東京の中心から“極上のサービス”と“日本の粋”を届ける「BEYOND2020のおもてなし」

 2019年9月12日、ホテルオークラ東京が、「The Okura Tokyo(オークラ東京)」として開業する。日本を代表する名門ホテルとして、多くの賓客からも愛された東京のシンボル。伝統はそのままに、変化を恐れず、未来を見据える取り組みについて、宿泊統括部の部長を務める蒲生雅行氏に話を聞いた。
ホテルオークラ東京 宿泊統括部部長・蒲生雅行氏 (撮影・辰根東醐)

オークラらしさ“和モダン”の復活


「私たちとしては、“もうひとつの我が家”をコンセプトに、他のホテルや海外のホテルにも負けないような、オークラらしいものを作っていこうと思っています」。目の前に座っている蒲生氏は、少し微笑みながら、しっかりとその決意を聞かせてくれた。近年では、前アメリカ大統領のバラク・オバマ氏など数々の賓客を招き、ハイクラスを知り尽くした顧客たちに愛されてきたホテル。開業に向け、多くの注目が集まっている。

 以前本館があった場所に建設中の建物は2つ。ひとつは「オークラ ヘリテージウイング」、もうひとつは「オークラ プレステージタワー」という名称になると蒲生氏は続ける。蒲生氏が語る「オークラらしさ」とは、ホテルオークラ東京の真髄でもある“日本の伝統美”の粋。建物全体に、洋の中に和を取り入れ、落ち着きと暖かみのある空間を作り出している。ホテルの顔ともいえる「プレステージタワー」の1階ロビーは、以前の本館ロビーがほぼ再現されるということだ。「以前のロビーで使われていた照明のオークラ・ランターンや、“梅小鉢”と呼ばれるテーブルとイスも同じように設えます。解体する際、ロビーの光の具合や、音の反響の仕方なども調査・検証しておりインテリア・装飾デザインなども再現する予定です」。
「The Okura Tokyo」外観

多様な要望に対応


「『プレステージタワー』のほうには、今までのホテルオークラ東京にはなかった『クラブラウンジ』が新設されます。37階がラウンジになりまして、40階までの4フロアをクラブフロアとして運営。ラウンジは『ヘリテージウイング』にご宿泊のお客様にもご利用いただける場所として、ミーティングルームや、広々としたダイニングスペースなどを設え、お客様の多様なご要望にお応えできる場所になります。建物の外で言いますと、新たに『オークラ庭園』ができます。高低差のある立地を生かしたもので、私も楽しみにしております。今までオークラには広い庭がなく、お客様から“庭園を歩けないの?”というご要望がありましたので、十分に楽しんでいただけるものになると思います」

 オークラ庭園の広さは、敷地の約半分となる1.3ha。敷地の中で最も高い場所にある正面エントランス前に、お迎えの象徴となる「オークラスクエア」を配し、そこの水盤を起点に、滝、池、湿地などを形成する水の流れを石や砂利で表現する。オークラ独自の“枯山水”を彩るのは、初春の梅から秋のモミジまで、四季折々の姿を見せる圧倒的な緑。「これまでも、海外の方がいらしたときは庭園をバックに写真を取りたいというご要望が多かったので、新たなオークラの場所として使っていただけたらと思っています」

「和」ということでいえば、本館にあった茶室『聴松庵』が、「ヘリテージウイング」の日本料理『山里』の隣に作られることになった。「本館7階にあった『聴松庵』を復元する計画もあります。裏千家の代表的な又隠(ゆういん)を写したような本格的なものになるので、外国からのお客様にも喜んでいただけると思います。正座ではなく、椅子に座ってお点前を楽しむこともできます」。そして、オークラといえば多くの賓客を迎えることでも日本の顔として機能してきた。賓客用の新たな客室として、「プレステージタワー」の39階、40階の2フロアを使ったメゾネットタイプの「インペリアルスイート」が誕生。720㎡という、日本のホテルでは最大の広さの中に3ベッドルームがあり、ミーティングにも使えるシアタールームの他、バスルームには、打たせ湯や寝湯も設置。“我が家”にして究極の贅沢を味わえる仕様になっている。
オークラ プレステージタワー/メインロビー

日本のホテルならではのサービスを提供


「スタンダードな客室も、『プレステージタワー』が約50㎡、『ヘリテージウイング』が約60㎡。現在のホテルオークラ東京のジュニアスイートで60㎡くらいなので、それと同じくらいの広さがスタンダードになります。新たなスイートは17部屋配置されますが、スタンダードでも十分な広さがありますので、おくつろぎいただけると思っています」。さらに「ヘリテージウイング」の客室には全室にミストサウナが設置されるという。ホテルといえば、喫煙者にとっても敷居の高い場所になった感があるが、「喫煙に関しては、東京都の条例に合わせた対応になるので、また変わるかもしれませんが、宴会場やレストランの近くにも喫煙所は用意されます」と蒲生氏。さまざまなニーズに対応した柔軟な対応は、伝統を守りながら最大限のもてなしを提供しようという心意気からだろう。「東京には外資系のホテルもたくさんあり、そちらでもよく『和』を取り入れてらっしゃると思いますが、そこは外国の方から見た『和』だと思います。でも、我々日本のホテルは日本人から見た和を強調することで、その違いを感じてもらいたいという思いがあります。外資系のホテルにも素晴らしいものがありますが、日本のホテルは日本ならではのサービスを提供していきたい。以前、ある大使館の方に言われて驚いたことがあるのですが、“外資系のホテルは欧米のサービス、オークラは日本のサービス。日本にいるからこそ日本のサービスを取るんだよ”と。私たちが行っていたことが、お客様からはそのように見ていただけていたのかと思いまして。これからも日本のホテルとして、日本のサービスを続けていけばいいのかなと思っています」。
オークラ ヘリテージウイング/客室

伝統を守りつつ進化し続けるホテルへ


 これまでも人気を博してきたレストラン、日本料理「山里」、中国料理「桃花林」、鉄板焼「さざんか」は、現在営業しているホテルからThe Okura Tokyoへと移行する。継承することもありながら進化への努力を惜しまない。「レストランでも、日本の四季を感じてもらえるようなサービスに務めたいと思っています。四季の行事なども加味して、より季節感を味わっていただけるような検討を続けています。ホテルオークラ東京は、現在も営業を続けながら新ホテルの開業に向かうという、ホテル業界としては稀有な形を取っている。「スタッフは大変だと思いますが、オークラを愛していただくお客様たちのためにも、欠かすことなく開業につないでいければ」と蒲生氏。伝統を継承する名門としての誇りを持ちつつ、東京の新たなシンボルとして誕生する「The Okura Tokyo」。所在地は東京都港区虎ノ門。東京の中心から世界へ日本の粋を発信する。
(取材・文/幸野敦子)