≪ 2007年09月 | Home | 2007年11月 ≫

2007年10月24日

 

番外編  in PERUその3

ペルーの時は大きく流れる

 ペルーへの旅は、吉川にさまざまなことを感じさせるものになった。最初に降り立ったクスコでは、過去スペインがこの国に行った暴力的かつ傲慢な行為を目の当たりにし、普段から「どちらかというと反体制的」な心を揺さぶられた。独立したとはいえ、今も白人支配に虐げられている現地の人々に会い、語り継がれる“伝説の黄金郷”とは、ペルー人の誇りの在処なのだという思いを強くした。

 そして人との出会い。先週紹介した、黄金を20年も探している男・イズバンの話や、元センデロ・ルミノソの青年幹部だったというウォルターとの会話が、今も強い記憶として残っている。

「ウォルター君なんか、普段は日本人の奥さんから習った片言の日本語で冗談ばっかり言ってたけど、たまにすごい厳しい顔で遠くの山を眺めてた。センデロ・ルミノソに入ったのも、最初は正しい志だと思ったわけだからね。でも、追いつめられた組織は仲間同士で殺し合い、民衆の大虐殺も犯してしまう。間違いに気づいた彼は、山を3つくらい越えて逃げたっていうから。逃げてる間に知らないジャングルに入ったら人食い人種がいて食われそうになったとか、とにかく話がいちいちすごい。冗談でしょ?っていうのが本当だからね。

 彼には山の民とジャングルの民の血が入ってて、今の白人至上の社会からは差別される側の人間なんだけど、本当の意味での独立を勝ち取りたいという信念で今も区長さんかなんかをやって政治活動に取り組んでる。年は41歳で、俺よりひとつ下。貧しくて学校にも行けないような生活の中から、国を変えたいという思いでずっとやってきてるわけで、人生に対してすごい情熱を持って生きてる。

 日本人ってそういうのなくなっちゃってるでしょ。それは平和でいいことなのかもしれないけれど、反面、生きることに執着できないという寂しさもはらむわけだよね。とにかく彼らに何かしゃべらせると、きりがなく話をするからね。俺は俺で思うことを話したけど、ウォルターの日本人の奥さんは、彼らに対して日本の現状を恥ずかしい事だと考えているようなんだよ。けど、そうでもない部分もたくさんあるからね。確かに彼らの生きざまには感服するところも多いけれど、俺たちは俺たちなりに自分の思いとかいろんなものと対峙しながらこの国で生きてるわけだし、自分の生まれた国を残念に思ったままじゃもったい無いわけで。だから奥さんには“その考え方を半分くらいに戻してみてくれないかな”ってことを言ってみたりしてね。

 ただ、彼らの素晴らしいところや、日本人のまずいと思うところはちゃんと持ち帰らないといけない。体力がないと思われるのもシャクだから、ウォルターの奥さんに“これをヤマト魂っていうんだ!”って、彼らと競走して走って山を下りたけど、やっぱり現地のやつらには敵わなかった。だから日本に帰ったらもっと体を鍛えなきゃと思ったよ。また彼らと勝負しなきゃいけないから(笑)」
 小さいことを言ってたら生きてられない気になった、と吉川は言う。そんな思いに駆られるほど、ペルーの山では時が大きく流れていた。

吉川晃司ライブ先行予約!
KIKKAWA KOJI LIVE 2007 CLUB JUNGLE EXTRA TARZAN! RETURNS

【日時】
12月30日(日)18時30分開演、31(月)17時開演
【会場】
国立代々木競技場第二体育館 【料金】全席指定6500円(税込)※11月4日一般発売

■先行受付日時
10月28日(日)10時~23時59分 *規定枚数になり次第受付終了。
■枚数制限
お1人様4枚まで *1コールにつき1申し込み。複数公演申込希望の場合は再度掛け直し。
■受付電話番号
チケットぴあ0570-02-9535(オートダイヤル特電)*一部携帯電話、IP電話、全社PHS使用不可 *プッシュ回線又はトーン信号の出る電話機をご利用下さい。
■引き取り期間
10月28日(日)~11月3日(土) 全国のチケットぴあ、ファミリーマート、サークルKサンクス店頭にて。
(問)ディスクガレージ03-5436-9600(平日12時~19時)


※写真をクリックすると拡大画像が見られます。拡大写真の右側にマウスを重ねると「NEXT」ボタンが現れ、次の写真を見ることができます。







オリャンタイタンボの駅で 多くを語り合ったウォルター君と吉川


2007年10月08日

 

番外編  in PERUその2

“パイティティ”とは誇りの在処

 9月28日に放送された番組を見た人は分かると思うが、ペルーでのロケは過酷を極めたものだった。「ひとつの山を越える間に四季があった」と吉川が言うように、高低差だけでなく寒暖差も激しい山をいくつも超えた。しかも狭い道の片側は1000メートルもの谷底。

「高所は得意じゃないけれど、それでも割と平気だったのは、凄まじすぎて非現実的だったから。風が強く吹くと向かいの尾根まで飛ばされそうな感じで、上昇気流に乗ってコンドルが舞ってるのを3回も見たよ。コンドルは神の使いと言われてるんだけど、普段はこんなに見ることはないらしいし、途中で熊や鹿にも遭遇して、“この旅は祝福されてる”って現地の人は言ってたけどね」

 番組の企画そのものは、伝説の黄金都市エル・ドラドを探すものだった。吉川と番組クルーたちは、スペイン人による侵略と略奪をのがれたインカ人が黄金を隠したという夢の在処を探るため、発掘調査が進むチョケキラオ遺跡から深いジャングルへと分け入った。そして吉川がたどり着いた結論は、その場所は彼らの心のよりどころなのだということだった。

「彼らが言うところの“パイティティ”っていう黄金伝説の街は、どこかに絶対あるという確信は最終的には持ったけど、そこを探したいというモチベーションの底にあるのは、黄金そのものより、自分たちの誇りなんじゃないかと思ったよね。

 唯一スペイン人たちに踏みにじられなかった自分たちの文明がどこかに残っているという心のよりどころ。その思いに突き動かされた人たちに何人も会ったしね。俺たちにとっては黄金じゃないんだって。でも、もちろん黄金もあったほうがいいけどね。ジャングルをガイドしてくれたイズバン君なんか、奥さんと子供がいるのに20年近くも探してるんだから。借金がかさんで大変だから見つからないと困るって(笑)。

 イズバンには言ったんだけどね。もし見つからなくても、その年月の間にキミは貴重な体験をしたんだから素晴らしい人生じゃないかって。そしたら思いっきり“ノー!”って言われた。金が見つからなければそんなもの意味ないって。そんなことないと思うけどなって言ったんだけどね。

 だからいい日本語を教えたよ。“日本にはキミのような人に称賛の意味を込めて『馬鹿』っていう言葉があるんだよ”って。脇目もふらずにひとつのことをやり続けることを、○○馬鹿。例えば俺は“音楽馬鹿”なんだよね、って教えたら、『ぜひとも次から使わせてもらうよ!』って言ってたかな。今度日本人に会ったら“私は馬鹿です”って省略して言いかねないけど(笑)」

 吉川たち探検隊は、辛い行程をたどりながら日に日に結束を強めていった。同行したシェフの料理は簡素なものだったが、疲れた体に塩味の野菜スープがウマかった。満天の星を眺めながらのアウトドア・トイレもなかなかのものだった。そして吉川は、通訳として参加した、元センデロ・ルミノソの青年幹部だったという同世代の男性と、長い長い話を続けることになる。

(つづく)

※写真をクリックすると拡大画像が見られます。拡大写真の右側にマウスを重ねると「NEXT」ボタンが現れ、次の写真を見ることができます。

どこに行っても動物好きは変わらない アップダウンの中に四季を見出す山歩き 黄金を探す男、イズバンと話す吉川