≪ 2009年05月 | Home | 2009年07月 ≫

2009年06月22日

 

第64回 新宿区大久保~歌舞伎町

“名誉顧問”初めてジムへ行く

 JR大久保駅から新宿方面に3分ほど歩いたところに『ON AIR』大久保スタジオはある。ここは吉川が、デビュー20周年記念の一環として、村上ポン太氏、後藤次利氏と3ピースユニットを組んだ際にリハーサルを重ねた場所だ。あれから5年。25周年イヤーとなった今年、NHK大河ドラマ『天地人』での織田信長役を5月に終え、5月20日にニューシングル『傷だらけのダイヤモンド』をリリース。7月22日にはニューアルバム『Double-edged sword』リリースと、精力的な活動を続けている。

 そんな吉川が今回最初に向かったのは、同じく広島出身の元WBA世界ミドル級王者・竹原慎二氏のボクシングジム。広島の中でも安芸郡府中町という同じ町出身の縁もあり、ジムの“名誉顧問”の名前をもらっているのだ。竹原氏が、元WBA世界スーパーフェザー級、ライト級2階級制覇王者の畑山隆則氏と開設した『竹原慎二&畑山隆則のボクサ・フィットネス・ジム』は、大久保の閑静な住宅街に建つ財団法人スポーツ会館の1Fにある。「ここのジムに入ると、建物の上にあるスポーツクラブの設備も使えるし、プールもサウナもあって便利だよね」と吉川。差し出されたグローブを付け、さっそくリングへと向かう。足さばきのステップを教わり、ミット打ちを始めると、「さすが、スジがいい!」と竹原氏。「右! 左! 連打! アッパー!」。言われるままにパンチを繰り出す吉川を、慣れた身のこなしでリードする竹原。元王者の動きはまさに蝶のように軽やかで、その美しさには目を奪われた。「さすがに運動量はすごいね。ちょっとやっただけで汗だくだよ。でも、動くと気持ちがいい。最近はボクササイズに通う人も多いみたいだから、女の人も試してみたらいいんじゃない」

 ふたりの出会いは約5年ほど前。「実家が近所だったんだよね。昔、オヤジに連れられて竹原君の家でやってる焼き肉屋に行ったことがあったんだけど、そのころは知らなくて、で、ボクシングのチャンピオン戦する男があそこの焼き肉屋の息子らしいってオヤジが言って、えー! めちゃくちゃ近いじゃないって。で、どこかで会える機会がないかなと思っていて…」。「番組に呼んでもらったんですよね」と竹原氏。そしてふたりは、竹原氏が「出会ったときからアニキと呼んでます」という間柄になった。「竹原君は親分肌だから、あんまり邪魔しても何だなぁと思って普段はあんまり飲みに行ったりはしないけど」という吉川だが、顔を合わせれば一瞬で空気は溶け、広島弁も出たりする。

 ジムを出て、路地裏を散策しながらふたりは話を続ける。「今度、乗馬やらない?」と吉川。「でも、竹原君を誘うなら、試合に出るとかないとダメだよね。俺なんかもそうだけど、スポーツで極めるとこまでやってる人は、何か決めないと追い込んでいけない。趣味でやるっていうのは逆に楽しくないんだよね。特に竹原君は頂点までのぼりつめた男だから。俺にしても最初は信長をやるために始めた乗馬だけど、もうやり倒してるからね。先生に“新人戦に出ろ”って言われたけど、そこまでやるなら休業せななりません(笑)」。勝負にこだわって生きてきた男ふたり。この後とある場所で真剣対戦することになるのだが…。

(つづく)

※写真をクリックすると拡大画像が見られます。拡大写真の右側にマウスを重ねると「NEXT」ボタンが現れ、次の写真を見ることができます。

5年前も今も、吉川のロックは心意気! 竹原慎二&畑山隆則のジムの入り口 ただ今ミット打ち中。真剣な表情だ

2009年06月08日

 

第63回 中央区銀座、裏通り

セットのような路地にLOVE

「北方(謙三)さんと銀座に来ると、すごい老舗のバーに連れて行ってもらったり、見たこともないスコッチを飲ませてもらったりして、これがまたウマイんだよね。この道何十年というようなバーテンダーの人たちも素敵だしね。でも北方さんって、店を出るたびにトレンチコートを肩に引っかけて、襟をパッと立てて歩くんだよ。眉間にシワよせてね。ちょっと笑っちゃうでしょ。“北方さん、それ疲れないの?”って聞いたら、“おまえ、ここは俺のテリトリーなんだ”って。北方さんは写真撮るときもいつもそういう顔するから、“北方謙三”というサービスとしてハードボイルドを演出してるんだと思うんだけどね」。巨匠に対してそういうことを言えるのも、著書の後書き(『水滸伝 16 馳驟の章』)を頼まれて書いたりするほどの長いつきあいがあってのことだ。「大変だったけどね、後書きは。やっぱり文章って難しいよ」と、吉川はちょっと苦笑いした。

 銀座6丁目の信号を渡り、銀座の中央通りから昭和通り側に1、2本入った裏通りを歩くと、小さなギャラリーや、古い建物が目につく。「いいねー、こういう雰囲気」。昔の銀座の香りは、いかにも吉川好みだ。さらに裏道を進むと、晴海通りに出る手前で、「これって映画のセット?」と、吉川もビックリのスーパーレトロな路地を発見。「いいねー、シブイ! おしゃれな格好してる銀座のOLさんとかを“ちょっと飯行かない?”って誘って、こういうところに連れてくるのはどう? それで楽しんでくれるようなOLさんがいたらいいよね」。がぜんテンションが上がる吉川である。「ここでお昼食べよう」ということで、職人魂が漂ってきそうな中華屋に入る。注文したラーメン類はどれも具材たっぷりで、値段も安い。味ももちろん素朴でウマイ。

「ここは東京オリンピックの年からやってるって言うから、このビルも45年目。やっぱり創業当初からのプライドがあるんじゃない。こういう場所でグラビア撮影とかしてもいいよね。2階には絶対に探偵事務所があるような雰囲気だしね」。実際の2階は調理師の紹介所だったのだが、銀座のど真ん中にこんな想像ふくらむ場所が残っていたとは驚きだ。

 三原橋の交差点にある老舗の手ぬぐい屋『大野屋』にも、吉川は興味津々で立ち寄った。ここでは気に入った図柄の手ぬぐいを何枚か購入。「“かまわぬ”ってのが好きで、うちわも持ってるんだよね。釜の絵に、輪っかを描いて、ひらがなの『ぬ』を書いて“かまわぬ”なんだけど、なんか好きだね。織田信長が本能寺で最後を迎えたときに着てた浴衣と同じ柄のてぬぐいもあったから、それも買っちゃった。日本手ぬぐいって、今はあまり使わなくなったけど、人に料理を振る舞うときは、割烹屋さんの真似事みたいに手ぬぐいの上に包丁を並べたり、お客さんの手ふきに置いたりするよ」

 晴海通りを渡った先の路地では、年代もののカメラをウィンドウに並べた店の前で足を止め、「ちょっと入っていい?」。持ち歩くときはカバン型になる8×10用のカメラを見つめながら、「知り合いのカメラマンの細野(晋司)さんが今でもたまに使ってるんだよね…俺も欲しいね」とポツリ。同じくカメラマンのハービー山口氏から譲り受けたライカを見つけ、「あ、これ、同じだ」。カメラという機材は、どこかアーティスト心をくすぐるようだ。その先の裏通りでは古い煉瓦作りのアパートや、盆栽屋も発見した。「銀座の裏はおもしろい。また来たいね」。お気に入りの街がひとつ増えた吉川だった。

※写真をクリックすると拡大画像が見られます。拡大写真の右側にマウスを重ねると「NEXT」ボタンが現れ、次の写真を見ることができます。

見よこのボリューム! チャーシューも抜群にウマイ 三原橋にある老舗の『大野屋』。品揃えがすごい! 銀座『伊東屋』の裏通りにあった盆栽屋。花も美しい