第6回 江東区清澄~深川
下町情緒を感じる風情ある街
初めてひとりで江東区を歩いたのはいまから4年くらい前。港区、渋谷区、品川区、世田谷区、大田区、目黒区と隅田川の内側はさんざん歩いちゃったから、今度は違う地域を攻めてみようと思ったのがきっかけで、今でも年に数回は江東区に通ってる。海苔を作ってた昔の小屋を再現しました!みたいなのが急に一軒だけあったり、店先でお椀や箸を作ってる職人さんがいたり。古い家屋が残ってる深川あたりの風情もいいし、下町情緒を感じられるところが俺は好きなのかな。
清澄白河の駅からすぐのところには、東京都指定の名勝になってる清澄庭園。入り口に記念のスタンプ台があって、仲間と一緒に来た時は、それのスタンプを相手の手にベタベタ押すのがまずは基本(笑)。園内をぐるりと回ると、全国から運び込まれた珍しい石があり、造形が良いし、木々の手入れもゆきとどいているので、時間がある日はちいさなスケッチブックを持参して絵を描いたり、本を読んだりして2時間くらい座ってることもあるよ。安らいでるのを楽しむって感じかな。ランチボックスなんか作ってくればちょっとした遠足気分にもなる。
庭園を出て通りを渡ると『江東区深川江戸資料館』というこじんまりとした博物館がある。“いかにも博物館です!”みたいな感じのところより、言っちゃ悪いが少々しょぼい感じ、というか庶民的な匂いを醸してるほうが興味が湧くタチなんで、とにかく気に入ったらいちいち入ってみる。歩くのは決して決して好きじゃなかったのが、持病の腰痛を治すために始めたウオーキングなので、何か楽しみがなきゃ続かない。「これは誰も知らないだろう」ってのを知ることが楽しくなってきたりするんだな。この資料館にしても、江戸の庶民の街が再現してあって、当時の八百屋とか天麩羅屋とか、江戸の路地裏が見られたりして良いのだなぁ。木造の古い家が好きな俺なんか「こんな別荘があったらいいのになぁ」とか思っちゃうわけだ。前に来た時に携帯で撮ったここの写真は今でも保存してあるよ。説明係のじいさんが、いい感じでぼんやりと椅子に座ってるんだけど、話しかけるといろんなことを教えてくれるし、入り口で頼めば『深川七福神めぐり』のマップなんかもくれるから、それを見て回るのもいい散歩になる。ただし残念なことに、いつ行っても2、3カ所しか開いてないんだけどね。
この通りにはいろんな食べ物屋もあって、夏に来た時にどうしてもカキ氷が食べたくなったが、平日だったせいかしばらく散策してみても、何処にも見当たらない。ふと和菓子屋をのぞいたら、小さな氷旗を発見。しかしどう見ても食べるところがないのだが…。おそるおそる宇治金時を注文すると、奥から小さなテーブルとイスのセットと一緒に出てきた。「うまいっ!」なんだこれは? すると「和菓子用の抹茶の粉をシロップにしてるんですよ」って、店のおやじさんうれしそうに話すわけ。今はもう季節はずれだからダメかと思ったけど、氷が出来る間に、向かいのおでん種屋で買い食いしたスープも旨かったし、そういう下町ならではの風情がいちいち気に入ってしまうわけなんだな。
(つづく)


