(大阪ガス)

西武:松本 航投手(日本体育大)
ソフトバンク:甲斐野央投手(東洋大)
日本ハム:吉田輝星投手(金足農高)
オリックス:太田 椋内野手(天理高)
ロッテ:藤原恭大外野手(大阪桐蔭高)
楽天:辰己涼介外野手(立命館大)