RIZIN女子スーパーアトム級王者・浜崎朱加「準備はできているのでいつでも」と次戦を心待ち

 大晦日の「RIZIN.14」で初代RIZIN女子スーパーアトム級王座に就いた浜崎朱加の祝勝会が2月2日、東京都内のホテルで開催され、多くの関係者、支援者が浜崎の偉業を称えた。

タイトル獲得の浜崎をお祝い

祝勝会に詰めかけた関係者・支援者に「感謝しかない」
 浜崎は挨拶で「こんな盛大な会を開いていただいてありがとうございました。お集まりいただいた皆様、ありがとうございます。私は今、AACCというジムで練習しているんですが、ジムの代表の阿部さんだったり、今は違うジムなんですが藤井さんだったり、練習仲間のみんなだったり、応援してくれている皆さんのおかげでこのような成績を残せたことをうれしく思っています。今、働かせていただいているさいとうクリニックの齊藤院長をはじめ、支えていただいているスタッフのみんな、本当にいつも応援していただいて感謝しかないです。チャンピオンになったことでこれからもっともっと強い相手とやることになると思うんですが、しっかりいい成績を残せるように頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします」と感謝の言葉を述べた。

ベルトを持って登壇した浜崎

「最近は街で声をかけられることが多くなった。地上波の力を感じています(笑)」
 会場では挨拶や記念写真で引っ張りだこの浜崎は本紙の取材に「まだ次の試合は決まっていないんですが、ノーダメージなのでいつでも試合はできる状態。準備はできているのでいつでも」と次戦が待ちきれない様子。会場には多くの人が駆け付けたのだが、「うれし恥ずかしって感じ。もっと頑張らないと、という気持ちになります。Invictaでチャンピオンになった時も一度こういった祝勝会を開いていただいたんですが、今回のほうが人数は多いかも。最近は街で声をかけられることが多くなった。今日も六本木で声をかけられたし、昨日は電車の中で。地上波の力を感じています(笑)。勤務しているさいとうクリニックでも齊藤先生が知らせてくれて、患者さんもみんな見てくれていた。武蔵村山での視聴率を出したら90%いってると思う(笑)」と話した。そして大晦日の浅倉カンナ戦について「いいところもあったし悪いところもあった。悪いところはめっちゃ大振りだったところ。熱くなっちゃうとガンガン前に出てしまうので、冷静にならないといけない。浅倉選手が強くなっていることは想定していたので、気を抜かずに行った」などと改めて振り返った。

師匠の佐々木さん(右)と2ショット

佐々木惠さん「格闘技は男子だけのものではないということを広めてくれた」
 かつてAACCに所属し、浜崎の師匠でもある佐々木(旧姓藤井)惠さんも現在住む広島から駆けつけた。

 佐々木さんは「入門して1年後にプロデビューをした。その時に1Rでダウンを取られてしまったが、そこから気持ちを切らさず2Rで逆転勝ちした。うまくいかないところから気持ちを切らさず最後まで戦い切るということがデビュー戦からできていた」などと早くから非凡な才能を見せていたデビュー当時を振り返った。そして「日本でチャンピオンになり防衛を重ね、アメリカでも日本人初の世界チャンピオンになった。結果だけ見ると華やかな部分しか伝わってこないが、いろいろ苦しい思いもしてケガにも悩まされてきた。現役を続けられるか分からない時期もあったが、そういうものを乗り越えて、今回またRIZINで若くて勢いのある強い浅倉選手と戦い、世界王者というプレッシャーもある中で、しっかり勝って3本目のベルトを取ることができた。簡単な道のりではなかったと思うが、この10年間、何があっても自分の信じる道を進み、挑戦していった結果が今の彼女の結果だと思う」と浜崎を称えた。そして「一緒に選手としてやってきた時代を誇りに思う。そしてこれから始める選手たちの目標になっていってもらいたい。選手としてばかりではなく、本当に人としても優しく純粋で素直。そういうところを見て若い選手たちも浜崎選手のような選手になってほしい。年齢的にも調整が難しいところもあるが、世の中の頑張る女性たちに勇気や夢を与えてくれると思う。これからもいろいろな人に支えられながら、感謝しながら、頑張ってみんなを引っ張っていってほしい」と今後の活躍に期待した。

ペアチケットが当たった佐々木夫妻と浜崎

RIZINのペアチケットは佐々木夫妻の手に
 スピーチを終えた佐々木さんは「朱加を祝福してくれる人がこんなにたくさんいるのはうれしい。でもそれは朱加の人柄もあるんだと思う。自分のことではないけど自分のことのようにうれしく思った」などと多くの支援者に囲まれている浜崎を眺めながら話した。そして大晦日の試合後にバックステージで話をしたことを明かし「昔から変わらないんですが、仕事をやり終えた安堵感だけが伝わってきた。すごく大きなプレッシャーがあったと思う。カンナちゃんがチャンピオンになって本当に頑張ってRIZINを引っ張ってきた。そこに自分が出て行って、どれくらいのものを伝えることができるのかというようなプレッシャーもあったと思う。そんな中でいい勝負をして勝つことができたという安心感と、カンナちゃんもすごくいい動きをしたので、そういう自分の後に続く選手がいるという安心感もあったと思う。私は引退する時に、“大晦日にコタツでみかんを食べながら、テレビで女子の試合が普通に流れればいいな”と思っていたが、それが現実になってまた夢が叶ったなと、心の中でニコニコしていた」と話した。そして今後、浜崎に期待することとして「朱加たちは格闘技は男子だけのものではないということをいろいろな人に広めてくれたと思う。なのでもう変な責任を持たずに肩の荷を少し下ろして、自分の好きな格闘技を思いっきり楽しみながら戦ってくれればいいなと思う。そうすることで、これからもそれが見ている人たちに伝わっていくんじゃないかと思います」と話した。そして最後に「こういう形で世に出てくれて、みんなが彼女を応援してくれるのはすごくうれしい。昔は破天荒だった。風来坊って感じでちょっとしたらどこかに行っちゃうんじゃないかって感じがあった。でも周りの人に支えてもらいながら格闘技で成長させてもらったところは大きいと思う。いい人に出会えて自然とこういう結果が出たのかなと思う」などとしみじみ話した。

 祝勝会では浜崎の私物などのプレゼント抽選会があったのだが、最後に用意された次に浜崎が出場するRIZINのペアチケットが当たったのはなんと佐々木さん。佐々木さんは現在、RIZINの解説を務めている。夫の佐々木信治選手と壇上に上がり、「ペアシートで見させていただきます(笑)」とのことだが果たして…。

トークショーでも息ぴったりだった浜崎とアミバ(右から2人目)

盟友のアミバは「すごいことをしているのに、みんなに伝わっていないのが悔しかった」
「職場もチームも一緒でほぼ毎日一緒にいるので、3日に1回はケンカする。それでもお互いを一番理解していると思うし、本音を言える仲。一緒にいることができてうれしく思っている」と言うのは所属、勤務先とも同じで親友でもあるアミバ。そして「浜崎さんは最初は週1の会員だったのに私が形に入っても取らせてくれない、嫌な週1会員だった(笑)。浜崎さんがグラップリングの試合に出た時に、ファイトマネーが今で言う2000円か3000円くらいだったのに、そのお金で帰りに私にご飯を奢ってくれた」と当時のエピソードを披露。「DEEP JEWELSのチャンピオンになって、その後にInvictaのチャンピオンにもなって2度も防衛した。それはすごいことだと思っていたのに、みんなに伝わっていないというのが悔しかった。その中でRIZINに参戦することが決まって、朱加が参戦する前から有名な選手はいたが、強い朱加が一番有名になってほしいと思っていた。前回の大晦日には生放送で中継してもらえて、私もすごくうれしかった」などと一番近くにいるからこその胸の内を明かした。そして「私も浜崎さんも30代で体がキツイところもあるんですが、藤井さんに“気持ちが切れないうちは続けてほしい”という言葉をかけてもらった。友人としても同僚としてもチームメートとしても浜崎さんと一緒に頑張っていきたい」と続けた。