第2回 港区白金~南麻布界隈
花見、釣り堀、坂道の風情
前回は、旨いコーヒー豆を売ってる店に行ったり、以前見つけた不思議な自動販売機を再確認したり、スーパーの店頭で焼き鳥を買って食べたりしながら白金界隈を歩いたわけだが、このあたりにはもうひとつ、住宅街の中でひっそりやってる釣り堀があって、そこもなかなかいい風情なんだ。
明治通りを渡り、坂道を上って、下りて、路地を入ったところにその釣り堀はある。元々金魚屋を営んでた親父さんが自宅の庭に大穴掘ってヘラブナを放したらしい。看板は出てるけど、おおっぴらに宣伝してる様子は無いのだが、今日も平日の昼間っから何人か釣り糸を垂れてる人がいて、マニアにはたまらない“都会のオアシス”になってるってわけだ。
このあたりは住所でいうと白金ではなく南麻布になるらしいが、近くにはひと休みするのにちょうどいいお寺や神社、公園も多い。今日は釣り堀近くのお寺に立ち寄ってみたが、こちらはほとんど人がいなくて静かだった。自販機で買った缶ジュースを飲みながら汗をひかせるのに、なかなかいい場所だと思うよ。信仰心などまるで無縁の男ではあるのだが、いわゆる境内って、外の世界となんか違う時の流れ方してる感じがするんだな。襟を正すってことじゃないが、何だかね。木々も多いから森林浴というかマイナスイオン効果って奴なのかな? ちなみにこの『光林寺』には桜の大木もあって、花咲く春には絶好の穴場になるんだな。この界隈では、白金の狸橋の近くに、店のカウンター席から花見ができる洒落たバーもあったりする。『光林寺』の並びには、近くの大使館勤めの外国人たちに人気の風変わりなシガーバーもあったりする。都心でもなんとか踏ん張って下町情緒を残してるエリアは、歩きながらいろんなおもしろいものを発見できる場所なんだな。車で通ったら見過ごしちまうようなものを見つけられるって点にも、路地歩きの楽しさはあるわけだ。
余談だが、今回俺に同行した編集部のスタッフは普段あまり歩かないらしく、ものすごい勢いで汗だくになっていた。次回から街歩き用の格好をそろえることにしたそうだ。足元はスニーカーで、カバンはリュック。これはいちおう基本かな。歩きやすい格好をしないと、散歩も楽しくないからね。俺は今は両足で重量が2.8kgある、トレーニング用の鉛の板入りのシューズを履いて歩いてるんだけど、これはボクシングの竹原(慎二)君がプロデュースしたやつで、夜中の通販番組で見て「これは良いぞ!」と思い、彼に連絡したら、贈ってくれたもの。最初に履いた時はさすがに重くて、2~3時間歩くと「いやー、しんどい」って感じだったけど、今は逆にこれじゃないと足元が軽すぎて気持ち悪い。面白いもんで、足元が重いと振り子の要領で足がすーっと前に出るんだ。もっとも、俺みたいに体の大きな男が、そんな身なりで路地の探索なんかやってるから、何度か警官から職務質問されたけどね(笑)。「あなた、こんなところで何やってるんですか?」「堂々と散歩してんだよっ!」って(笑)。ま、そんなこともありながら、次回はまた別の路地に足を向けてみるよ。


