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2007年08月28日

 

第27回 杉並区大宮~荻窪

素敵なおばあさんと裸のおじいさん

 42歳の誕生日を迎えた8月18日、吉川は両国国技館でCLUB JUNGLE TOUR "TARZAN!"のファイナル公演を迎えた。国技の聖地でわき上がる熱気に包まれたままライブを打ち上げ、それから4日後、取材リクエストに応えた吉川は、真夏の路地裏に姿を現した。集合場所は井の頭線の永福町駅。井の頭通りを渡り、方南通りへと続く商店街のひとつ脇にある細い道を、最初の目的地となる大宮八幡宮へと向かう。

 まず見つけたのは、とある店の看板。「ラーメン・レストラン…。ラーメンだけどレストランってすごいよね(笑)」。通り過ぎてみると普通のラーメン店だ。名前勝ちなのか。「米店って看板があるけど、“こめてん”って読むのかね。いつも口では“こめや”って言うじゃない」。普段気にしないことが実はよく分からなかったりして、路地裏ではそんな他愛もない会話が似合ったりもする。

 大宮八幡宮は、大きな鳥居が参拝客を迎える立派な神社だ。門をくぐると、右に『男銀杏』、左に『女銀杏』の巨木が茂っている。銀杏好きの吉川だが、ここで注目したのは、2000年前の種子から育てた蓮。それは本殿に向かって右の柵の中に保存されていた。「今日は花が咲いてないけど、この間来たときは綺麗なピンク色の大きな花がついてたんだよ。開く直前だったけど、女の人の顔ぐらいの大きさでさ」と、同行スタッフに見せようと撮影したデジカメを取り出し、画像をチェック……。「ああっ、消しちゃった!」。見せたかったのに…と、しょげる吉川だが、咲いたときに撮られた写真が柵にも張ってあり、教えてくれた通りのピンクの大輪を見せていた。

 せっかくだから賽銭をあげてお参りし、ここから今日のウオーキングがスタート。神社から和田堀公園を抜け、善福寺川緑道を往復する10キロ弱のコースだ。

 神社の奥には弓道場があり、入り口に『小笠原流大宮支教場』の看板が。銀髪の女性が弓を引く姿に「外国人だね」と言っていたら、やや高齢の日本女性だった。放たれた弓は見事的に命中。凛とした雰囲気で、小柄ながらスタイルも抜群。「おばあさん?すごいね!ちょっと感動するくらいカッコイイね」。公園を抜け、緑道に入ると、今度は水飲み場で全裸で水浴びするおじいさんに出くわした。「あっ!」。目撃して一瞬立ち止まった吉川。「まあ、暑いからねぇ…。横を通るのもナンだから、向こう側を歩こうか」。橋を渡り、昔ながらの釣り堀をのぞき、サラウンドで鳴り響くセミの声を聴きながら、緑の木陰を、足に心地いい土を踏みしめ一路先へ。「今年はアブラゼミの当たり年らしいよ。出てきた穴がいたるところに開いてて、木の枝に抜け殻がぶわーっとついてる」「(地面に落ちてた)この丸い種みたいなのは、昔、数珠を作ったやつだと思うよ。いろいろ公園を歩いてると、そこにいるじいさんが教えてくれたりするんだよね」「ここの川は藻が生えてて割と水がきれいだけど、コンクリートでかためてあるから水生生物が住み着きにくい。入りたいほどきれいじゃないから、惜しい!って感じ。子供のころは、川といえば入るもんで、魚捕って串に刺して焼いて食うのが楽しかったんだけどね」。

 何もない公園でも、吉川からは自然にまつわる話が次々と出てくる。真夏の日ざしは相変わらず強い。しかし、ひとたび木陰に入ると、クーラーでは味わえない涼風がほてった肌を優しくなでてくれる。やはり公園は都会のオアシス。自然の恩恵を実感するひとときだ。

(つづく)

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永福町で。右が大通り、左が細い路地裏。こんなとき迷わず左に行くのが路地裏ダイヤモンド ラーメンレストラン。小さくてスミマセン… 噂の米店
大宮八幡宮。南参道から入る なんとも男らしい名前ではないか 縄文蓮。ピンクに見えるのは残念ながら写真
八幡宮本堂 境内には烏骨鶏(うこっけい)がいた 江戸時代に始まった“担石”の神事に用いられる力石。吉川も「俺も担いでみようかな~」とポツリ
しんとしたたたずまいの弓道場 八幡宮を抜けると和田堀公園 「いいねぇ、この釣り堀」。売店&食堂のレトロ感も◎
緑道で拾った木の実。数珠になるという。菩提樹(シナノキ)? 燦々と照る太陽に向日葵はよく似合う セミの抜け殻。本体はただいま短い夏を満喫中。今年はセミの当たり年とかで、緑道には驚くほどたくさんのセミの抜け殻が

2007年08月14日

 

第26回 台東区浅草・かっぱ橋界隈

「浅草の人はイタリア人みたい」

 場所は、調理器具などの店が軒をつらねるかっぱ橋商店街。吉川が目を輝かせた包丁専門店には、美術工芸品といってもいいほどの美しい道具が並んでいた。
 先週に続き、さっそく吉川の包丁談義に耳を傾けよう。

まずは、なぜ家庭で使う出刃包丁は、磨いであるものと、それほど切れないものの2種類必要なのかということ。「魚の頭を落としたりするときには切れるものじゃないとダメだけど、皮をはぐときなんかは、切れ過ぎる包丁だとやりにくいってことがある」
 なるほど!
「出刃は重いから普通の主婦の方なんかは使いにくいかもしれないけど、魚の骨を切ったりするにはある程度の重さがないと難しいし、出刃の断面が三角なのも、刃がズバッと入りやすいから。家庭用の包丁は薄くて軽いから、骨まで切るのはまず無理というか、危ないよね。出刃ってのは実は何種類もあって、コハダとかのちっちゃい魚をさばく出刃は、ものすごい小さくてカワイイよ。それに対して刺し身用の柳刃は、例えばヒラメを切るときなんかひと引きで刺し身にならないといけないから長さが必要だとかね。でも切る魚によって短い柳刃も使うから、本格的にやりたかったらいろんな包丁が必要になってくる。まあ、家で食べる刺し身なんて何とでも切ればいいんだろうけど、なんというか、粋を気取りたいわけなんだね。すーっとひと引きで上手く切れたらうれしいってのがあるから。肉や野菜は押して切るけど、魚はそうすると細胞をつぶして水っぽくなるから、全部引いて切らなきゃいけないからね」

 包丁使いもひとつの職人技である。職人に惹かれる吉川は、寿司屋や料理屋のカウンターで板前が調理する姿を見るのが好きだという。

「人によって包丁の使い方が違ったりして、おもしろいよ。飾り包丁ってのがあるんだけど、見てると真似したくなっちゃう。イカにパパっと切れ目を入れて、湯をかけた瞬間にガメラの背中みたいになったりとか、こりゃおもしろいって思っちゃうんだよね。野菜の切り方もいろんな種類があるから、そういう本を買ってきたりしてね。イカなんか、普通みんな横に切るけど、繊維に対して縦に切って干したスルメなんて、ポリポリ食べられちゃう。おばあちゃんの入れ歯でも十分食えるくらいね。だから魚も肉も、繊維に対してどう切るかが問題でさ…」と、話は尽きることがないのであった。

 包丁屋から大通りに向かうと、コーヒー道具屋、フライパンやタコ焼きなどの調理器具屋、食器屋、台所小物屋などがずらりと並び、一軒一軒入っては興味津々なまなざしを向ける。「ちょっとウロウロしてきていい?」。おもちゃ売り場を前にした子供のような笑顔で、彼は道具街に消えていった。しばらくして戻ってくると、皿を買いたいのだという。この日購入したのは、「刺し身を盛りたい」という真っ白な長方形の焼き物の皿。購入後、店の入り口付近にあった小さな薬味入れを見つけると「おじさん、いい皿買ったから、これおまけに付けてよ!」と交渉。「ああ、いいよ、持ってきな」。吉川は“やったね”とばかりにうれしそうな顔をした。

 かっぱ橋というだけあって、路地には金色に輝くカッパの像が立っていた。大笑いしながらを携帯の写メに納め、帰路につく途中で見かけたのは、おじいさんが2階の窓からヒモをつけたカゴをたらし、下にいる娘さんに買い物を頼む光景。「イタリア人みたい。やっぱりこういう人のにおいのする街は楽しいってことだね」


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かっぱ橋ということで、いろいろなかっぱを見てみましょう。まずは金色カッパ。由来を語る石碑とともに。 かなりユル~い感じのかっぱ。手袋やんけ!ととりあえずツッコミ。でもどうやら話すらしい(※足許に注目) 怖いかっぱ。怖いというか、リアル?
頭のお皿がシャンプーハットに見えなくもない というところで、かっぱ橋をいろいろ見てみます。まずは噂の包丁屋 コーヒー器具ショップ
金物屋にて。「これ、ほしいよね」と吉川。たこ焼き用の鉄板 瀬戸物屋 これを見ると看板の本来の意味がわかってくるような気がする。こんなのがいっぱいあるからかっぱ橋は面白い
調理台。レコーディングのときにスタジオで使ってみてはいかがか お皿を買ったおまけにもらった薬味入れ 立ち寄った喫茶店『エノモト』。「渋くていい店だね」