江戸と東京。それぞれを見つめた表現者たち「田沼武能写真展 東京わが残像 1948ー1964」

田沼武能《オリンピック開幕で市街を走る聖火ランナー》[東京] 1964年
 終戦直後から活躍し、90歳を迎えようとする今も第一線で活動し続ける写真家・田沼武能(1929〜)。生誕90年、写真家生活70年の節目に合わせ「戦後東京」をテーマにした初の大規模個展が開催される。

 田沼は1949年に東京写真工業専門学校(現・東京工芸大学)を卒業した後、サン・ニュース・フォトス社に入り、木村伊兵衛の助手として写真家人生をスタート。『藝術新潮』の嘱託写真家として文化人の肖像写真による連載で注目を集めたのち、アメリカのタイム・ライフ社と契約しフォト・ジャーナリズムの分野でも活躍。また、黒柳徹子ユニセフ親善大使の援助国訪問には1984年の初回からすべてに同行するほか、これまで120カ国を超える世界中の子どもたちを撮影してきた。

 卒寿を迎える今も写真家として第一線で活躍している田沼だが、子どもや文化人の写真と並びライフワークとしてきたのが、自身の生まれ育った下町を中心とした東京の写真。戦後の焼け野原から出発し、さまざまな矛盾を内包しながらも再生を目指し激しく変貌した都市・東京。本展では、田沼が見つめてきた東京の写真作品180点を「子ども」「下町」「街の変貌」の3つの視点から紹介。さらに世田谷美術館での個展開催にちなみ、特別企画として、世田谷区ゆかりの文化人の肖像写真24点も展示する。

 会期中は田沼本人が登壇する講演会も実施される(3月16日14時〜、13時よりエントランスホールにて整理券を配付。当日先着140名。参加費無料)。

田沼武能写真展 東京わが残像 1948ー1964

【会場・会期】世田谷美術館 開催中〜4月14日(日)
【時間】10〜18時(入場は17時30分まで)
【休】月曜(2/11は開館、翌12日休館)
【料金】一般1000円、65歳以上800円、大高生800円、中小生500円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】東急田園都市線「用賀」駅より徒歩17分
【URL】https://www.setagayaartmuseum.or.jp