≪ 2006年09月 | Home | 2006年11月 ≫

2006年10月24日

 

第7回 江東区深川~富岡

残るもの消えるもの。最古の鉄橋と路地裏の店

 深川から富岡八幡のほうに向かって首都高をくぐり、脇道をのぞくと八幡堀遊歩道ってのがあって、中央部に色は赤、全長10m程度、幅3m弱といったところの鉄橋が架かっている。日本最古だそうだ。「ん?マジで?鉄橋として?この小ささが?何をして最古なの?ほんとかよ~」なんて疑いつつも、これがまあ~愛くるしい感じでねえ~。好きでたまに訪れる場所のひとつなんだけど。

 猫もたくさんいてね、20匹ほどかな。これがどいつもこいつも横綱級のデブで、猫のくせに昼行灯。他人が近づこうが身じろぎひとつせず面倒くさそうに「ミャ~」と応えるだけで随分と腹の座った野良なわけですが。餌をあげてるお婆ちゃんがいてね、毎回必ず見かけるってことは欠かさず世話をしてるって事なんだろうな。立て看板に「猫に餌をやるなっ!」なんてデカデカと書いてある真横で「餌代が馬鹿にならなくてねえ~」なんてニコニコしながら話をしてくれる。彼女にとってもそれが日々の糧なのかもしれない。手押し車に満載の餌で、丸まった背中で。赤い鉄橋と、猫と、お婆ちゃん。なんだかわけわからないその風情がとてもいい感じ。

 橋を渡って住宅街を抜けると、富岡八幡宮と深川不動尊。そこの門前道はちょっとした仲見世になっていて、休みの日には屋台も出てにぎわってる。美味い甘酒屋があったりね、裏道にも総菜屋とかいろいろあって、ほらそこの角を左に曲がれば入り口が焼き鳥屋の細い路地があってその先に………なんと!なくなってた。両隣りも店仕舞いしてた。牡蠣フライとか鶏のから揚げとか、1個2個つまみ食いしながら散策するのが楽しみだったのになあ、移転なら良いのだが…。先日テレビの番組で全国の商店街がどんどん姿を消していくって話をやっていて、何処も必死で生きながらえるアイデアを模索しているのが現状だ…なんて言ってるのを耳にしたばかりだ。街の風情とか人情ってのは何処へいってしまうのだろうか。巨大なスーパーや、いつ行ってもやってる便利なお店もありがたいと思うけれども、相手の顔の見えない商いってものには、寂しさを禁じ得ぬのう~~。

 帰り道、ちょっと足を延ばして清洲橋が見える川沿いの遊歩道まで歩いてみた。深川に住んでるというこのコラムの読者の方から「夜の清洲橋がとてもキレイ」というメールを頂いてのことだが、なかなかどうして昼間も悪くないよ。ハゼがよく釣れる時期だし。以前はダンボールハウスに住んでる人がちらほらいて、皆さんも釣り糸垂らしてて。大漁の際には開いて干物にしたり一斗缶使って薫製にしたりで上手に保存食作ってるんだな。酒瓶土産に持って酒宴に交ぜてもらったりしたこともあったなあ。夜釣りしながら一緒に一杯!とかね。「リストラされて、かあちゃんと子供が出ていっちゃってねえ~」なんて切ない話をしてくれた親爺さんと一緒に銀杏炒ったこともあったな。ハウスの中が「図書館かよっ!」なんて学者みたいな爺さんがいたりね。ちょっと辛い状況とか心境に在る事以外はなんら“違う”人たちじゃないわけで、そこに遊びに行くのか?っとまあ普通はお思いでしょうが、はて、例えば、高級スーツを身にまとい摩天楼を奔走してる姿のほうが人間らしいのか?と問うてみれば、その実、裏側はのぞいてみなければ、けっこうわからないものやもしれませぬ。

路地裏ダイヤモンド画像07-1路地裏ダイヤモンド画像07-1 拡大 路地裏ダイヤモンド画像07-2路地裏ダイヤモンド画像07-2 拡大 路地裏ダイヤモンド画像07-3路地裏ダイヤモンド画像07-3 拡大
カメラ目線のネコ。後ろの赤い橋が、日本最古の鉄橋 総菜屋がなくなってた路地。旨かったんだけどね、残念 夜はライトアップされるという清洲橋。昼でもいい眺めだ

2006年10月10日

 

第6回 江東区清澄~深川

下町情緒を感じる風情ある街

 初めてひとりで江東区を歩いたのはいまから4年くらい前。港区、渋谷区、品川区、世田谷区、大田区、目黒区と隅田川の内側はさんざん歩いちゃったから、今度は違う地域を攻めてみようと思ったのがきっかけで、今でも年に数回は江東区に通ってる。海苔を作ってた昔の小屋を再現しました!みたいなのが急に一軒だけあったり、店先でお椀や箸を作ってる職人さんがいたり。古い家屋が残ってる深川あたりの風情もいいし、下町情緒を感じられるところが俺は好きなのかな。

 清澄白河の駅からすぐのところには、東京都指定の名勝になってる清澄庭園。入り口に記念のスタンプ台があって、仲間と一緒に来た時は、それのスタンプを相手の手にベタベタ押すのがまずは基本(笑)。園内をぐるりと回ると、全国から運び込まれた珍しい石があり、造形が良いし、木々の手入れもゆきとどいているので、時間がある日はちいさなスケッチブックを持参して絵を描いたり、本を読んだりして2時間くらい座ってることもあるよ。安らいでるのを楽しむって感じかな。ランチボックスなんか作ってくればちょっとした遠足気分にもなる。

 庭園を出て通りを渡ると『江東区深川江戸資料館』というこじんまりとした博物館がある。“いかにも博物館です!”みたいな感じのところより、言っちゃ悪いが少々しょぼい感じ、というか庶民的な匂いを醸してるほうが興味が湧くタチなんで、とにかく気に入ったらいちいち入ってみる。歩くのは決して決して好きじゃなかったのが、持病の腰痛を治すために始めたウオーキングなので、何か楽しみがなきゃ続かない。「これは誰も知らないだろう」ってのを知ることが楽しくなってきたりするんだな。この資料館にしても、江戸の庶民の街が再現してあって、当時の八百屋とか天麩羅屋とか、江戸の路地裏が見られたりして良いのだなぁ。木造の古い家が好きな俺なんか「こんな別荘があったらいいのになぁ」とか思っちゃうわけだ。前に来た時に携帯で撮ったここの写真は今でも保存してあるよ。説明係のじいさんが、いい感じでぼんやりと椅子に座ってるんだけど、話しかけるといろんなことを教えてくれるし、入り口で頼めば『深川七福神めぐり』のマップなんかもくれるから、それを見て回るのもいい散歩になる。ただし残念なことに、いつ行っても2、3カ所しか開いてないんだけどね。

 この通りにはいろんな食べ物屋もあって、夏に来た時にどうしてもカキ氷が食べたくなったが、平日だったせいかしばらく散策してみても、何処にも見当たらない。ふと和菓子屋をのぞいたら、小さな氷旗を発見。しかしどう見ても食べるところがないのだが…。おそるおそる宇治金時を注文すると、奥から小さなテーブルとイスのセットと一緒に出てきた。「うまいっ!」なんだこれは? すると「和菓子用の抹茶の粉をシロップにしてるんですよ」って、店のおやじさんうれしそうに話すわけ。今はもう季節はずれだからダメかと思ったけど、氷が出来る間に、向かいのおでん種屋で買い食いしたスープも旨かったし、そういう下町ならではの風情がいちいち気に入ってしまうわけなんだな。

(つづく)

路地裏ダイヤモンド画像06-1路地裏ダイヤモンド画像06-1 拡大 路地裏ダイヤモンド画像06-2路地裏ダイヤモンド画像06-2 拡大 路地裏ダイヤモンド画像06-3路地裏ダイヤモンド画像06-3 拡大
清澄庭園の池にいるカメ。後ろ足でバランスを取っている。 )“資料館”で見かけた江戸時代の元祖路地裏 和菓子屋『双葉』の宇治金時。とにかくウマイ!