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2008年08月25日

 

ついにクランクイン 吉川晃司の織田信長が始まる

 髷姿の武将が、白く美しい馬に乗り、城の庭を闊歩している。優美な身のこなしに、時折見せる鋭い眼光の馬上の男は、吉川演じる織田信長。吉川がここ1カ月ほど乗馬訓練を重ねていたのは、この役のためだった。

 吉川が織田信長を演じるのは、来年のNHK大河ドラマ『天地人』。『天地人』は、戦国の世にあって兜に『愛』を掲げた武将、直江兼続(妻夫木聡)の人生を、信長など個性的な人間たちとの出会いを通して描く物語だ。クランクインが報道陣に公開されたのは8月19日。岐阜城で信長と兼続が初めての対面を果たすシーンなどが撮影された。「信長を前に、緊張感のあるいいシーンが撮れたと思います」と妻夫木。吉川のことは「小学校のころからテレビで見てました」ということで、撮影の合間にはふたり並んで笑顔で談笑する場面も見受けられた。

 同作ではこれまでに主演の妻夫木を始め、北村一輝、常盤貴子、長澤まさみ、玉山鉄二、阿部寛などの配役がすでに発表されていたが、吉川の信長役はこの日初めて公表されたもの。意外なのか、納得なのか、それにしても吉川に髷姿は似合いすぎる。「(昔は)普通にいたでしょ、こういう顔(笑)」と、ジョークを飛ばす吉川だが、演技に入ればその顔や所作はみるみる信長になっていく。集まった報道陣からは、「すごい存在感!」「登場してきたときすごくカッコよくて、ああ、これは信長だと思った」などの言葉が次々と出た。

 吉川の起用理由について番組プロデューサーはこう答える。「今回、既成の役者さんじゃ出せない何かが欲しいと思ったとき、彼の可能性にかけてみようと思った。もともと存在感のある人で、強さと弱さを両方持ち合わせているところがあるので、こういう人が信長をやることによって、また新しい信長像ができればいいなと」

 NHKと吉川といえば、昭和60年の『紅白』事件を思いおこす人もいるだろう。その後2002年にはNHKのドラマ『真夜中は別の顔』に出演した経緯があるが、報道陣からは、晴れて看板番組への抜擢に対する質問が飛んだ。吉川は「親孝行になったな」と感慨深げ。「もともと時代劇が大好きで、時代劇を早くやりたかった。だから二つ返事で受けた。信長というのは特異な存在で、何かに取り付かれた魔王であり、何かの犠牲者でもあると思う。その寂しい面と強い面の両面を出せれば」と語った。

 自分を歴史上の武将に例えれば、「どちらかといえば信長」と吉川は言っていたことがある。その思いについてはまたの機会に語ってもらうことにしよう。8月18日に43歳の誕生日を迎えた吉川の、新たなチャレンジ。NHK大河ドラマ『天地人』は来年1月にスタートする。


2008年08月11日

 

第46回 港区赤坂6丁目周辺

家も人も、感じ入るのは心意気

「俺はここに住みたいんだよね」
 港区赤坂という住所表示のある坂を下ると、目の前にそびえるのは東京ミッドタウンのビル。まさか吉川がそこに住みたいと言うはずがない…と思いながら坂の下の目を転じると、ミッドタウンと対峙するように、壁に蔦をはわせた、古めかしいが立派な一軒家が目に入ってきた。

「大きな木や緑があるのがいいなと思ったけど、一番なのは、隣りにミッドタウンができても頑として古いままそこにあり続けるという心意気。古い建物だから耐震構造の問題とかあるだろうし、中の梁なんかは直したほうがいいと思うけど、一見豪華に見えるバブルっぽいビルより全然素敵だと思う。何がカッコイイか、逆じゃない?ってね」

 東京のど真ん中で存在感を光らせるその住居のあたりから、今回は赤坂の入り組んだ路地へと足を進めた。赤坂6丁目界隈の裏通りには昔ながらの名前のついた坂が多く、人通りがまばらなのがウオーキングには最適。まずは、小さなレストランの前で『勝海舟邸跡』という表示を発見した。

「勝海舟さんってのがまた、俺は大好きで、頭を下げて通らなきゃいけない人だね。当時、幕府側のトップでありながら倒幕派の連中の話も聞き、坂本龍馬をいろんな局面で助けたりもした。鎖国を続けたら日本はダメだという先見の明を持っていたから、敵味方じゃなく将来の日本のために動いたわけで、俺はやっぱりそういう心意気に惚れるところがあるね」。住居跡を記した看板には、勝海舟は赤坂の地を愛し、終生赤坂に住み続けたと記してあった。

 通りをさらに進むと、いかにも老舗感のある漢方薬店が存在感を見せている。「ふらっと入ったことがあるけど、あんまりウェルカムな顔はしてもらえなかったよ(笑)」。確かにそんじゃそこらの漢方薬屋とは異なった風情がある。「一度ちゃんと入りたい」という吉川だが、今日は入るのをやめ、突き当たりを右に折れて氷川神社へと向かう。

 吉川の案内で裏から神社の境内に入ると、大きな銀杏の木陰が心地いい。「ここはすごい穴場。普段はめったに人が来なくて、休むのにちょうどいいんだよ」。神社を抜け、氷川坂を下ると、高い石塀の下に不思議な入り口を発見。「これ、何の入り口か分からないでしょ?」。珍しいものを紹介するときの吉川は、内心「むふふ」という顔をしている。促されるままカラカラと戸を開けてみると、中には長い階段。そこは坂の上の料理屋に続く“知ってる人しか開けない”入り口だった。坂のすぐ下には、手書きで『氷川菜園』と書かれた空き地もある。のぞいてみると、トマトとナスが生えている。吉川が都会の野菜作りに目を止めるのは、自らそれを実践しているからでもあるようだ。

「今朝も事務所のベランダでキュウリとトマトとピーマンを収穫してきたよ。まあ、収穫が目的というより、ベランダは放射熱がキツイからなるべく緑を増やそうと思って始めたんだけどね。プランターでも、金魚の水槽に入れてる土を撒いたりすると、糞が肥料になってよく育つよ。今みたいにアルバム用の曲作りをしてるとスタジオにこもりきりでおかしくなりそうなときがあるから、たまに会社のベランダでピーマンや金魚を見ると、少しはまともな角度に気持ちを戻してもらえる感じがするからね」。もちろん、自分で作ったものはウマイってのもあるけど、と、吉川はまた少し「むふふ」という顔を見せた。赤坂ワンダーランドの探検はまだまだ続く。

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ミッドタウン近くで存在感たっぷりの蔦の家 勝海舟邸跡は、ランチの美味しそうな店だ 吉川も興味津々。赤坂にあったシブ~い菜園