【インタビュー】この役もあの役も同じ俳優だった! 岩井拳士朗に注目

ヘアメイク・松尾芳晴(AO) スタイリスト・西又潤一 (撮影・蔦野裕)
「少なからず怖い気持ちはありました。“原作者”と“監督”を前に、どちらにも認めてもらえる芝居をしないといけないですから」と語るのは注目の俳優・岩井拳士朗。映画『コード・ブルー ―ドクターヘリ緊急救命―』で“あのヒゲのイケメン整備士役の人は誰?”と話題を呼び、この秋も『SUITS/スーツ』をはじめドラマ3本にレギュラー出演中。そんな彼の最新映画『アウト&アウト』は、小説『藁の盾』などで知られる木内一裕が“きうちかずひろ”として自著を映画化した話題作。

「きうち監督はどんな映像を撮りたいか、どんな映画を作りたいか明確なものを持った方。すごく熱いものを持っていて、映画界に爪痕を残したいというお話を伺ってぜひ一緒にやらせていただきたいと思いました。漫画家としても活躍されてきた方だけに頭の中に完璧な絵が作られているんです。しかも原作者でもあるので、すごく信頼して演じることができました」



 岩井が演じるのは遠藤憲一演じる主人公の探偵・矢能の前に立ちはだかる謎の男・池上数馬。

「この現場で遠藤さんから教わったことは本当に多かったです。コメディー作品の遠藤さんも拝見していましたが、やはり強面のイメージがあって(笑)。でも現場での遠藤さんって本当に気さくで、僕やスタッフさんにも気を配ってくれる。子役の白鳥玉季ちゃんと一緒にいるときなんて本当のお父さんみたいだし(笑)。ただ芝居に入ってガラッと変わる。特に今回は矢能というメチャクチャかっこいいクールな探偵役なので、そのギャップが本当にすごかった。動きや芝居のことも教わりましたけど、一番は人としての在り方、俳優としての現場の居方だったように思います」
©2017「アウト&アウト」製作委員会

  今回は暗殺者としてテクニカルなアクションも披露。
「実はこれだけしっかりアクションをやったのは本作が初めてなんです。最初は難しいなと思って戸惑ったりもしたんですが、アクション指導もしていただいて何とかできたかな…。上手いわけではないですが、やっていて楽しかったので今後もアクションには挑戦してみたいです」
 もともと運動神経がいいほう?
「そんなこともないですけど…クワガタを採りに行くときは1日に何時間でも野山を歩きますし、5メートルくらいの木なら普通に登って、足だけで木につかまって上体を浮かせてクワガタがいる穴をのぞいたり。そういう原始的な運動なら得意なんですけど(笑)」
 クワガタさえいればどんなアクションもこなしてしまいそう。
「かもしれないですね。アクションの動きもクワガタに例えてもらえればすぐ理解できると思います(笑)」


  子供のころから昆虫や自然が大好きだったという。
「鹿児島にいたころは自分がドラマや映画に出るなんて考えたこともなかったです。映画はよく見ていましたけど正直、別世界というか、まったく接点がありませんでしたから目指そうなんて思いもしなかった。東京へ出てきて初めて街で有名人を見たとき“あの人、実在していたんだ”と思いました(笑)。東京へ出てきてモデルをするうち事務所から声をかけてもらって、役者のお仕事を頂くようになり、最初はただただ圧倒されていました。撮影現場に行って初めて、ドラマや映画がどうやって作られているのか目の当たりにしたとき、ものすごく感動したんです。“こうやって撮ってたんだ!”と、何もかもが面白くて。みんなが一つの作品を作る現場を見て、自分もここに入りたい、と思ったんです。それが本当の意味で俳優に興味を持った瞬間だったと思います」


  楽しいことばかりではないけれど、それでも夢中になっている。
「自分と共演者の方、スタッフさん…現場のバランスがガチッとハマった瞬間が本当に心地良いんです。その瞬間を味わいたくて、夢中でやっています。その瞬間を増やすために、これからも経験を積みたいし、もっと場数を踏みたい」
 本作でもそういう瞬間があった。
「矢能と数馬が最後に対峙する場面なんですけど、遠藤さんと芝居をしていてスッとハマった感じがして。一緒に芝居させていただいたこともありがたくて貴重な経験だったんですけど、安心して乗っからせてもらったあの瞬間が本当に楽しかった」
©2017「アウト&アウト」製作委員会
『SUITS/スーツ』の嫌味な若手弁護士、NHK プレミアムドラマ『主婦カツ!』の頑張り屋のバイトリーダー、『インベスターZ』ではマッシュルームカットのオタクと、同一人物が演じていると気づかない人もいるほどのカメレオンぶり。
「『SUITS/スーツ』ではすごく嫌な奴を演じていて“コイツ、殴りたい”と思ってもらえたら勝ちだなと思っています(笑)。ありがたいことにいろいろな役を頂けるようになって、僕としてもオタクからイケメン風(笑)まで、全然違う役に挑戦させていただけるのはうれしいし、どんどん経験値をあげていきたいです」
 オフの時間は…やはり?
「飼育している昆虫の世話をしていることが多いかな。今100匹はいるので。そうだ、先日、僕の誕生日にウチのパプアキンイロクワガタとオオヒラタクワガタの卵が孵化したんです! 自分と同じ誕生日とか、愛着沸きまくりですよ(笑)」
 ちなみに他の、女子受けしそうな趣味は…?
「女子受けするクワガタもいますよ。本当に女子におすすめのクワガタがいるんですけど…。あとは自然が好きなので奥多摩などに行って、ぶらぶらと、20~30キロ歩きます」


  柔らかな印象からは想像できないタフガイぶり。ギャップ萌えが好きな女子も、アクション好きの熱い男子も、本作の悲しき暗殺者役は必見。
「ぜひ映画館で楽しんでいただければうれしいです。展開の面白さ、遠藤さんのカッコよさにポップコーンを食べる手も止まると思います!」
(本紙・秋吉布由子)
『アウト&アウト』
監督:きうちかずひろ 出演:遠藤憲一、岩井拳士朗他/1時間46分/ショウゲート配給/11月16日(金)よりTOHOシネマズ 新宿他にて公開 http://out-and-out.jp/