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第58回 港区麻布台~麻布十番

あってよかった麻布の『がま池』

 飯倉片町から新一ノ橋交差点に向かって左側の高台には、大使公邸や外国人住宅が立ち並ぶ閑静な一角がある。時流にとらわれずしっかりと建てられた邸宅を見学するのはなかなか楽しい。「こんな家だったらいいね」など、住みたい家の話をしながら高台エリアを抜け、鼠坂を下ると、かつては町工場が多く下町感覚の残る東麻布エリアに突入。麻布は場所によって街の雰囲気がくるくる変わるのがおもしろいところだ。表通りに出ると道の向かいには、「洋風の料理を作るときはよく利用する」というスーパーマーケット『NISSIN』があり、右に進めば麻布十番。吉川が若い時代のひとときを過ごした街だけあって思い入れも強いところだ。今は地下鉄の駅ができて便利になった分、「麻布十番らしさがなくなった」と残念がる吉川ではあるのだが。「俺が住んでたころは、着物来て歩いてるおっさんがいたりして、粋な感じがあったんだけどね。便利を取るか、その街らしさを取るかは難しいところだね」。それでも昔ながらのモノは探せば残っている。まず紹介してくれたのは、「安くておいしい」八百屋。続いては、「十番といえば焼き肉だけど、おすすめの店を教える」ということで、焼き肉屋へと向かう途中で見つけた古めかしい洋菓子店『プランス』。「どうせ紹介するならこういう店にしたいね」と吉川も納得の様子だ。『フランス』でなく『プランス』というのも愛嬌で、入り口のひさしは色褪せてはいるがトリコロールカラー。「買い食いしよう!」と盛り上がり、店内に入ると先客の女性が「3色シュークリームがおいしい」と教えてくれた。

 おすすめの焼き肉店『千栄』は、仙台坂下にほど近いエリアにあった。「本場の韓国料理を食べさせてくれる店で、ウマイよ!」と、吉川。ウオーキングスタッフの若い男性から、麻布十番でデートするのにいい店を教えてと訪ねられ、「焼き肉じゃないほうがいいときは、この先に有名な洋食屋の『EDOYA』があるし、釜飯の『村田』もウマイよ。食べた後は、『EDOYA』の脇を入ったところにあるバーみたいなのもいい感じだし…」と、レクチャーしながらも話しは思わぬ方向へ進んでしまった。『村田』の近くに輸入下着屋を発見したときのこと。「デートの帰り際にはこういう店に寄って、“これを着てほしかったんだ”って下着を買うとか(笑)。でも、セクシーなのを選んだらエロオヤジと思われるし、かといって800円のとかでも怒られそうだし(笑)。なぜ女性は下着に高いお金を払うんだろうね。男同士で話してると、“今日は下着がそろってないから絶対見せられない”って言われたとか聞くことあるけど、男からすると、下着の時間はさほど重要じゃないというか…(笑)」。思わぬ下着トークはその後もしばらく続いたのだった。
 六本木から始まった麻布ウオーキングの終着点は、「がま池に行こう!」という吉川の一言で決まった。場所は、仙台坂上にある麻布グラウンドの前の路地を入った一角。今はマンションに遮られて表からは見られないが、この日は、裏の空き地からのぞくことができた。「昔の地図を見て、この池を見つけた」と吉川。「何回歩いても見つけられなかったんだけど、どうしても見たいと思って探して、ある時、建物の隙間を入って見つけたの。今日も見られて良かったよ。この空き地に建物が建っちゃったらまた見られなくなるからね」。ふと気付くと、外国人の男性が、池をのぞく吉川に興味津々な眼差しを向けている。吉川が立ち去った後、その男性は買い物袋を下げたまま『がま池』に向かって行った。

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「安くておいしい」麻布十番の路地裏の八百屋さん 3色シューは生クリーム、チョコ、カスタードの3種 ついに見つけた『がま池』。竹林の間に青い水面が

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