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ついにクランクイン 吉川晃司の織田信長が始まる

 髷姿の武将が、白く美しい馬に乗り、城の庭を闊歩している。優美な身のこなしに、時折見せる鋭い眼光の馬上の男は、吉川演じる織田信長。吉川がここ1カ月ほど乗馬訓練を重ねていたのは、この役のためだった。

 吉川が織田信長を演じるのは、来年のNHK大河ドラマ『天地人』。『天地人』は、戦国の世にあって兜に『愛』を掲げた武将、直江兼続(妻夫木聡)の人生を、信長など個性的な人間たちとの出会いを通して描く物語だ。クランクインが報道陣に公開されたのは8月19日。岐阜城で信長と兼続が初めての対面を果たすシーンなどが撮影された。「信長を前に、緊張感のあるいいシーンが撮れたと思います」と妻夫木。吉川のことは「小学校のころからテレビで見てました」ということで、撮影の合間にはふたり並んで笑顔で談笑する場面も見受けられた。

 同作ではこれまでに主演の妻夫木を始め、北村一輝、常盤貴子、長澤まさみ、玉山鉄二、阿部寛などの配役がすでに発表されていたが、吉川の信長役はこの日初めて公表されたもの。意外なのか、納得なのか、それにしても吉川に髷姿は似合いすぎる。「(昔は)普通にいたでしょ、こういう顔(笑)」と、ジョークを飛ばす吉川だが、演技に入ればその顔や所作はみるみる信長になっていく。集まった報道陣からは、「すごい存在感!」「登場してきたときすごくカッコよくて、ああ、これは信長だと思った」などの言葉が次々と出た。

 吉川の起用理由について番組プロデューサーはこう答える。「今回、既成の役者さんじゃ出せない何かが欲しいと思ったとき、彼の可能性にかけてみようと思った。もともと存在感のある人で、強さと弱さを両方持ち合わせているところがあるので、こういう人が信長をやることによって、また新しい信長像ができればいいなと」

 NHKと吉川といえば、昭和60年の『紅白』事件を思いおこす人もいるだろう。その後2002年にはNHKのドラマ『真夜中は別の顔』に出演した経緯があるが、報道陣からは、晴れて看板番組への抜擢に対する質問が飛んだ。吉川は「親孝行になったな」と感慨深げ。「もともと時代劇が大好きで、時代劇を早くやりたかった。だから二つ返事で受けた。信長というのは特異な存在で、何かに取り付かれた魔王であり、何かの犠牲者でもあると思う。その寂しい面と強い面の両面を出せれば」と語った。

 自分を歴史上の武将に例えれば、「どちらかといえば信長」と吉川は言っていたことがある。その思いについてはまたの機会に語ってもらうことにしよう。8月18日に43歳の誕生日を迎えた吉川の、新たなチャレンジ。NHK大河ドラマ『天地人』は来年1月にスタートする。

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