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第4回 新宿区須賀町~荒木町

懐かしさに出くわす楽しさのある街

 それにしても今さらながら思うのは、こうやって街を歩くのは裏道に限るってことだ。前回、有名なたいやき屋の『わかば』まで来たけど、その先は新宿通り。車がバンバン走る大通りを歩くのはどうにもつまらない。そこでここから路地裏を逆戻りすることにした。

 四谷霊廟の脇の坂を下っていくと、俺が子供のころに見たような、今じゃ珍しいアイスキャンディー売りに出くわした。それも、台車の上にアイスの箱を載せて、旗を立てて売り歩く昔ながらのキャンディー屋。こんなのに遭遇するから路地歩きは楽しいわけだが、アイス屋のおっさんに話を聞いてみたら、「このへんには1年に2回くらいしか来ない」と言うじゃないか。365分の2の確率で会うなんておもしろいよね。それも「夏と冬では仕事が違う」とか、訳ありな感じもそれっぽい。せっかくだから1本買って食べてみると、暑い日はこれがまた旨い! 買ったのはパイン味。俺はパインが大好きで、自分で晩飯を作る時はおかずとスープと食後のフルーツを必ず用意するのだが、7、8割はパイナップルを買う。なんで好きなのか分からないが、パイナップルとかパパイヤとかマンゴーとか、果物は南国系が多いんだな。

 アイスをなめながら次に向かったのは須賀神社。階段を上って境内に入り、柄杓で水をすくって手を洗い、一服しながらしばし休憩。夏の終わりの神社では蝉がうるさいくらい鳴いていて、涼しい風が吹いてくる。こういった所には不思議と清涼感があるから、俺の路地歩きの休憩場所はおおよそ神社仏閣。東京には至る所に七福神があるから、それを巡ってみるなんてのも面白いかもね。

 休んだ後は新宿通りを渡って荒木町の飲み屋街へ。この界隈も路地が入り組んでて相当おもしろい場所なんだ。飲んだり食べたりするのは夜だけど、初めて来た時から妙に懐かしい感じがあったんだよ。昔、うちの親父もこんな感じのところで料理屋をやってたから、「広島にもあったな…」って思ったし、若いころ、先輩たちに連れられて行った新宿のゴールデン街の雰囲気にも似てる。じいさんとばあさんでやってるような昔ながらの店が多くて、ウッドのカウンターが擦り切れてたり、椅子もキャバレーみたいな丸椅子だったりして、そういう風情がいいなって思うんだよ。ついこの間も知り合いに連れられて荒木町の飲み屋に来たんだけど、すごいレトロで面白かった。マスターはビシッと蝶ネクタイにベストで、ママさんなんか、「これはまたえらく気合入ってまんなあ~」ってくらいなスパンコールびっしりのロングドレス! 俺たちの世代的にはグラムロック風?とも言えるかな(笑)。荒木町には広島のお好み焼き屋もあるし、昼は路地歩きで、夜は飲み屋で楽しめる場所だね。じゃ、ここからはまっすぐ四谷駅前の外堀通りに出て、いよいよ目的地の市ヶ谷の“金魚屋”へと向かおう。

(つづく)

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須賀神社の手を洗う場所。石には『心洗』の文字が刻んである 荒木町車力門通りの入り口にある紹介マップ。写真入りが楽しい 荒木町の通り。右左に路地があり別世界風の懐かしさだ

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