中村蒼「慣れは怖い」。14歳で逮捕の実例も…オレオレ詐欺の現実を描く『詐欺の子』



 NHKスペシャル『詐欺の子』の会見が18日、都内にて行われ、出演する中村蒼らが登壇した。

 いわゆる“オレオレ詐欺”と呼ばれる特殊詐欺に加担する青少年が増えている現状を、実際に起きた複数の事件をもとにドラマとドキュメントで描き、詐欺に手を染める若者たちの姿を通して、特殊詐欺が無くならない現代社会の背景に迫る。

 狙う相手に電話をかける“かけ子”グループのリーダー大輔を演じた中村蒼は「まず何よりもこのような犯罪が無くなったらいいなと心の底から思いました」と語り「同時に、その中には家庭環境や友人関係から、そういう世界に足を踏み入れてしまった青少年がこれほど多くいることに驚かされました」と明かした。
 大輔の親友で見張り役の遠山を演じる長村航希が「自分の人生に無かった体験なので、どう演じたらいいのかと思ったんですが、遠山も捕まってから大変なことをしてしまったんだと気づいていくので、役としても自分としても、しだいに実感していきました」と振り返ると、中村も「実際の証言映像や資料などを見せてもらい、エンドロールに流れる実際の音声なども聞いてみて、彼らに共通して犯罪をしているという認識の無さを感じたので、そこを参考にしました。でも撮影中、自分の中では、どうしても犯罪に対する思いがわいてきてしまって。多額のお金を前にするシーンで、僕は“これは正しいのか?”という目でそのお金を見てしまったんですが、監督から“ここは達成感や、これでいい暮らしができるという気持ちを表現してほしい”と言われました」と、自身とは真逆の感覚に染まった青年を演じる難しさを語った。
 また、被害者からお金を受け取る役割の“受け子”をする17歳の少女・玲奈と、14歳の和人は実年齢も同じ役者が演じた。玲奈役の髙橋ひかるは「自分と同年代の子が、少年法があるから大丈夫と言われたり、自分のためだけでなく友人関係のためや、これは悪いことじゃないんだと勘違いして手を染めていく姿が本当に怖いと思いました」。和人を演じた渡邉蒼は「実は僕のひいおばあちゃんもオレオレ詐欺に遭いそうになったことがあって。お金は払わなくて済んだんですけど(桃井かおり演じる被害者のように)ずっとあの電話は僕のお父さんの声だったと思っていました。そういうふうに何も知らないままの人もいると思う」と明かした。
 演出の川上剛ディレクターは「14歳の受け子が逮捕されたり、被害者が息子の声だと信じ込んでいたりといったことなど、描かれていることはみな実話から組み立てたもの」と語り「今回は特殊詐欺の実態がどうなっているのかを1年かけて取材しました。特殊詐欺がなぜ減らないのか、どういう経緯で若い子たちが手を染めてしまったのかということを、少年院にいる人や出所した人、元リーダーだった人たちなど20人以上から話を聞き、構想を練ってきました。特殊詐欺は大きな組織犯罪になっていて、それぞれ自分は電話をかけただけとか見張っただけ、運んだだけなどと言う。自分は歯車の1部でしかない、という意識なんです。それはあたかも、誰かのせいにして自分は責任を負わない、今の世の風潮にも通じるように思いました」と語った。

 特殊詐欺の世界に触れてどんなことに怖さを感じたかと聞かれた中村は「慣れ、ですかね。大輔のように、電話越しに人をだますこと、お金を受け取ること、和人のような少年に指示を出すことにも慣れてしまうんだなと思うと怖いですね」と語り、渡邉も「(詐欺グループの仲間たちと)食事やカラオケに行くシーンを撮影していてとても楽しくて、自分もそういう世界に足を踏み入れてしまう可能性はあるのかも、と思ったことが一番怖かった」と、被害者となる可能性だけでなく若い世代が加害者となる可能性もあることを訴えた。

 NHKスペシャル『詐欺の子』は23日21時よりNHK総合にて放送(90分・単発)。