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2006年08月21日

 

第3回 新宿区南元町~若葉

ちょっとおかしなデートコース、蕎麦屋、ミクニ、たいやき屋

 思えば歩き初めて約9年。それも1年に200日は間違いなく歩いてるから、青山にある俺の事務所を拠点に、今まで1800通りくらいの歩き方を見つけてきた。その中から、今回は割となじみの四谷界隈を歩いてみた。目指すは市ヶ谷にある、通称『金魚屋』だ。

 スタートは権田原にある明治記念館前。最初から表通りとはおさらばして脇の小道を下っていくと、首都高の高架下が空き地のようになってる所がある。といってもれっきとした道路なんだけど、車はほとんど通らないから、雨の日に運動するのにここは最適。映画の撮影にもよく使われる場所で、俺も確か『漂流街』のロケをやったことがある。デビュー当時の“民川裕司”ものでも撮影をやったはずだな。歩いてる途中で出くわした場所なんだが、「そういえばここ、来たことあるな」って記憶があったからね。ま、そういう発見があるのも路地歩きの面白さだと思うよ。

 この界隈でおすすめなのは、わき道を入ったところにある蕎麦屋。といっても、さして特別なことはない普通の蕎麦屋なんだが、看板はあるのに探さないと見つからない路地の奥にあるのが面白くて一度入ったことがある。女の子と散歩する人は、いたずらっぽく使えるよ。「蕎麦食べに行こう!」って誘って、わざと高速下のトンネル道を通って行くことでスペシャル感が出るからね。こんなとこに連れてくるなんて、かなりヘンな奴だと思われるのがうれしい、みたいな(笑)。

 蕎麦屋の通りを迎賓館のほうに進んだところにある『みなみもと町公園』は、このへんで一服するのにちょうどいい場所なんだ。ここはボール使用がOKだからボール持参で来ると楽しいよね。ブランコもあるから乗ってみたりして、ちょっと童心に返ったりしてね。ブランコって、なぜかわからんけどあると乗ってみたくなるから不思議だよ。漕いで、風を切って、日常じゃないどこかに運んでくれそうな感じがするからかな…。

 公園の向こうには都内では珍しい電車のトンネルを見下ろせる場所があって、今日もちょうど総武線が走っていくのが見えたよ。この界隈には入り組んだ路地が多いが、その中に老舗フランス料理店の『オテル・ドゥ・ミクニ』があるんだ。ちょうど通りかかったら三國シェフがお客さんを見送ってるところだったけど、向こうから見たら、こんな静かな住宅街をウォーキングスタイルで歩いてる俺って、かなりヘンな奴だろうね。ちなみにここには『ミクニ』のカフェもあって、トンネル脇の蕎麦屋の後に「ちょっとお茶しよう」って女の子を連れてくれば、その落差が面白いってことで「ヘンな人→なかなか洒落た人」になるんじゃないかと思うのだが…。そこから新宿通りに向かって路地をくねくね歩いていくと、老舗のたいやき屋『わかば』もある。都内のたいやき屋と言えば、麻布十番の『浪花屋』かここかってくらい有名な店で、店先で食べられるようになってるのもいい感じだけど、昼間は結構行列ができてるんだよ。

 まあ俺としては、甘いものを食べるなら、その先の角にある和菓子屋の水羊羹なんかをつるっとやるほうが好きかな。自家製のカステラが木の箱に入ってたりして、そういう風情もいいなって思うんだ。

(つづく)

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看板はデカいが、入り口は奥まったところに なぜか乗りたくなるブランコ たいやき型の携帯ストラップも売っている

2006年08月07日

 

第2回 港区白金~南麻布界隈

花見、釣り堀、坂道の風情

 前回は、旨いコーヒー豆を売ってる店に行ったり、以前見つけた不思議な自動販売機を再確認したり、スーパーの店頭で焼き鳥を買って食べたりしながら白金界隈を歩いたわけだが、このあたりにはもうひとつ、住宅街の中でひっそりやってる釣り堀があって、そこもなかなかいい風情なんだ。

 明治通りを渡り、坂道を上って、下りて、路地を入ったところにその釣り堀はある。元々金魚屋を営んでた親父さんが自宅の庭に大穴掘ってヘラブナを放したらしい。看板は出てるけど、おおっぴらに宣伝してる様子は無いのだが、今日も平日の昼間っから何人か釣り糸を垂れてる人がいて、マニアにはたまらない“都会のオアシス”になってるってわけだ。

 このあたりは住所でいうと白金ではなく南麻布になるらしいが、近くにはひと休みするのにちょうどいいお寺や神社、公園も多い。今日は釣り堀近くのお寺に立ち寄ってみたが、こちらはほとんど人がいなくて静かだった。自販機で買った缶ジュースを飲みながら汗をひかせるのに、なかなかいい場所だと思うよ。信仰心などまるで無縁の男ではあるのだが、いわゆる境内って、外の世界となんか違う時の流れ方してる感じがするんだな。襟を正すってことじゃないが、何だかね。木々も多いから森林浴というかマイナスイオン効果って奴なのかな? ちなみにこの『光林寺』には桜の大木もあって、花咲く春には絶好の穴場になるんだな。この界隈では、白金の狸橋の近くに、店のカウンター席から花見ができる洒落たバーもあったりする。『光林寺』の並びには、近くの大使館勤めの外国人たちに人気の風変わりなシガーバーもあったりする。都心でもなんとか踏ん張って下町情緒を残してるエリアは、歩きながらいろんなおもしろいものを発見できる場所なんだな。車で通ったら見過ごしちまうようなものを見つけられるって点にも、路地歩きの楽しさはあるわけだ。

 余談だが、今回俺に同行した編集部のスタッフは普段あまり歩かないらしく、ものすごい勢いで汗だくになっていた。次回から街歩き用の格好をそろえることにしたそうだ。足元はスニーカーで、カバンはリュック。これはいちおう基本かな。歩きやすい格好をしないと、散歩も楽しくないからね。俺は今は両足で重量が2.8kgある、トレーニング用の鉛の板入りのシューズを履いて歩いてるんだけど、これはボクシングの竹原(慎二)君がプロデュースしたやつで、夜中の通販番組で見て「これは良いぞ!」と思い、彼に連絡したら、贈ってくれたもの。最初に履いた時はさすがに重くて、2~3時間歩くと「いやー、しんどい」って感じだったけど、今は逆にこれじゃないと足元が軽すぎて気持ち悪い。面白いもんで、足元が重いと振り子の要領で足がすーっと前に出るんだ。もっとも、俺みたいに体の大きな男が、そんな身なりで路地の探索なんかやってるから、何度か警官から職務質問されたけどね(笑)。「あなた、こんなところで何やってるんですか?」「堂々と散歩してんだよっ!」って(笑)。ま、そんなこともありながら、次回はまた別の路地に足を向けてみるよ。

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南麻布界隈の坂には風情ある名前が 電柱にはこんな看板が出ている 緑が多くて静かな『光林寺』の境内