愛すべきバブル世代に斬りこむ、自虐的(?)新・世代論『駄目な世代』

 書名の「駄目な世代」というのは、いわゆるバブル世代に青春を謳歌した人たちの事。著者自身もその世代にずっぽりと当てはまる。平成の最後に、「最後の昭和人」であり「昭和の最下級生」ともいえるバブル世代を、自虐を込めて独自の視点でぶった切っている同書。

 1966年、丙午生まれといえば、多くは平成元年がちょうど就職1年目の時代。昭和の最後を“レジャーランド化”した大学で過ごしたバブルの申し子たちは、就職してからも、そして中高年と呼ばれる年代になっても、バブルを引きずっている。その世代の功罪を、メディア、ファッション、名付け、ITなど現在進行形の事象と合わせて分析。

 例えば“美魔女”。あのころに、“若さは売れる” と気づいたバブル世代の女たちは、今でもその呪縛にがんじがらめになっている。消費する事に躊躇がないが彼女たちは、バンバンお金を使って、必死で若くあろうともがいているのが、現在の“美魔女”ブームだ。と言った上、それが若い世代から“イタい”と思われているという冷静な視点も忘れない。そのように、全体的に“イタい” “ダサい”“時代遅れもはなはだしい” といったバブル世代の現状を嘆きつつ、根底では“そんな時代に生まれてしまったけど、結局楽しかったよね”という雰囲気が流れているように感じているのは、ノー天気なバブル世代だからだろうか。時代とともに埋もれていくであろう、そんなバブルな世代を生きてきた人たちの行く末を見守りたい。

『駄目な世代』
【著者】酒井順子【定価】本体1400円(税別)【発行】KADOKAWA