Home | 2006年08月 ≫

2006年07月24日

 

第1回 港区白金界隈

コーヒー豆屋の出会い

 今週からこの『蘭心竹生』も第二章に突入する。『路地裏ダイヤモンド』と称して、東京の路地裏の魅力を発見していこうじゃないか、っていうのが趣旨だが、そもそも俺が路地裏を歩くようになったのは、持病の腰のヘルニアが悪化したからだった。9年くらい前に1週間くらい寝たきりになっちまって、医者に相談したら手術しなきゃダメだっていう。しかも、腹から開いて内臓を取り出してから背骨を手術するって言われて…それはさすがに嫌だなと思った。で、手術しないで治すなら「歩いて身体を矯正しなさい」。

 大体が俺は水球をやってた水上生活者だから、上半身が発達した割には足が細い。それで体を支えるには、それ相当の筋力をつけなきゃダメってことだが、それまでの俺は、走るのはおろか歩くのも大嫌い。身体のためとはいえ楽しみがないと続くわけがない。それなら路地裏を攻めてみようと思ったのが始まりだった。

 で、これが始めてみたらなかなか面白いワケだよ。自宅のそばを歩いては、「こんな店があったのか!」って気付いたり、意外なところに美術館があることを発見したり、おばあちゃんがやってる駄菓子屋をのぞいたり、でかくなりすぎて誰も買わない金魚ばっかり置いてる金魚屋を見つけたり。ちなみに俺はその金魚屋でたまに餌を買ってるわけだが、そうやって都会の真ん中で風に吹かれながら、見つけるんだよ。路地裏にも本当はダイヤモンドが転がってるってことを。

 というわけで、第1回目の今回は、俺がたまに足を運んでる白金界隈を紹介かたがた歩いてみた。白金高輪に地下鉄の駅ができてから、駅周辺には軒並み高層ビルが建てられたけど、明治通りから川を挟んで白金のバス通りまでの間には、なんとかふんばって、穏やかな下町風情が生き残っている。俺がよくコーヒーの豆を買いにくるのもこの辺りだ。2~3年前に通りかかった時に入ったコーヒー豆屋を喫茶店と勘違いして「コーヒーください」って注文したら、「ここは喫茶店じゃない!」って親父に言われたのが最初だった。間違えただけなのにその言い方はないだろってカチンときたけど、なんだか気になって何度も寄るようになったんだ。何回行っても親父は相変わらず無愛想だったけど、その店の豆を挽いたコーヒーは最高に旨かった。しぶとく通ったおかげで、今では「いつもの」で通じるようになったし、店に置いてあった古くていい感じのコーヒーミルも、しつこく粘って売ってもらった。「コーヒー好きなやつじゃないと売りたくないからさ」って言ってたけど、今、そのミルは俺のスタジオに置いてあってちゃんと現役で活躍してるよ。

 この界隈には不思議な自動販売機もあって、見本の缶がすべて見たこともない飲み物で、ベストなんとかコーラとか書いてある。今日、試しに買ってみたら、見たことないジュースのボタンからは缶ビールが、ソーダみたいなボタンからは、缶ビールのロング缶が出てきた(笑)。見本と商品がまったく合ってないなんて笑っちゃうけど、楽しくていいじゃない。小腹が空いたら、商店街のスーパーの店頭で焼き鳥を買って公園で食べる。その焼き鳥はネギマ、ツクネ、シロなんでも一本70円、安い割になかなか旨い。今日も俺は5本くらい食っちゃったから、腹ごなしにこの界隈をもう少し歩いてみよう。

(つづく)

路地裏ダイヤモンド画像01-1路地裏ダイヤモンド画像01-1 拡大 路地裏ダイヤモンド画像01-2路地裏ダイヤモンド画像01-2 拡大 路地裏ダイヤモンド画像01-3路地裏ダイヤモンド画像01-3 拡大
色褪せ感が時代を感じる、噂の自販機 公園で食べた焼き鳥。外で食べるとウマイ! こんな路地の突き当たりに風呂屋があった!