≪ 2007年07月11日 | Home | 2007年08月14日 ≫

2007年07月24日

 

第25回 墨田区向島~台東区浅草・かっぱ橋

吉川がハマった料理器具とは?

 街を歩いていると、いろんなものがインプットされる。前回紹介した『長命寺・桜もち』もそのひとつ。「こういう場所を覚えておくと、桜が咲いたら食いに行こうって、またここまで歩けるからね」と吉川は満足そうに話していた。

「そういうイベントって季節に関係があるものが多いじゃない。桜もそうだし、今なら紫陽花とかね。どこどこに紫陽花がきれいに咲いてるから見に行こうとか、それも楽しいと思うよ。若いころは面倒くさいと思ってたけど、それは“若い”というより、粋を知らないってことで、要するにガキなんだよ。自然を愛でて季節を味わいながら、例えば浅草なら帰りに電気ブランとかホッピーを飲んで、うりゃぁって酔っぱらえば、デートコースとしてもいろいろ楽しめていいんじゃない、って思うんだけどね」

 ところで肝心の長命寺はどこ? という話になり、桜餅屋から裏に回ると、思わぬところで渋い寺を発見。『牛頭山弘福禅寺』は、いかにも禅寺らしい年季を積んだ質素な佇まいがいい寺。その近くにある『三囲(みめぐり)神社』は、境内にたくさんの石碑があり、石碑ウォッチゃ-にはたまらない寺だ。「こんなとこにも七福神があるよ」。神社好きの吉川は七福神にもよく反応する。何かそそるものがありそうだ。「特別に好きってわけじゃないけど、東京にはすごい七福神が多くて、今までも、深川にもいたし、品川にもいたし、浅草にもいる。他にもいろいろいると思うから、七福神だけ回っても十分におもしろいと思うよ」。各々の場所にあるおいしいもの屋なども紹介しながら、独自ルートも書き添え、絵の得意な吉川がイラストを描いたりする『ロック七福神マップ』。そんなのができたらかなりおもしろいものになるだろう。

 その後は土手沿いの釣り堀がある公園でひと休み。暑い初夏の1日、売店で買って食べた氷がとてもおいしかった。「あの氷屋さんはいい機械を使ってたね。氷に対して歯がまっすぐ当たってないと、あんな淡雪みたいな氷は剃れないもん。多分、昔の機械を使ってるんだよ。昔の機械はよかったって感じだね」

 浅草に戻り、向かったのはかっぱ橋の道具街。料理も好きなこだわり人間としては、かなりハマるだろうと予想したのだが、「何度か来たことあるけど…」と、なぜか歯切れが悪い。「中華鍋を買おうと思って、中華料理屋の知り合いに、鍋のいい悪いを教わったの。同じ鉄でもプレスして伸ばしたやつは、厚さが均一だから火の回りがダメだって。プレスじゃなく、職人が叩いて作った鍋は、底のほうが微妙に厚くなってるからいいんだって言われたけど、なかなか見つけられなくて……」と、歩いていると、「これすごい!」。ある店の前で立ち止まり、吉川は目を輝かせた。「これはヤバイよ。取材じゃなきゃ、ずっと見てるところだね」。残念ながら時間の都合で長居はできなかったが、最後に「ひとつだけ聞いていい?」と店の主人に尋ねたのは「ハモ切りはどれですか?」。つまりその店は、包丁の専門店だったのである。

「自分でそんなにいい包丁を持ってるわけじゃないけど、刺し身包丁だけはちょっと高いかな。あとは出刃で、出刃は何にでも使ってる。俺は逆に普通の家庭で使ってる軽い包丁は使えないの。あれって軽いから押して切ってるわけだけど、磨いだ出刃なら乗せただけてスポンと切れるからね。でも、出刃は磨いであるのとそうでないのと2本必要で…」ということで、止まらない吉川の包丁談義は次回に続く。 

(つづく)

※写真をクリックすると拡大画像が見られます。拡大写真の右側にマウスを重ねると「NEXT」ボタンが現れ、次の写真を見ることができます。

長命寺の境内には残念ながら入れなかった。裏手の山門と石碑 牛頭山弘福禅寺 三囲(みぐるみ)神社。こころなしかたくましげな顔の狛犬
淡雪のようなかき氷を作ってくれた公園の売店 これが噂の“淡雪”かき氷 言問橋のたもとには紫陽花が咲き誇っていた。うっそうと、うつくしく、青、青。
後光差す浅草寺を通り抜け、かっぱ橋へ 噂の包丁屋の軒先。ずらりと揃った刃物、包丁 看板が大きな包丁だって気付いたかな?