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第45回 杉並区高円寺~堀ノ内

高円寺に住んでる人は骨がある!?

 歩いていて小腹が空いたら何を食べるか。吉川にとって頻度が高いのは、たこやきとソバ。特にソバは、ウマい立ち食いが好みだが、スタッフに女性がいたりすると、気を使って立ち食いじゃないソバ屋に入る。あまり表に出さない吉川の男のやさしさだ。この日も中野から高円寺に向かう途中、中野駅前の込み合った立ち食いソバを断念し、大久保通りの途中でさくっと天ザルを食し、一路高円寺へ。

「歩いてみるとかなり近かった」高円寺駅周辺でまず目に止まったのは、南口の線路脇にあったシブ~い飲み屋だった。

「椅子が全部ビールケースを逆さにしたやつなんて、今時なかなかないよ。外で飲める気楽さもいいし、俺はこういう店、好きだね」
 さらに線路脇を進むと、自転車置き場と思われる高架下に出た。
「こういうとこもいいじゃない。雨の日も運動できるしね。でもまあ、ここまで来て運動しても、帰りにはさっきの店でビール飲んじゃうでしょ(笑)」

 その後、「高円寺なら『高円寺』に行かないと」ということで、小道をくねくね曲がりながら『高円寺』にたどり着いた。小ぶりな寺ながら木々が多く、夏は緑の木陰が心地いい。自販機で飲み物を買い、境内でちょっとひと休み。高円寺は古着の街としても有名だが、吉川にも捨てられない古着があるそうだ。

「実家に置いてある高校時代のジャージーとか捨てられないんだよね。インターハイの時に着たやつとか。でもそういうのって、もう着ることはないから一番邪魔なんだけどね」
 きっと、邪魔だけど捨てられないモノのほうが、思い出がつまっているということだ。
「ま、そういうことだね」

 そして高円寺といえば、吉川には切っても切り離せないモノがある。

「俺にとっては、高円寺といえば大澤誉志幸なんだよね」
 大澤は吉川よりデビューも年齢も先だ。「尾崎(豊)なんかと飲んでるころ、いつもフラッとやってきて先輩風を吹かせるというね(笑)。ちょっと風変わりなところもあるけど、俺は全然好きだし、音楽家としても尊敬してる。ただ、普段見てると相当おもしろい人だよ。デビューしてからも地元の高円寺にずっと住んでて、家の近くに作ったスタジオに遊びに行ったこともあるよ。だからかもしれないけど、高円寺っていうと、ミュージシャンとか役者が住んでるイメージがあるよね。下北沢もそうだけど、下北のやつらより骨があるっていうか。こんなこと言ったら下北に住んでる人に悪いけど、今の下北は昔と変わっちゃったから」

 ちょっと歩き足りないということで、南下して蚕糸の森公園へ向かい、真盛寺、妙法寺と寺回り。
 雨模様の空を見上げ、「梅雨って、梅の実が生る時期に降る雨だから“梅雨”って書くって知ってる?」と、風流なことを教えてくれた。

「うちの母親もこの時期に梅を漬けてるよ。柔らかいけどすっぱい梅干しで、俺はすっぱいのが好きなんだよね。今は甘いのが流行ってるし、ひと粒いくらとか高いやつが売ってるでしょ。でも俺は、そういう流れが好きじゃないんだよ。今、チョコレートとかも無駄に高いのがあるけど、高く売れる嗜好品を先進国が作らせるために、日々必要な食料を作れなくなってアフリカとかが飢えるという図式がある。そういうことに俺は腹が立って仕方ないの。だからそういうものを高く売るやつは大嫌いだし、喜んで買うやつはもっとバカだって思っちゃうけど、こういうことを女のコに言うと、またアウトなんだよ(笑)」

 梅雨の話だったのにな…と思いながら、いつもの吉川らしさが心地いい午後だった。

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路地にあった吉川好みの飲み屋。レトロだ 『高円寺』を探す途中で通ってみた路地 妙法寺。「古い木の作りもいい寺だね!」

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